年度末に
もうすく年度末。ということで、残った研究費で、本をまとめ買い。あと何冊か著者からいただいたりもしたので、その本のご紹介。
黒住真先生の大学院ゼミの後輩、松谷基和君から彼がハーバード大に出した博士論文の自己翻訳のこの書をいただく。これまで韓国の近代史研究においては、篤実なクリスチャンがそのまま愛国者、ナショナリスト、独立運動家である事例も多いために、「キリスト教」と「ナショナリズム」がある意味無批判に結びつけられて語られてきた。松谷君のこの研究は、そのようなナラティブに異議を唱えたもの、ということができるだろう。
同じ明石書店から、中国に関する本も出てきたので購入したら、上記の松谷君の弟さんが作者と知りびっくり。
知り合いの西田君からも、彼の博士論文をもらった。筧克彦という奇矯な言動で知られる人物には興味はあっても、自分ではなかなか調べる時間もなく(蓑田胸喜も同様)有難い。注が充実しているなあ。
訳者の橋本妹里さんのご厚意で、この本をいただきました。ありがとうございます。植民地権力によって、いかにして「京城」という都市が形成されたのか、という都市計画から見た京城(ソウル)の歴史。
ぱっと目についた思想史の本。「儒者」という響きが気になったので。
東北やインドネシアの津波という災禍に、人びとはどのようにして向き合ってきたかという宗教社会学的研究。
これも被災とその復興・追悼というテーマで、国内外の事例から考察した論集。三木英先生が編集されたもの。
浦上のキリシタンたち(いわゆる「四番崩れ」事件)については、僕もそこそこ研究書を読んできたので、これも。殉教という語りの生成過程を追ったもののようだ。
僕にとっては、第二の指導教官とも言うべき、恩師の趙景達先生の「定年記念論文集」。これから心して読ませていただきます。
大貫先生は、以前特攻隊と桜をモチーフとした『ねじ曲げられた桜―美意識と軍国主義
』いう書も書かれているが、これも「花のシンボリズム」を追ったものだろう。
僕は建築、建築史には全く暗いが、タイトルからして興味が湧いたので購入。
知り合いの編著なので購入。古代から近現代まで、様々な論考が収録されており、ゼミでどれかを読ませようかな、という気持ちにもなる。
ちょっとしたボーナス
学内の行事のお手伝いなどをして一種の「研究費ボーナス」が出たので、それを使ってお買い物。
実はこの本の原著を、僕は大学院生の時、自主ゼミで輪読していたが、結局途中でやめちゃったんですよね。僕も、インドの種痘問題の部分をざっと読んでレジュメを書いた記憶があります。完訳が出て何より。
臼杵先生がミネルヴァ書房のPR誌で連載していたもののまとめ。たまに目にして「早くまとめられないかなあ」と思っていた。
研究会でお会いしたことのある吉田さんの博士論文。「世界人類が平和でありますように」というポールを立てる運動をしていた白光真宏会の教祖五井昌久の研究。類書もなく、貴重。
関東大震災、伊勢湾台風がどのように記憶されたかを辿る旅、と表現すれば良いか。宗教学的にも、天災は慰霊と結びつくので重要な課題。僕の知り合いの編集者Mさんのお仕事。
これも人文書院の優れたお仕事。アメリカ軍がドイツと日本で占領軍としてどのように振る舞ったかという日独比較。
「疎開」という体験を戦後文学はどのように描いてきたのか、というもの。タイトルに惹かれて購入。
先輩の黒﨑さんの単著。このところ黒﨑さんは震災の被災地における神社/宗教のあり方を調査していらっしゃるが、それがこのような形でまとめられたことは喜ばしい。
キリスト受難詩と革命―1840~1910年のフィリピン民衆運動 (叢書・ウニベルシタス)
- 作者:レイナルド・C. イレート
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2005/10/01
- メディア: 単行本
フィリピンの近現代史についての本も購入。フィリピンにおけるキリスト教(カトリック)のあり方、端的に言えば公共宗教的な存在形態に興味があるので。
最後は完全に趣味ですね。これほど詳細な韓国映画ガイドはすごいです。
鈴木祥子「ベアフォレストのニューイヤー」@拾得
本日、京都の老舗ライブハウスの拾得にて、鈴木祥子さんの「ベアフォレストのニューイヤー」と題されたソロライブが行われ、長年のファンである僕は地元と言うこともあり、当然ながら参加しました。今日の京都は雨が降るかどうか、といわれていたのですが、何とか天気は保ってくれました。以下ではいつものごとく、セットリストと僕の感想や、祥子さんのMCの様子を書き留めたいと思います。
時間通りにライブはスタート。祥子さんはトップスは赤のセーター、そしてこれまた赤のタータンチェックのスカートでの登場。今日は拾得にあるアップライトピアノだけで進行していきました。
まずは
1)すべてはO.K.
