美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子「拾得の熱い夜アンコール!“われても末に演らんとぞ想ふ。”」

2022年最初のライブは、またもや京都拾得での鈴木祥子さんのライブでした。今日は「われても末に演らんとぞ想ふ」と題されたもので、もちろんこれは百人一首崇徳院の「瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ」をもじったもの。つい先月「われた(分かれた)」と思ったら、もう今月に「逢ってしまった」のでファンとしては嬉しい限り。いつものように以下ではセットリストを書いていきますが、今日の曲目は「各アルバムから1曲は入れる、というセットリストを用意(祥子さん)」とのこと。デビュー時から最近まで、祥子さんの三十数年を圧縮したような内容でした。

f:id:t-kawase:20220109235544j:plain

いつもより早めにライブはスタート。「自分史上最もショートにしてみた(祥子さんのツイートより)」というショートカットで白い襟の黒いワンピース(もしかしたらセパレートだったかも)の出で立ち。今日はピアノ(P)とウーリッツァー(W)の二つの鍵盤だけというシンプルな舞台。ピアノの時は背を我々に向けて、ウーリッツァーの時は正面を向く、という形でした。曲名の末尾は収録アルバムです。
1)ラジオのように(P)『Radiogenic』
2)Happiness(P)『Hourglass』
「ねえどうして手を離すの」と始まるこの曲、「25年も生きてきたけど判らない」という歌詞、今日は原曲のまま歌われました。もうこの曲が生まれてから30年以上・・・。

「今日はアルバムから各1曲、と思ったんですが、何を選んでも、重いですよね、皆さんご承知の通り(笑)」「自分の中のそういう部分を吐き出す、というのが私の曲作り(の核)」みたいなMCの後、「久々にライブで広島に行った時、広島の人は私のことを憶えてくれているだろうか、という気持ちを曲にした」のが
3)Do you still remember me?(W)『Romances Sans Paroles』
なのだそうです。その次に「この手の曲を敢えて前の方で演ります」と言って始められたのが
4)完全な愛(W)『私小説
でした。これが大好きなライブ友達は「あ、リクエストの前に歌われちゃった」という気持ちもあったとのことですが。
5)イケナイコトカイ(W)『Love, painful love』
岡村ちゃんこと岡村靖幸の名曲。以前祥子さんはこれをカヴァーしていますが、ノリノリになった祥子さん(岡村ちゃんがちょっと憑依していたような気も)がつい我々に「コール&レスポンス」を求めてしまい「あ、そうか、今はそう言うのってダメなんですよね」という一幕も。call & responseはイケナイコトカイ?
6)ぼくたちの旅(W)『CANDY APPLE RED』
ここで少しだけアクシデント発生。祥子さんが歌詞を入力しているiPadの電源が切れたので、充電ケーブルを繋いでいる間「電源が入るまでリクエストタイム。何か聞きたいのありますか?」となったのですが、数曲のリクエストはスルーされ(笑)、
7)風の扉(P)『風の扉』
が演奏されました。立て続けに
8)Frederick(P)→(W)『鈴木祥子
で、前半は終了。少し休憩となりました。

f:id:t-kawase:20220110000035j:plain

後半は
9)swallow(W)『水の冠』
で始まりました。「この曲と同じキーがCの曲」ということで続けて
10)あなたを知っているから(W)『Harvest』

この曲好きなファン、多いんですよね。特に中高年男性(笑)。「三井のリハウス」の曲でしたね、これ。「帰ってきて つばめのように わたしはずっと ここにいる」という歌詞があり、前曲の「swallow」とは「ツバメ」つながりですね。


www.youtube.com


11)わたしの望み(W)『Love, painful love』リクエス
さっきの7曲目の前に出ていたリクエストなのですが、祥子さんがここでそれを採用。Puffy吉村由美さんに頼まれて提供した曲ですね。祥子さんは「メッセージソングとして書いた」とおっしゃっていました。
12)夏はどこへ行った(W)『Viridian』
祥子さんの「自分へのリクエスト」ということで、デビュー曲(1988年5月発売)のこれがチョイスされました。「もう、記憶の彼方になりそうな昔の曲ですけど、こうしてライブで歌って改めて命が吹き込まれるというか、そんな気持ちになれます」とのこと。


www.youtube.com


13)逆プロポーズ(仮。)(W)『Sweet Serenity』
これをライブで聞くのは久々なような気が。
14)メロディ(W)『Long Long Way Home』
「これでアルバム一曲ずつやったはずですが、他にあったっけ?」と祥子さんがいうので、7曲目の時にも出されたリクエストですが、Bacharachの彼の名曲で本編は終了。
15)I say a little prayer(W)→アカペラ『Shoko Suzuki Sings Bacharach & David』リクエス
この曲はサビの部分が変拍子なので、「これ、変拍子の練習になるね」と祥子先生指導の下、我々は手拍子の練習。


www.youtube.com


当然即アンコールの拍手で再び祥子さんが登場。

e1)The days like these(W)リクエス
最初のこの曲はさわりだけをさらっとやったのですが、なんと山下久美子さんへの提供曲。僕は判らなかったのですが、他の人に聞いて知りましたが、これをリクエストした人、何者?
e2)5 years, /AND THEN…(W)『Sweet Serenity』リクエス
「私、例えばメジャーデビューした時とか、結婚した時とか、このまま人生にはレールが敷かれていて、それに乗れば何となく生きていけるんだろうな、と思っていたんですが、実はそんなことないんですよね」「この曲の歌詞にあるんですが、道はやっぱり自分で作るものなんですよね」
と祥子さんはしみじみ自分の歌詞に込めた意味を解説なさり、サビの部分を繰り返し熱唱。

これからどこに行くのかな?
これからだれに逢えるのかな?
あたし自由になれたかな?
コドクの意味がわかったのかな?

道はどこかにあるのかな?
自分で作るものなのかな?
愛はどこかにあるのかな?
自分のなかに育てるものなのかな?

 

e3)風に折れない花(W)『Harvest』リクエス
「ちょうどこの曲を歌いたいな、と思ったんですよ」ということで、「あなたを知っているから」と並んで人気のあるこの曲を。しみじみしましたね。


www.youtube.com

ここでアンコールも終わり、かと思ったら、ダブルアンコールを受けて下さって、祥子さんが登場。本当に最後の曲は、最近出た洋楽のカヴァー集から
e4)Love of My Life(P)『My Eternal Songs〜BEARFOREST COVER BOOK Vol.1〜』リクエス
言わずと知れたQUEENの名曲。間奏で、まるでハープシコードチェンバロ)のような細かい運指の旋律を付けていました。たまたまですが、ちょうど6年前、東京世田谷の松本記念音楽迎賓館で、そういう楽器メインのライブにも行きましたねえ。
というわけで、今日のライブはここで終了。

ライブの後、まだ時間があったのでライブ友達と軽く談笑。リクエストが通らなくて少し悲しがっていた友人に「リクエストは、アーティストがその時に歌いたい曲を当てるゲーム」「アーティストは神様、と思っているなら、すぐにリクエストに応じるような人を神としてはいけない。それでは自動販売機と同じ扱いになる」などと偉そうなことをいって慰めました(笑)。しばらく京都、関西方面でライブはないかも知れませんが、この半年ほどの4回のライブで、取り敢えず「満腹」です、僕は。ありがとうございました。