美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子デビュー31周年記念ソロライブ「旅立つことを決めれば」@視聴室その3

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このところ、鈴木祥子さんの横浜のホームグラウンドと化してきている「視聴室その3」ですが、今回のライブにも参加して参りました。バーをそのまま居抜きでライブハウスにしたこの空間、今日も恐らく70数名ほどでキャパは満杯。僕も椅子席の確保ができるギリギリの整理番号でした。
タイトルに「旅立つことを決めれば」とあります。これは最近(といっても数年前)祥子さんが作った曲名なのですが、このライブでのっけから「今日は「旅立つことを決めれば」ってタイトルにしましたが、この曲は歌いません(笑)」と宣言して、我々大笑い。で、ピアノの前に座り、いきなり「レッチリのカバーして良い?」という一言で始められたのが、

1)Can't Stop (Red Hot Chli Peppers)
祥子さんが「54にしてはまった」(本人談)とおっしゃるレッチリ、まさかの1曲目。


Red Hot Chili Peppers - Can't Stop (Offical Music Video)

以下、いつものようにセットリストを書いていきます。
2)Frederick
これはもともとPatti Smithの曲ですが、祥子さんが以前もカバーした名曲。
3)ささやかな奇跡
これは『風の扉』所収の曲ですが、最初提出した時はもっとメロウな感じで、歌詞もカーペンターズのある曲を借りて仮歌を入れていたそうですが、当時はやっていたBasiaとかを参考にしたダンサブルなアレンジをされて今に至るそうです。この曲の中で、少しHuey Lewis and The News Do you believe in love が挿入されました。
4)恋は罪
この曲を聴くたびに、自分の左手の結婚指輪を意識しちゃいます(笑)。
5)愛と幻想の旅立ち
6)You take me, You Make Me
と立て続けにピアノで弾き語り、真ん中に置いていたエレキに手を出して歌い出したのが
7)光の駅(原曲コードはAだけどわざとGでバーション)
でした。今回のライブでギターはこれのみ。そのままシームレスに祥子さんが「実は影響を受けた」とおっしゃる Tom PettyFree Fallin'I won't Back Downも。コード進行が似ていると言っても、全然別物なのに、こうして繋げてしまうところが天稟だなあ、と改めて感じ入ります。
8)Sweet Serenity and Chocolate Milk Tea
9)恋のショットガン
10)ときめきは涙に負けない
11)ラジオのように
この曲の間にはあの超名曲Paul Ankaの Diana が挿入されました。
12)忘却
この曲の時、祥子さんがMCでデビュー当時のことを語りました。「わたし、当時(の関係者から)、良い曲なんだけどもう少し明るさというか・・・みたいな注文をつけられることが多くて、いや、私は暗い曲を作っているつもりもないし、とか思っていたんです。暗い部分もあるし、明るい部分もある、その両方があるって」と言ってこの曲を歌いきり「やっぱ、私暗いですね(会場爆笑)」というオチ。

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13)When You Sing
14)Open Arms (Journey)


Journey - Open Arms (from Live in Houston 1981: The Escape Tour)

ここで一旦ご自身で考えていたセットリストがほぼ終わったようで「何かリクエストあります?」といきなりのリクエストタイム。ライブ友人のRさんがすかさずリクエストし、見事採用。それが
15)あの空に帰ろう
でした。後の打ち上げの席でRさんに「いつものRさんの好みと違ったリクエストじゃないですか(いつもはもっとハード気味のロックな曲をリクエストすることが多いので)」と少しつっこんじゃいました。
16)どこにもかえらない
ここで本編は終了。控え室で一息つく間もなく、祥子さんが再登場して、アンコールです。
e1)その愛を
「何かリクエストあります?」と再びのリクエストタイム。三人ほどからリクエストが出たのですが、「うーん」と言っていきなりイントロで判るこの曲を弾き出した祥子さん。思わず笑ってしまいました。よくある事です(笑)。
e2)ムーンダンスダイナーで
「そういえば、ニール・サイモンが亡くなっちゃいましたね。私にとって、ニール・サイモンとニューヨークは切っても切れない感じなんですが、ここはニューヨークだと思って」という前振りの後、この曲が歌われ、これにてライブが終了。