から始まりました。驚いたのは、祥子さん、歌詞カードや楽譜を持って来ず、全てiPadで済ませていたこと。登場の時、カーテンの向こうで光るものがあり、足元を照らす懐中電灯かな、と思ったらこのタブレットでした。
2)契約 (スペルバインド)
この曲も久々かな。歌詞をよく聞くと「スペルバインド(spellbind、魅了)」というタイトルですが「バブルバインド(二律背反)」が歌われているんですよね。
3)愛はいつも
4)危ない橋
5)わたしの望み
6)When you sing
3曲目から6曲目までは途中にMCも挟まず、そのまま演奏されました。
7)言葉
この曲は祥子さんのアルバムの中でも最も内省的なものである『Hourglass』に入っていますが、淡々と歌うだけではなく、最近祥子さんが感銘を受けたダモ鈴木さんという方の「インスタント・コンポージング」という即興パフォーマンスも少し入っていたかと思います。
8)愛の名前(request)
これは友人のRさんがリクエストしたのですが「あ、これ、元々やるつもりだったのにすっ飛ばしていた」ということで、見事(?)採用。実はリクエストコーナーって、そのアーティストが「今、歌いたい曲」を当てるコーナーでもありますよね・・・(実は、新居昭乃さんもそんなことおっしゃっていました)。
9)愛と幻想の旅立ち(request)
これもリクエストから。
この曲が終わると、「祥子の伝道タイム」ということで、祥子さんが持参した聖書の一節が紹介されました。今回引かれたのは、旧約聖書の『列王記下』のエリヤが出て来るあたり(2章)。「炎の戦車」という言葉が出て来る箇所ですね。僕は旧約聖書をあまりちゃんと読んでおらず、エリヤについても新約聖書でイエスに語りかける聖なる存在として描かれている、というのもぼんやり知っている程度です(例えばマタイ17章)。個人的なことですが、職業柄、もうちょっと旧約聖書のお勉強をしようと思いました(色んな質問に答えられるように)。
伝道タイムのあとは、再び弾き語りへ。
10)Weaver of Love~愛を織る人~
11)北鎌倉駅
この2曲はレアな選曲ですよね。「北鎌倉駅」は「この歌詞のままのシチュエーションがあり、そのまま歌にした」とのこと。
12)洋楽カバーアルバムから少し(3曲)
祥子さんはこれから洋楽のカヴァーアルバムを作りたいといっており、それに収録するつもりの曲の「さわり」を少しだけ。Billy Joelの「Honesty」、The Carpentersの「Yesterday, Once More」、Queenの「Love Of My Life」(でしたっけ、ちょっと自信なし)が一番、もしくはさわりだけ演奏されました。
祥子さんは邦楽のカヴァー集もやりたいとの意向も示していましたが「徳永英明さんの逆、つまり私が男性の歌を歌う、というのをやってみたい」「松田聖子、中森明菜、小泉今日子といった人たち以降、みんなが口ずさめる歌謡曲、というジャンルは消えてしまったけど、(女性のならば)そういうのもカヴァーしてみたい」という前振りで、この3人の曲が歌われました。ある意味、今回のライブで一番の驚きだったかも。
13)瞳はダイアモンド(松田聖子)
説明不要の有名曲ですね、これは。好き嫌いを超越して響くエヴァーグリーンな曲。
14)今年最後のシャーベット(小泉今日子)
今度は超マニアックな曲。これは祥子さんがキョンキョンのバックバンドをやっていた時に演奏していた曲なんだそうです。上田知華作曲、川村真澄作詞。「この曲はいかにも80年代って感じのリズムですよね。これでさっき弾いた私の曲の『言葉』も弾けちゃうんですよね」といきなり始めたのには笑ってしまいました。「シャカタクってこんな感じ(のリズム)じゃなかった?」とおっしゃるので、脳内で勝手に「Night Birds」が再生されました(笑)。
15)トワイライト~夕暮れ便り~(中森明菜)
