美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

渋谷センター街の野郎ども

試験監督しながら、一気飲み読みしたのはこの本。やはり、著者がイケメン過ぎて笑えるなあ。

ギャルとギャル男の文化人類学 (新潮新書)

ギャルとギャル男の文化人類学 (新潮新書)

社会学」を名乗らずに「文化人類学」を名乗るのは、参与観察(というか、著者は元イベサーのトップ)をしまくりました、という含みと、「ギャル」や「ギャル男」を一つの「部族」と見なそうという意図か?
まあ、それはともかく、僕は全くこういうグループのことを知らないので、単純に知識が増えて、それはそれで良いのだが、この本の眼目は、要するに『ハマータウンの野郎ども (ちくま学芸文庫)』のような解釈をちょっぴり批判しつつ、イベサーに当てはめてみるところにあると、僕は読んだ。というのは、イベサーの連中の価値観は「ツヨメでチャラくてオラオラで(本書第3章のタイトル)」と自ら言っているわけだが、決して本当に逸脱しているわけでもなく(例えば薬物などの過度の逸脱は御法度、とされることが多い)、人間関係に気を配りまくるサークル活動はそのまま社会の縮図だし、実際イベサー活動自体がそのまま「就職」に結びついていると、メンバーもしっかり思っているところがミソ。ガリ勉や学校文化をバカにすることでオールタナティヴを作ろうとするハマータウンの野郎どもと違い、イベサーの連中は「むしろ彼らは、自己実現のための「学校的」空間を自ら作り出し、そこで将来の人間的かつ社会的成功に結びつけるための「キャリア育成」を行っていると言える。決して彼らは、何事にも無気力で消極的な人間ではない。(pp.211-212)」ということ。
でも、こういう本を読んでも、僕にもし子どもがいたら、こういうサークルに関しては「ダメ」って言うだろうなあ。女の子だったら、ゴスロリは許しても、ギャルは許さないな、保守的な俺は(笑)。