美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子「A Reality Of "Warner" Era ~ at 二条城 PAGANINI Castello di Nijo― "深い藍、愛に至る空虚"」

開演前の様子


今日も鈴木祥子さんのライブに行って参りました。会場は再び「二条城PAGANINI」。ここはちょうど3週間ぶりです。今日はワーナー所属時代を振り返るシリーズの2回目で、タイトルは「深い藍、愛に至る空虚」というもの。ちょうど空も小雨がぱらつく曇りというか、青鈍色。開場時間の頃は、雨はやんでいました。以下ではいつものようにセットリストと僕の感想、祥子さんのMCに関するメモを書いていきますが、今日はMCが多く(充実しており)、あくまでも僕の「要約」であり、文責は僕にあるとご承知おきください。

少しだけ開演時間を過ぎたあたりで、祥子さんが登場。今日のお衣装は、タイトルに合わせて紺色のニットとスカート、白いスカーフ(というか、ボウタイか)。まずは
1)すいか
から始まりました。


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そのままシームレスに2曲目に行こうとするかと思ったら、一旦そこで演奏を打ち切って「こんにちは、鈴木祥子です」と最初の挨拶。「1曲目から、挑戦的な選曲をしてしまいました。Warner時代は明るい曲で挑戦的な歌詞、というのが多いと思います」と前置きして、始められた2曲目は
2)プリヴェ


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でした。続いては
3)日記


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4)不安な色のBlue
を連続で。


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「不安の色のBlue」はライブではレアだと思います。僕は結構この曲が好きなんですが(バート・バカラックっぽい旋律で)、祥子さん曰く「何でこんなの書いたんですかねえ。自分で今歌詞を読み返しても、よく判らない(笑)。こんな曲を選択したから、今日はこんな空模様なのかも」。「次もまた青、Blueというタイトルの曲です」と始められたのが
5)Blue(西田ひかるへの提供曲)
というもの。これは超レア、というか、祥子さん自身「自分で歌うのは人生で2回目」とおっしゃるような他人への提供曲。会場の皆さんもみんな初めて聞いたことでしょう。西田さんの『24(Two Four)』というアルバム(加藤和彦プロデュース)所収。祥子さんの裏話として「最初に明るい可愛らしい感じの曲を提出して、加藤和彦さんにボツを喰らい(笑)、今度は大人っぽい雰囲気で作ってOKをもらって、加藤さんのアレンジでボサノヴァっぽいと言うか、フルートなんかも入っている曲になりました」「最初に提供した歌は、あなたが淹れた紅茶が~、みたいなかわいらしい歌詞で、後にそれを作り換えて、『Sweet Serenity』に入っている「Sweet Serenity and chocolate milk-tea」という曲になりました」とのこと。あの曲にそんな来歴が・・・。


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6)恋だっていいのに(石井聖子への提供曲)
これもレア。というか、知りませんでした。「この曲は友達以上、恋人未満、というコンセプトでといわれて作った曲。この頃のはちゃんと言われたコンセプトで曲を作ろうとして、職業作(曲)家としてやっていたんだなあと(我ながら思います)」とのこと。


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7)シュガーダディーベイビー
この曲がある意味今回のライブで一番エモーショナルな歌声だったかも知れません。


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8)赤い実がはじけてた
「これは奥田民生さんと一緒に作った曲ですが、ライブでやったことは殆どないですね」とのこと。


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この後、祥子さんのMCが比較的長く続きました。「この時期は音楽的な挑戦をしたかった時期ですね。曲にしても歌詞にしても」「Twitterであるシンガーの人が、歌うことは自分のアイデンティティそのものだから、歌わなくなったら死んでしまう、みたいなことを書いていた人がいたんですね」「それを見て、私も30~40代くらいって、音楽の表現に自分のアイデンティティを賭けていた、というところがあったなあ、と」「20年前の自分って、今の自分と全然違いますよね。でも、今はそういう過激な気持ちがないからこそできることがある気がします」「さて、次の曲は速いので、自分でやれる自信がないけど、やっちゃう」と始まったのが
9)破局
でした。


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「実はこれ、パフィーへ提供してボツになった曲なんですよ(笑)。彼女たちにサーフ・ロックっぽくやってもらいたかったんだけど」
10)恋は夢の花


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11)臨時雇いのフィッツジェラルド


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この「臨時雇いの曲、人気投票とかだと大分下の方ですよね」「自分で弾いて、何だ、この曲と思いますもん(笑)」「この時期はフィッツジェラルドの小説が好きで(村上春樹ではない訳の方で、と祥子さんはおっしゃっていたから、野崎孝訳の方かな。サリンジャーもそっちの方が良い、と以前おっしゃっていたし)」。
12)いつかまた逢う日まで


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「練習の時はそうは思わなかったんですが、結構このセットリスト、攻めてる曲順ですね」と自己分析。「さて、重い雰囲気になったので明るい曲を挟みたいところですが、そういうのはありません(笑)」と続けられたのが、
13)完全な愛
でした。


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この曲のファンも結構多いと思います。ラストに曲は、それぞれアルバムのラストを飾る曲2連発。
14)そしてなお永遠に
「私、2年半ほど京都に住んでいたので、京都に来ると安心というか、素をさらけ出せるというか、そんな気がします」


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15)あたらしい愛の詩
大阪でのライブなら、冒頭のところを「大阪(元の歌詞は東京)の夕暮れは 予感のように美しい」と替え歌で歌ってくれるのですが、今回は「京都」だと間延びしてしまうので、それはなし。祥子さんに促されるまま、みんなでアカペラ。みんな、歌詞よく覚えていますね・・・。


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時間の関係で、ここで今日のライブは終了。濃密な1時間半ほどのライブでした。日曜の夜、ということで、ライブファン仲間も三々五々で解散(とはいえ、僕は3人ほどで中華料理店で飲みましたが)。お仕事の都合で、少し遠くに行ってしまう方の事情も聞いたので、今日は「いつかまた逢う日まで」とお別れしました。

終演後の様子