祥子さんは同い年の明菜のこの曲がすごく好きらしく「ヒット曲の狭間で目立たない曲なんてネット評もあって」と憤慨していました。来生姉弟のこの作品「スローモーション」「セカンド・ラブ」に負けず劣らず僕個人は大好きですが。こんな美しい「歌謡曲」は忘れられない。
ここからはまたオリジナルの曲に戻ります。
16)たしかめていてよ
これも久々に聴いた気がするなあ。
17)風に折れない花
18)この愛を
19)光の駅
この3曲はシームレスに演奏されました。「風に折れない花」は僕のような男性ファンの根強い支持がありますね(女性でも好きな方いらっしゃるでしょうが、周りを見てもうっとりと聞いている僕を含むおっさんが多数)。「光の駅」は半分アカペラで「歌声喫茶」の様相を呈しておりました。
本編はここまでで、以下はアンコールです。
en.1)東京で生まれた女
関西でのライブでは、ある意味「お約束」な曲かも。ここからは「しばらく(ライブやらないから)会えないし、何でもするわよ」と出血大サービスのリクエスト合戦に。
en.2)旅立つことを決めれば(request)
知り合いのKさんのリクエスト。
en.3)Adios(request)
これまた知り合いのリクエスト。今回はやたら採択率が高いな。
en.4)メロディ
と、6時半から始まって、ほとんどこのハコの制限時間いっぱい(9時まで)までやってくださいましたね。
その後、僕はお腹も空いていたので、ライブ友だちと一緒に、このライブハウス名物の「チキン豆カレー」などを食べていたのですが、祥子さんが楽屋からすぐ出てきてくださり、何か、なし崩し的に「お喋りタイム&撮影タイム」になってしまい、当然僕もそのご相伴にあずかることに。もう思い残すことはありません(とりあえず)。
僕にとっては久々の鈴木祥子さんのライブ@拾得。まさかこの曲を祥子さんがカバーで歌ってくれるとは、との驚きもさることながら(あとで書きます)、終演後(なし崩し的に)始まった「撮影タイム」に僕も便乗させていただきました。今日のライブ、僕にとっての「お年玉」だな。 #鈴木祥子 pic.twitter.com/YfE7IKokbu
— Kawase Takaya (@t_kawase) 2020年1月12日
今年の予定としては、恐らく秋あたりまではレコーディングがメインになると祥子さんはおっしゃっていて、ちょっと残念ではありますが、音源を出してくれ、というのも偽らざるファンの希望ですので、首を長くして待っていたいと思います。
衝動買い
年末でそこそこ忙しいが、そのストレス解消として、このところよく買い物をしてしまう。今日はちょっと気になっていたのをまとめ買い。
大部屋俳優で終わった人が戦前にファシズムに抵抗するかのような新聞を出していた、という話。京都新聞での連載だったそうな。
宇沢弘文先生の伝記。宇沢先生の経済理論は、当方、数学が全くダメなのでスルーすると思うが、面白エピソードも山盛りある先生だしな。と言うわけで購入。宇沢先生の弟子である松島斉先生(現東大教授)も「宇沢先生が、「アメリカ政府の要請で、多くの経済学者が、ベトナム人を殺すのに必要な費用便益を計算していた」というお話をされた時の「ものすごい形相」を、一生忘れません」(『淡青』33号、2016)と仰っていたしね。
有名な偽史である『東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)』の「裁判」の顛末を追いかけたもの。表紙が安彦良和先生。
中西先生からはいつも本をいただいているので、これももらっていたと勘違いしていました。済みません。ようやく購入。現在研究が格段に増えた「近代仏教」の概説書。
タイトルに惹かれて。この出版社を起こした方も前々からの知り合いですので。
待ち合わせの合間に
待ち合わせの合間には、どうしても本屋に寄ってしまう。今回はそれほど重たくない学術書、新書の類いを購入。