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この後、物販にて、出たばかりのViSions(祥子さん、菅原弘明さん、郷田祐美子さんのユニット)『The First Vision』を早速購入。そして、そのまま成り行きで(というが強引に?)サイン会になって、僕もサインをしていただきました。その時に僕がTwitterで「祥子さんと新居昭乃さんは実は誕生日が同じ」と呟いて、お二人が会話をなさったことを話題にさせていただきました。最近ですと、坂本真綾さんのトリビュートアルバムにお二人とも参加していたり、実はミュージシャンのオニキユウジさんつながりもあったり、あと、初期のアレンジャーで門倉聡さんがいらっしゃるとか、結構共通点が多い気がします。祥子さんは「(昭乃さんは)遠くで活躍されているなあ、と思っていた。でもなかなかお会いする機会がなかった」とおっしゃっていました。


ライブの後は、いつものように、ライブ友だちとともに打ち上げ。幸い、周りはいくらでも飲み屋がひしめく繁華街。僕は日本酒を結構飲んでしまいました。ライブは夕方5時スタート、終わったのも7時過ぎだったのに、気づけば横浜関内の夜はあっという間に真夜中。慌てて横須賀線で東京に戻りました。

東アジアの宗教関連を

今日届いた本のご紹介。なんとなく、日本を中心に東アジアにまたがる関心から購入した宗教がらみのものが多くなった。 

江戸時代の神社 (日本史リブレット)

江戸時代の神社 (日本史リブレット)

 

 高埜先生のブックレット。この前、朝幕関係のややこしい論文を院ゼミで輪読したが、これはすっと読めそう。 

 これも薄いブックレット。沼崎先生が「セデック・バレ」などの解説をしてくれている。 

 インド、フィリピン、台湾、朝鮮、シリアを視野に入れた幅広い論文集。僕は植民地化の台湾と朝鮮に完すっろんぶんを参照するだろう。 

昭和・平成オカルト研究読本

昭和・平成オカルト研究読本

 

 僕みたいな研究者は、買わねばならない本。そう言えば、『サイゾー』からは二回くらいメール取材受けたことあるな。 

肉食の社会史

肉食の社会史

 

 日本仏教の「肉食妻帯」にももちろん興味はあるが、日本でどのように肉食がおこなわれてきたか、と言うのを説き起こした本のようなので、購入。中世史の方だな。 

忘れられた皇軍兵士たち

忘れられた皇軍兵士たち

 

 傷痍軍人たちを追いかけた写真集。まさに「忘れられた存在」の彼らの写真を見ると、息が詰まる思い。 

天空の聖域ラルンガル ――東チベット宗教都市への旅(フィールドワーク)

天空の聖域ラルンガル ――東チベット宗教都市への旅(フィールドワーク)

 

 

 中国の宗教政策にお詳しい川田進先生の本を2冊まとめ買い。最近出されたのが、朝日新聞の書評欄で取り上げられていたので。 

〈島〉の科学者: パラオ熱帯生物研究所と帝国日本の南洋研究

〈島〉の科学者: パラオ熱帯生物研究所と帝国日本の南洋研究

 

 「帝国」における学知を追求している坂野先生の最新刊。まあ、買っちゃいますよね。

鈴木祥子の日の出町金曜礼拝〜主の道に恋をして♪

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この日、僕はいそいそと横浜は関内の近所の日ノ出町の「試聴室その3」というライブハウスに赴きました。目的は「鈴木祥子の日の出町金曜礼拝〜主の道に恋をして♪」と題された鈴木祥子さんのライブに参加するため。このライブはちょっと普通とは違って、予約や前売りチケット制をとらず「その日、いきなり来て欲しい」という意図で行われたため、僕など遠征組はちょっと早めに会場に到着し、整理券を受け取りました。その後、カフェなどでライブ友達と適当に時間を潰し、集合時間に再び会場へ。

今回のライブは、タイトルから判るように、最近キリスト教に急接近した祥子さんが、オリジナルの賛美歌も交えながら、という趣旨。僕は元々熱烈な祥子さんファンですが、今回は、ちょっとだけ(約1割くらいの気持ちで)宗教学者としての好奇心(というと失礼ですけど)がうずいた、というのも偽らざるところです。

