美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

見学旅行

フォーラムは昨日で終了し、今日は希望者だけだが、見学旅行に行く。回ったのは全羅南道。まず、普通の観光では来ない地域だ。
まずは1980年に起きた光州事件の犠牲者達(烈士、という方が正確かもしれない。烈士とは、志半ばで倒れた人を指す言葉)の墓地である「望月洞(マンウォルドン)5.18国立墓地」へ。

(一人一人の犠牲者の墓の後ろには、遺体が埋められた「盛り土」があり、どきっとさせられる。遺体の存在がダイレクトに伝わるので)
ここでガイドさんの詳しい説明を聞く。あと、展示館で事件のあらましをまとめた映像も見せてもらう(ナレーションは水野俊平さんだったのでびっくり)。なお、今回の大会の責任者である全南大学校の崔晶基先生は、事件当時大学一年生で、虐殺された学生委員長のボディガードをつとめた一人だったそうな。重すぎる歴史だ。なお、光州事件のあらましと、この日が「民主主義の聖なる日」とされ、犠牲者が聖者化していく過程については、真鍋先生のこの本を参照(最近増補版が出た)。

増補 光州事件で読む現代韓国

増補 光州事件で読む現代韓国

そのあとは霊巌(ヨンアム)の王仁博士(日本に儒教千字文とかを伝えたとされる人)の生誕の地とされる公園を見学。すごく整備されている。こういうのって、すぐメタ的に「モニュメントによる伝統の創造」とか言いたくなるよな。でも実際、日本との関係者ということで日本からの観光客が多いらしい。

王仁を祭る「王仁廟」。天満宮気分で何人かの院生が祈願する)
その後は、昔ながらの港町木浦(モッポ)に向かう。植民地時代は重要な港町で、日本式家屋も多かった土地。ここでは二つの博物館を見学。まずは「国立海文化財研究所」。その名の通り、海中に沈んだ遺蹟や遺物を調べるところで、日中間の交易船の展示がでかくてすごかった。もう一つは「木浦近代歴史館」。ここは非常に小さな所だが、コンセプトは「写真で見せる木浦の近代史」ということで、僕のような人間には大変勉強になった。なんたって、この歴史館は過去に「東洋拓殖株式会社木浦支店」だった建物なのだ。

(木浦近代歴史館)
そのあと、変わった形の岩がごろごろしている儒達山(ユダルサン)という山を簡単に登り、夕食。ここでビールかっくらって、帰りのバスでは爆睡。ホテルに帰った後は知り合いの先生方と院生と六人で刺身屋に行き、ホヤとかユムシ(想像できないでしょう)とかまで注文してしまう(僕はあまり箸をつけなかったが)。