四方田先生、こんなの出していたとは知らなかった。「映画宗教学講義がここに開帳!」という帯の文に惹かれて購入。
これも今まで知らなかった。植民地の映画(産業)については、結構研究が出てきたと思う。
同時代の証言集として。
そう言えば、彼女の前著(日本とイスラームが出会うとき)も買っているんだけど、積ん読だな。
これはもらい物。エスペラントと言えば、僕などは、大本のエスペラント運動や、中国に渡った長谷川テルなどの活動は多少知っていたが、この人物については全く知りませんでした。
勤務校での元同僚、元学長の渡辺先生のご著書。先生のエグい専門書は読めなくても、これなら何とか。
この前、サントリー学芸賞を受賞した本。単純に、テーマが面白そうなので。
看護師兼尼僧の方の本。こういう「現場の声」も知っておかねば、と購入。
「ポップ」なものを中心に
2つほど〆切原稿を終えてホッとしたので、気晴らしに本屋に行き、興味の赴くまま購入。どちらかというと「ポップ」なもの中心です。
先輩の堀江さんの本。まあ、これは買わざるを得ないよね。今、読み進めているところ。
よく見たら、知り合いが複数執筆していらっしゃるので購入。パラパラ見ていたら「ロボットアニメのタイトルには宗教的な語彙が使われることが多い」とあって、そう言えば僕の偏愛している「機甲創世記モスピーダ」もそうだよな、と思い至った。
「コミックス」というモノの生産、流通過程を中心に考察したものらしい。
なんだかんだ言っても、俺は大塚英志ファンなんだよね。このところの戦前・戦中に関する文化史的な業績は良いものが多いのではと思っている。
以前学会でお会いした渡邉さん・相澤さんが編者。僕も4歳までは団地っ子だったよな。
知り合いの安藤先生のブックレット。買い損ねていたので。新入生に読ませるのも手かな。
大日本帝国が海外で残した神社の「その後」を追った写真集。僕みたいな研究者はマストバイですよね。
ここ数年、「映画史」を卒論でやろうとする学生に引きずられる形で、結構映画(史)の本を購入しています。とくに宗教モチーフの映画については、色々知っておきたいと思って、これを。
夏休み終わり間際に
購入した本を羅列しておきます。半分は大学図書館に納入させましたが。
タイトルだけだと分かりづらいが、国民道徳(論)、近代仏教などが果たした役割を解明しようとした本。僕としては、仏教者の「教誨活動」に一番興味がある。
女性誌や少女を対象にした歴史研究、社会学はこのところ増えているように僕にも思えるが、こちらは植民地状況と少女たちを扱ったもの。
知り合い(以前僕が赴いたニュージーランドでのシンポで知り合いになった)の 将基面さんの本が二冊同時発売。「自分の属する共同体に瑕疵があれば、それをただそうとする」という、ある意味当たり前だった愛国(パトリオティズム)の態度を再考したもの。
志賀さんは僕の大学同期(だけど面識は残念ながらない)。彼女の描くこの近代インドの独立運動の「ゴタゴタ(例えばガンディーのヒンドゥー教的、バラモン的価値観に反発し、共産主義に近づいていった南インドの「非バラモン運動」など)」はたいそう面白いもの。図書館に。
上記の志賀さんの本と同じ有志舎から出たもの。満蒙開拓団関連は見つけるとつい手が出る。図書館に。
国家神道と国体論?宗教とナショナリズムの学際的研究 (久伊豆神社小教院叢書12)
- 作者: 藤田大誠
- 出版社/メーカー: 弘文堂
- 発売日: 2019/09/17
- メディア: 単行本
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友人が多く執筆しているか県の成果。この弘文堂の「小教院叢書シリーズ」は大学図書館に全部入れている(はず)。
タイトルだけで購入を決意し、図書館に入れてもらった。
戦前の「文化政策」を考えたくなって。図書館に。
これは映画史の本だが、戦後世界に道ホロコーストが受容されていったかを考える際の参考になろう。これも図書館に。