以下では、いつものように、ライブ中にとったメモを中心にその様子を綴っていきたいと思います(今回のライブでの演奏は全てピアノ)。

白いドレスで現れた祥子さんはまず

1)水の冠

からライブをスタート。このみずみずしい歌は、まさにエヴァーグリーンですね(文字通り)。続いてメールでリクエストされたという

2)わたしの望み

が歌われました。その後、ある讃美歌のさわりを口ずさんで、

3)祈り求めるとき(新曲)

という祥子さんオリジナルの讃美歌が歌われました。これは以前ブログでは公開されていましたが、ライブでは初めて。「新約聖書の語句をつなぎ合わせて作りました。こういう手法は、実は「Blonde」でも使いました」とのこと。

4)Sweet Basil

実はこの曲を聴いたとき「え、讃美歌の直後に、こういう不倫の曲はありなのか?」とちょっぴり思いました(笑)。済みません・・・。

5)For all we know(Carpenters

これはカーペンターズのカヴァー。日本語訳としては「二人の誓い」と翻訳されていたようです。


The Carpenters - For All We Know (INCLUDES LYRICS)

 

さて、ここからは「昭和歌謡トリビュートコーナー」へ。まずは最近亡くなられた作詞家の千家和也さんを偲んで、彼の作詞した曲から、祥子さんが昔から好きな以下の二曲がチョイスされました。

6)終着駅(奥村チヨ


奥村チヨ 「終着駅」 1971

「私20代前半まで洋楽一辺倒だったんですよ。かっこいい=洋楽、みたいに思っていたんですが、今では何て愚かだったのか、と思います」「でも、いわゆる歌謡曲の豊穣な世界に目覚めました。この曲なんか、シャンソン風味もありますよね」

7)逃避行(麻生よう子


逃避行 / 麻生よう子

「9歳くらいにこれを聞いてから、何て良い曲なんだと思ってずっと好き」なのだそうです。

8)初めての出来事(桜田淳子


✿桜田淳子 はじめての出来事【歌詞付き】

これに反応できる観客は少なかったですが、祥子さんが歌うと何人かは「聞いたことがある」という顔をしていました。まあまあスマッシュヒットしていたらしいのですが。この曲は作詞は阿久悠、作曲は森田公一というコンビの曲。祥子さん曰く「昭和50年頃って、アイドル歌謡が少しずつ変化していく頃だと思うんですよね。この曲なんかもそうだと思います」とのこと。

9)半分少女小泉今日子


小泉今日子 半分少女

この曲は祥子さん、キョンキョンのバックバンド時代に弾いたことがあるそうですが、「この曲は歌謡曲の流れの最後あたりに位置づけられるものがあると思う」とのことです。このあとはキョンキョンつながりで

10)優しい雨

が梅雨空の下で歌われ、次は会場からのリクエストで

11)Sweet Thing

が歌われ、その次は比較的最近の曲である

12)旅立つことを決めれば

でしたが、祥子さん曰く「この曲は実はさっきの「Sweet Thing」と似たテーマ。亡き人に捧げる、というところが」とおっしゃっていました。

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13)新曲

これは正確には、20年前に曲はできたが、歌詞ができなかったもので、今度のユニット「ViSion(菅原弘明さんと郷田祐美子とのスリーピースバンド)」で正式にお披露目することになるとのこと。

14)Happiness→Happiness2019

ファンの間では言わずと知れた名曲ですが、今回は「2019」と銘打った新しいヴァージョンが発表され、それと旧ヴァージョンが行ったり来たり、というアクロバットな展開に。「2019」はコード進行は同じで、歌詞を作り直したゴスペルですね。こういうことをやれてしまうところが祥子さんの恐ろしいところだと思いました。

15)オリーブの樹の下で(新曲)

これもオリジナル讃美歌の一つ。

16)恋のショットガン(リクエスト)

祥子さんは「ちょっと待って」と言って、CD『Candy Apple Red』の歌詞カードを取り出し、それを見ながら歌いました。楽譜は必要ないって、やはり単純にすごい・・・。

ここまでが本編で、以下はアンコールです。

e1)愛はいつも(リクエスト)

「今回のこのライブは、私の部屋へようこそ、というコンセプトでやってみたかった。ふらっと来てもらって、歌を聴いてもらう、というような」と祥子さん。

e2)二人の願い(リクエスト)

これも最近の曲。沖縄でインスパイアされた曲で、沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」も挿入されました。

e3)鼓動(Heart Beat)

