美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

補講

今日は水曜日にドタキャンされた講義を、学生からの要望で補講(彼女も気が咎めていたんだろう)。この講義では軽めの社会学っぽい本をざっと読んで雑談しているのだが、今回は四方田犬彦先生のこれ(彼女が僕の本棚から選んだ)。

「かわいい」論 (ちくま新書)

「かわいい」論 (ちくま新書)

ざっと読めてそれなりに面白い本だが、この本から考えるべきは最近の草食系男子の「台頭」(笑)に代表されるような感性の存在形態だろう。男の子が女の子から「可愛い」と表現され、当の本人もそれを嫌がらない・・・というのはそれほど歴史が古いわけではなさそうだ(本文中の大学生アンケートによると)。話は途中から「腐女子論」とか「萌え」の話とか、僕が読み流しているサブカル論に進み、四方田先生の言う「“可愛い”のヴァルネラビリティ」なんて話まで行っちゃったものだからついレヴィナスの話をしどろもどろにしたり(岩田靖夫先生の『ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)』をもっと噛み砕いた)、四方田先生がやんわり批判した大塚英志氏の『「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義 (角川文庫)』を取り上げて、「“可愛い”に代表されるような女性的なるものが否定されていた連合赤軍の総括現場」という大塚氏の見立てはそれほど悪いものではないと思うと擁護する(頼まれてもないのに)。