美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子&Moment Strings Quartet@Saravah東京


6月9日は「ロックの日」だそうで、学会出張のついでに(友人からは「また仕込んだでしょ」と疑われていますが)、鈴木祥子さんのライブに行って参りました。場所は渋谷の東急本店裏の「Saravah東京」というライブハウス。僕は初めて。今回は「祥子の小さな部屋Vol.1〜(To)my Sweetest Fantasyをめぐる冒険〜」と題されたもので、Moment Strings Quartet(有馬真帆子(Vln) 木野裕子(Vln) 飯田香(Vla) 郷田祐美子(Vc))との共演。モメカルは、zabadakとの共演で何度か拝見しているのですが、今回祥子さんと組んでというので、これは是非見に行かねば、と思ったのでした。
いつものように、セットリストと感想を挟んでいきたいと思いますが、公式ページでいち早くセットリストが出ていますので、それを元にしました。
祥子さんは真っ黒なドレスで、まずは独りで登場。そしてウーリッツァーに座るなり「いきなりですが、カヴァー三連続歌っちゃってもいい?」といったので、我々もビックリ。「ちょっと前の流行歌で、私自身がすごく「良くできているな」という曲ばかり選んでみた」とのことで、我々ファンも神妙に聞き耳を立てると、思いがけない曲が1曲目。
1.SEASONS(#浜崎あゆみ)(W)
えーっ、いきなりアユなの?とみんなあんぐり。
2.First Love(#宇多田ヒカル)(W)
3.眩暈(#鬼束ちひろ)(W)
うーん、祥子さんの好みって判るようでやっぱつかみどころがない、というか、間口が我々の思っている以上に広いんでしょうね。「ここからはちゃんとオリジナルをやります(笑)」といってグランドピアノに移動して始められたのが
4.愛の名前(P)
これを聞くのは久しぶりの気がします。改めて聞くと、名曲なんだけど、歌詞は暗いね(笑)。以前のライブで「私、この曲を聴きに来たんです」という女性の声が上がり、祥子さんも「マジですか?」といってリクエストに応えた、という事があったっけ・・・。
5.愛は甘くない(P)
6.Circle Game(G)
7.花束(P) with 郷田祐美子
ここから、モメカルのチェリスト、郷田さんが入ります。「花束」の印象深い間奏部分から。
8.春の小川(P)(#柴田聡子) with 郷田祐美子
僕はまだ存じ上げないのですが、祥子さんがこのところプッシュしているシンガーソングライターだそうです。
9.道(P)
一旦郷田さんは退いて、内省的なこの曲を弾き語り、第一部は終了しました。数十分の休憩を挟んで、第二部スタートで、ここからはカルテットと一緒にぐいぐい進んでいきます。
■第2部
10.恋は夢の花(P) with Moment String Quartet
この曲の時、ハウリングが起きるというアクシデントが発生!祥子さんが「流れが止まっちゃったから、これ、後でもう一回」とリテイク宣言して、始められたのが
11.HAPPINESS?(P) with Moment String Quartet
で、最初はアレンジのせいか「これ、何の曲だっけ?」と僕も判らず、気がついたときにはカルテットの押し寄せる音にいつの間にか飲み込まれていました。これは素晴らしいものでした。
12.苦しい恋(Vo) with Moment String Quartet
祥子さんはマイクを持ってヴォーカルと手拍子。
13.恋は夢の花(P) with Moment String Quartet
リテイクは成功。これはうまくいきました。
14.PASSION(P) with Moment String Quartet
僕としては、これが今回のライブで出色の出来と思えました。元々物凄く激しい曲ですが、この曲の祥子さんは一瞬何かに取り憑かれたかのような迫力がありました。我々も拍手すら出来ないほどの空気が流れ、間を開けずに
15.Gimmie some Life(P) with Moment String Quartet
が始まりました。
16.You Take Me,You Make Me with Moment String Quartet
一旦カルテットは退場して、祥子さんのソロで
17.5years,/AND THEN…
が歌われました。祥子さんはここで一言「今回は内面を描いた、というか内省的というか、要するに暗い曲を中心にお送りしてきましたが(笑)」。再びカルテットと一緒に
18.青空のように(W)→(P)→(Vo)→(Dr) with Moment String Quartet
この曲はすごかった、というのも、祥子さんが次々と楽器を換えながら移動したからです。最後のドラム、やっぱりかっこよかったなあ。
ここで本編は終了。
アンコールの拍手に、まず祥子さんだけが戻ってきました。「何かリクエストあります?」という声に、ある男性から「この愛を!」と声が上がり採用されたのですが、祥子さんが「ウーリッツァーとピアノ、どっちがいい?」と聞いたらその男性が「ピアノでダイナミックに」と注文をつけたらば、祥子さんが「うーん、やだ、ムッとしたw。ウーリッツァーでやる」と言ったので、会場爆笑。僕も思わず「来たー」と内心叫んでおりました(笑)。
EN1.この愛を(W)
次は女性からのリクエスト。
EN2.午後の坂道で(W)
祥子さんもあまり覚えていないらしく(というか、歌詞カードも楽譜も無しでその場でリクエストに応えられるのがそもそも凄すぎるのですが)「こんな曲だったよねー」とか「ここから展開があったよねー」とか確認しながらちゃんと弾いてくれました。ここからカルテットも戻って、
EN3.どこにもかえらない(W) with Moment String Quartet
いつもはファンの一部が口笛を吹く間奏部分ですが、今回はストリングスがちゃんとやってくれるはず、と空気を読んでみんな控えたのはえらい(僕含めて)。
EN4.愛と幻想の旅立ち(W) with Moment String Quartet
祥子さん曰く「レコ発だっていうのに、この曲をやっていなかった(笑)」そういえばそうだったなあ、と今更ファンも気付く始末。
EN5.あじさい(W)
これもリクエスト。祥子さん曰く「(今日失敗したことの)罪滅ぼし」。やはりこの季節には誰かが必ずリクエストしますね。僕も大好きな歌。歌詞をちょっとだけ忘れかけながらもしっとりとこの曲で終了。
やっぱり僕は、祥子さんに振り回されるのが好きなのだなあ、と改めて思った夜でした。
ライブの後は久々に会った皆さんと8名ほどで新宿にてオフ会をし、深夜バスで帰る方を見送りつつ帰宅。楽しゅうございましたが、やはり関西在住のファンとして、祥子さんに早く腰を治していただき、また関西に来ていただきたい、と願うばかりです。