この曲が歌われ、ライブの最初で歌われた讃美歌を歌いながら、祥子さんは退場し、このライブは終了しました。

終演後、ライブ仲間とだべっていたら、楽屋から祥子さんが現れ、少しご挨拶・・・のつもりが、「僕の得意分野」に関するご質問を受けて、調子に乗ってしゃべりすぎてしまいました・・・。そのことは祥子さんのブログでも言及されております。「K・T」とは誰のことでしょうか(すっとぼけ)。「こういう企画はまたやりたい」とのことでしたので、僕としてもできるだけまた参加させていただきたい、と思うだけです。そう言えば昔祥子さんは「私のうちに、レコードを聴きに来なよ」というコンセプトでレコード鑑賞会をやったこともありましたね・・・(リンク先は京都で2008年にやったときのレポです)。祥子さん、そういうフラットな場でともに音楽を楽しむ、というコンセプトはお好きなのでしょうね。ファンとしてはありがたい限りですが。まずは9月の京都でのライブを楽しみにしたいと思います。

大阪にて

先日、母の誕生日を我々姉弟で祝うために大阪の福島のレストランで簡単な食事会をした。それが早めに終わったので、僕はそのまま堂島のジュンク堂に行き、新たについた予算で何か買おうと、まとめ買い。 

戦争社会学研究3 宗教からみる戦争 (第3巻)

戦争社会学研究3 宗教からみる戦争 (第3巻)

 

 この研究会、やたら知り合いが多いので、買わざるを得ない(笑)。特に今回の特集は「宗教と戦争」ということで、半分が知り合いなんだよな。 

宗教と開発の人類学――グローバル化するポスト世俗主義と開発言説

宗教と開発の人類学――グローバル化するポスト世俗主義と開発言説

 

 いくつか面白そうな論考が載っているので。 

宗教事象事典

宗教事象事典

 

 知り合いが翻訳しているフランスの大部な事典。何か判らないものを引いて確認するというよりは、気になるところを読む、という使い方でしょうね。 

フランツ・ローゼンツヴァイク:生と啓示の哲学

フランツ・ローゼンツヴァイク:生と啓示の哲学

 

 研究室の後輩にあたる丸山君の大著。彼とは宗教学会の後の飲み会でしゃべった程度の仲ですが、研究のすごさに圧倒されたので。 

植民地朝鮮の児童保護史: 植民地政策の展開と子育ての変容

植民地朝鮮の児童保護史: 植民地政策の展開と子育ての変容

 

 植民地教育史って、実は余り触っていないんだよね。本はそこそこ買っておりますが。 

原始文化 上 (宗教学名著選)

原始文化 上 (宗教学名著選)

 

 古典的人類学者タイラーの大著の完訳(の上巻)。このシリーズ(宗教学名著)は全部買います。 

万葉集の発明 新装版

万葉集の発明 新装版

 

 令和改元のあおりで復刊された。新たな後書きに品田先生は「新しい年号の典拠を『万葉集』に求めたとの安倍総理の談話から、かつての読者たちが本書を想起し、インターネット上で「品田の本を読め」と話題にしたことが反響を呼んで、またたくまに再刊の運びとなった。摩訶不思議な巡り合わせだが、ともかくも安倍晋三氏に感謝すべき所ではあろう。どうもありがとうございます。とはいえ、談話の内容に賛同する気はさらさらありませんから、どうぞお間違えなきように。」と書いていて辛辣で笑った。 

 オリンピックイヤーの前年に、こういう本が出たことを慶びたいですね(皮肉なしで)。

気になる本をまとめ買い

このところ、読むスピードが目に見えて落ちているのだが(すぐツイッターとかに逃げすぎ)、懲りずに何冊か学術書をまとめ買い。半分ほどは大学図書館に納入したが。 

キリスト教と寛容:中近世の日本とヨーロッパ

キリスト教と寛容:中近世の日本とヨーロッパ

 

 キリシタン史の浅見先生が編んだ論文集。 

顕密のハビトゥス  神仏習合の宗教人類学的研究

顕密のハビトゥス 神仏習合の宗教人類学的研究

 

 このところ、ブッキッシュな研究ばかりで、こういうフィールドワーク系の研究所は手に取ってなかったな、という反省も込めて。フィールドは九州北部。 

帝国の福音: ルーシィ・ピーボディとアメリカの海外伝道

帝国の福音: ルーシィ・ピーボディとアメリカの海外伝道

 

