美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

年度末に

もうすく年度末。ということで、残った研究費で、本をまとめ買い。あと何冊か著者からいただいたりもしたので、その本のご紹介。 

 黒住真先生の大学院ゼミの後輩、松谷基和君から彼がハーバード大に出した博士論文の自己翻訳のこの書をいただく。これまで韓国の近代史研究においては、篤実なクリスチャンがそのまま愛国者ナショナリスト独立運動家である事例も多いために、「キリスト教」と「ナショナリズム」がある意味無批判に結びつけられて語られてきた。松谷君のこの研究は、そのようなナラティブに異議を唱えたもの、ということができるだろう。  

 同じ明石書店から、中国に関する本も出てきたので購入したら、上記の松谷君の弟さんが作者と知りびっくり。

躍動する「国体」 筧克彦の思想と活動 (日文研叢書)

躍動する「国体」 筧克彦の思想と活動 (日文研叢書)

  • 作者:西田彰一
  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: 単行本
 

 知り合いの西田君からも、彼の博士論文をもらった。筧克彦という奇矯な言動で知られる人物には興味はあっても、自分ではなかなか調べる時間もなく(蓑田胸喜も同様)有難い。注が充実しているなあ。 

ソウルの起源 京城の誕生-1910~1945 植民地統治下の都市計画
 

 訳者の橋本妹里さんのご厚意で、この本をいただきました。ありがとうございます。植民地権力によって、いかにして「京城」という都市が形成されたのか、という都市計画から見た京城(ソウル)の歴史。 

「自由」を求めた儒者-中村正直の理想と現実 (単行本)
 

 ぱっと目についた思想史の本。「儒者」という響きが気になったので。 

われわれが災禍を悼むとき:慰霊祭・追悼式の社会学

われわれが災禍を悼むとき:慰霊祭・追悼式の社会学

  • 作者:福田 雄
  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: 単行本
 

 東北やインドネシア津波という災禍に、人びとはどのようにして向き合ってきたかという宗教社会学的研究。 

 これも被災とその復興・追悼というテーマで、国内外の事例から考察した論集。三木英先生が編集されたもの。 

 浦上のキリシタンたち(いわゆる「四番崩れ」事件)については、僕もそこそこ研究書を読んできたので、これも。殉教という語りの生成過程を追ったもののようだ。 

近代朝鮮の政治文化と民衆運動: 日本との比較

近代朝鮮の政治文化と民衆運動: 日本との比較

  • 作者:景達, 趙
  • 発売日: 2020/03/10
  • メディア: 単行本
 

 僕にとっては、第二の指導教官とも言うべき、恩師の趙景達先生の「定年記念論文集」。これから心して読ませていただきます。 

 大貫先生は、以前特攻隊と桜をモチーフとした『ねじ曲げられた桜―美意識と軍国主義

』いう書も書かれているが、これも「花のシンボリズム」を追ったものだろう。 

建築の聖なるもの: 宗教と近代建築の精神史

建築の聖なるもの: 宗教と近代建築の精神史

  • 作者:土居 義岳
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本
 

 僕は建築、建築史には全く暗いが、タイトルからして興味が湧いたので購入。  

私の天皇論

私の天皇論

  • 発売日: 2020/02/25
  • メディア: 単行本
 

 知り合いの編著なので購入。古代から近現代まで、様々な論考が収録されており、ゼミでどれかを読ませようかな、という気持ちにもなる。