 小檜山先生渾身の著作。 

奄美 日本を求め、ヤマトに抗う島―復帰後奄美の住民運動―

奄美 日本を求め、ヤマトに抗う島―復帰後奄美の住民運動―

 

 このところ、奄美と沖縄に関してのものは結構買ってしまう。

 

 

「神国」の正統論 『神皇正統記』受容の近世・近代

「神国」の正統論 『神皇正統記』受容の近世・近代

 

 丹羽さんと齋藤君のお二人は、博士論文を書籍化して、ともに送ってきてくださった。両方とも貴重な成果。

 

朝鮮学校の教育史――脱植民地化への闘争と創造

朝鮮学校の教育史――脱植民地化への闘争と創造

 

  

戦後日本における民族教育と、 植民地朝鮮における教育史の本もまとめ買い。 

東アジア 遭遇する知と日本

東アジア 遭遇する知と日本

 

 昔からお世話になっている桂島先生が編集された書籍。僕も良く知る若手が多く執筆している。 

明治大帝の誕生: 帝都の国家神道化

明治大帝の誕生: 帝都の国家神道化

 

怒濤の勢いで相次いで本を出されている恩師の本も、当然購入。僕も言うまでもなく「広義」の国家神道論に与するものです(というか、制度論的な狭義の国家神道では、こぼれ落ちるものが多すぎる)。 

民衆宗教論: 宗教的主体化とは何か

民衆宗教論: 宗教的主体化とは何か

 

 恩師島薗先生の若い自分の論文と、安丸良夫先生の論文を、磯前先生がまとめる形にした論文集(磯前先生も論文を執筆)。

 

ネット右翼とは何か (青弓社ライブラリー)

ネット右翼とは何か (青弓社ライブラリー)

 

 これは買わねばなるまい、と思い購入。知り合いも執筆しているし。 

みんなの「わがまま」入門

みんなの「わがまま」入門

 

 これまた知り合いの富永さんの本。 

農学と戦争 知られざる満洲報国農場

農学と戦争 知られざる満洲報国農場

 

満洲国(日本)の国策に振り回された農学者たちの記録。著者の小海先生は知り合い(昔、院生時代に朝鮮語中級を習った仲)。  

平和を我らに: 越境するベトナム反戦の声 (シリーズ日本の中の世界史)

平和を我らに: 越境するベトナム反戦の声 (シリーズ日本の中の世界史)

 

 油井先生の本は、つい買っちゃう。 

創造された「故郷」: ケーニヒスベルクからカリーニングラードへ

創造された「故郷」: ケーニヒスベルクからカリーニングラードへ

 

 ロシアとその周辺の歴史は、結構興味深い事例が多く、参考になるかも知れないと思い購入。以前、この書の翻訳者の橋本伸也先生の『記憶の政治――ヨーロッパの歴史認識紛争』を院ゼミで読み、面白かった、ということもある。

四月病

四月になり、新年度の予算が下りる頃には「これからバリバリ本を買って読んでやるぞ」という「四月病」とも言える症状が出て、一気に本を買ってしまいがち。もちろん今はご多分に漏れず、五月病なのですが(笑)。ともあれ、この一ヶ月で購入した本をざっと羅列してみます。 

韓国立正佼成会の布教と受容

韓国立正佼成会の布教と受容

 

 昔からお世話になっている渡辺先生のご著書(この本のもとになった論文も以前いただいたことがある)。先生は今までブラジルや「満洲」など「移民社会」の動向を追っていらした方だが、今回は韓国における法華経系の立正佼成会をターゲットにした本をものされた。 

現代日本における自然葬の民族誌

現代日本における自然葬の民族誌

 

 これまた知り合いの金さんの博士論文の書籍化。彼女から日本や韓国における「自然葬」のお話を聞いていて、興味深いなと以前から思っていたので購入。

 

 

神聖天皇のゆくえ: 近代日本社会の基軸 (単行本)
 

 

宗教と社会の戦後史

宗教と社会の戦後史

 

恩師島薗進先生の本もまとめ買い。最後のものは、先輩の堀江さんが編者。どれもこれから心して読まねば。 

 

東日本大震災後の宗教とコミュニティ

東日本大震災後の宗教とコミュニティ

  • 作者: 星野英紀,弓山達也,川副早央里,星野壮,齋藤知明,小川有閑,??顕功,小林惇道,魚尾和瑛,藤井麻央,寺田喜朗,君島彩子,黒崎浩行
  • 出版社/メーカー: ハーベスト社
  • 発売日: 2019/03/07
  • メディア: 単行本
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 これも宗教学者の論集。タイトル通り、東北におけるいくつかの地域のフィールドワークの成果。 

ミナト神戸の宗教とコミュニティー (のじぎく文庫)

ミナト神戸の宗教とコミュニティー (のじぎく文庫)

 

 以前、神戸の様々な宗教施設(正教会、モスク、シナゴーグ関帝廟)を巡ったことがあるが、それを思い出しつつ購入。 

科学者と魔法使いの弟子 ―科学と非科学の境界―

科学者と魔法使いの弟子 ―科学と非科学の境界―

 

これまた知り合いの中尾さんの新刊なので購入。  

 この小林先生という方、僕は存じ上げないのだが、タイトルで購入しちゃった。 

みんなで戦争 銃後美談と動員のフォークロア

みんなで戦争 銃後美談と動員のフォークロア

 

 青弓社のこの手の本は、買うようにしています。総力戦下の庶民のメンタリティの追求。 

原爆をまなざす人びと―広島平和記念公園八月六日のビジュアル・エスノグラフィ

原爆をまなざす人びと―広島平和記念公園八月六日のビジュアル・エスノグラフィ

 

 個人的な関心として、最近「トラウマ」とか「追悼」をどう考えるか、というのが常に念頭にあるので、この手の本を買ってしまう。知り合いの小倉さんが編者の一人。 

ヒロシマ・パラドクス―戦後日本の反核と人道意識

ヒロシマ・パラドクス―戦後日本の反核と人道意識

 

 これもタイトルで購入決定。ここでの「パラドクス」というのはヒロシマ(もしくはナガサキ)の経験が、「普遍化され」、米国の原爆投下責任や、日本の戦争責任がうやむやになってしまった事態を指すのであろう。

「主戦場」鑑賞

今日は、京都シネマにて、話題の映画、「主戦場」を鑑賞。早めに会場に行ったが、上演2時間前で既に20番台だったので驚いた。


ミキ・デザキ「『主戦場』ってどんな映画」:主戦場

ストーリーは、ざっくり言うと、「従軍慰安婦」問題に関して、「両陣営」の言い分を聞く、というスタイルだが、監督は当然右派(歴史修正主義派)には批判的。であるから、僕にとってはある意味「予想通り」の内容ではあった。様々なメディアで既に内容について言及されているが、この映画の肝は間違いなく、無防備なほどに自分の主張を垂れ流しにしている歴史修正主義派の面々の「顔」である。はっきり言えば、「醜い」としか言いようのない主張(レイシズムとセクシズムの悪魔合体)もそのまま彼等は「自分の主張は受け入れられるに違いない」という不思議な信念の元、開陳しているのだ。当然、会場内ではそういう場面になると失笑が起きるのだが(こんな映画を見に来るくらいの人々なのだから、こういう反応は当然)、悔しいことに、彼等の主張は、数々のバックラッシュという形でもって、現実に影響力をこの数年延ばし続けているのである。そういう意味で、いかに右派の連中が愚かな主張をしていて、それを会場で笑ったとしても、隔靴掻痒感が拭えない、というのも正直な気持ちである。

以前も、例えば小林よしのりのような人に対抗するためには「もっと声を大きく」とか「分かりやすく人々に」というスローガンが言われたときもあった(僕自身も人からそう言われたことがある。余計なお世話だったが)。しかし、歴史修正主義派の面々の主張が波のように襲ってきても、その波をどっしり構えて打ち砕くような硬い巌のような歴史的積み重ねをしてきた面々も、この映画ではしっかりと捉えている。具体的には、歴史学者の吉見義明先生、林博史先生、政治学者の中野晃一先生、そして日韓のアクティヴィストの人々。このブログや、僕がやっているツイッターなども、そういう言説の「主戦場」の一つだが、やはり、もっと違う「主戦場」はあるはずだ、との思いを新たにした、というのが、僕のこの映画に対する感想である。