鈴木祥子@拾得「SZK56直前SP」
今日は久々のライブ。京都の老舗ライブハウス「拾得」にて、鈴木祥子さんの「SZK56直前SP」と題されたライブでした。これはネタばらしすると「鈴木さんがあと20日ほどで56歳になる直前のスペシャルライブ」という意味です。祥子さんは「55歳はまだ納得がいったけど、56歳というのは・・・」とおっしゃっていましたが(笑)。
さて、いつもの如く、セットリストと簡単な感想などを挟んでレポートしたいと思います。特に今回は、色々な事情で参加できなかったライブ友達が複数いて、彼らのために書く、という約束になってしまったので(なくても書きますけど)。
今日は祥子さん一人で、ずっと拾得のアップライトピアノで弾き語りというシンプルなスタイル。祥子さんは黒の涼しげなワンピースで登場。友人が言っていたのですが、このライブは先日亡くなった「センチメンタル・シティ・ロマンス」の中野督夫さんと「詩人の血」の渡辺善太郎さんに捧げる、と直前にもおっしゃっていましたから、そういうニュアンスもあったのかも知れません。
1)幸福の樹
これはライブでは久々と祥子さんもおっしゃっていました。僕もライブで聞いた記憶が殆どない。祥子さんは「川村真澄さんの『誰もが心の中 育てている リボンを付けた 幸福の樹 あんまり何げなくて ありふれて 枯れたときにはじめて その名前を知る』というビターな歌詞が(年を取ると)しみる」というニュアンスのことをおっしゃっていました。
2)水の冠
これは「幸福の樹」と同様、「Eコード」だそうです。その流れで。
3)南にドライヴして
この曲の時、祥子さんの「ギアが上がった」というか、声の張りが一段と高くなった気がします。
4)水の中の月
祥子さんの切ない系の曲で、僕も好きな曲。この曲から切れ目なしに
5)夏はどこへ行った
というデビュー曲へ。祥子さんが「皆さんの中で、これのシングルCD、短冊みたいなあのCD買って下さった方いらっしゃいます?」と訊くと、一人手を挙げたので、「その節はありがとうございます。そのまま33年以上も・・・。あのシングルCDの写真、暗い感じのやつでしたよね。本当はもっと明るいのもあったのに(あれが選ばれて)、当時の(ソニーの)宣伝の戦略が(笑)」とおっしゃっていたのですが、恐らく売り出し方として「おとなしげな文学少女っぽいイメージ」を大事にしていたと言うことでしょうね。デビューアルバム『VIRIDIAN』もうつむいた写真でしたし。
6)モノクロームの夏
夏、といえばやはりこの曲、とご本人もファンも一致して思っているこの曲が歌われました。
7)日記(リクエスト)
いきなり「何か聴きたい曲は」とリクエストが募られ、数曲が一旦ペンディングとなり、この曲が選ばれました。
8)ベイビーイッツユー
「この曲で第一部を終えるので、景気づけに明るい曲でもやりましょうか?」と始められたこの曲。祥子さんは「男はつらいよ」が好きなので「今の台詞、何か寅さんっぽかったですよね。何か景気づけに明るい曲でもやってやろうじゃないか、みたいな感じで(笑)」とおっしゃっていましたが、途中で祥子さんの歌詞が飛び、最前列に座っている(恐らく歌詞も憶えているであろう)コアなファンに「何だっけ」と目配せしたのですが、マスク着用が義務化されているこのご時世もあり、大きな声を上げて良いのかという葛藤が一瞬会場を支配しましたよね、あれ・・・。
「ひとりきり 生きていく なんて素敵なの」というこの曲のサビについて「素敵じゃねえよ!」とやさぐれるパターンも今までありましたが、今日は「一人でも素敵かも知れないけど、二人、もっと大勢で生きていくのも、もちろん素敵ですよね」という、今まで余り見たことのないモードでした。ここで一旦休憩(換気タイム)。
9)GOD Can Crush Me
最新シングル、第二部のスタートで来ました。僕はこの曲を最初に聴いたとき、曲調とかは全く違いますが、宗教的な語彙でのポップスということで、マドンナの「Papa Don't Preach」を思い出しました。GODとPapaという似たような権威者、という連想ですが。
10)愛と幻想の旅立ち
祥子さんはこの曲、途中まで左手1本、つまりベースラインだけで弾き語りしていました。こういうのもできるんだ・・・。「私のレコードレーベルのBearforest Recordsも設立から12年が経ちましたが、この曲も少し歌詞を変更して、リミックスして「BearforestのBest Singles」に入れたいと思っているんですよ」とのこと。
11)東京で生まれた女
「これはもちろん『大阪で生まれた女』のパロディなわけですが、住んでいた川端二条から出町柳までの道すがらこの曲は浮かんできた」とのことです。僕も今日の帰り道は祥子さんがこの曲を着想したルートを辿って帰宅しました(笑)。ちょうど帰路の途中なので。
12)両手いっぱい(リクエスト)
これは第一部で募られたリクエストが「復活」して取り上げられた形。「(楽屋に帰って確認したら)難しい曲なんですが、チャレンジ好きな私は敢えて」とおっしゃり、採用。
13)夜の中へ
「これも難しい曲ですが、もう一曲チャレンジ」とのこと。
14)海辺とラジオ
いかにも夏、という感じで良いですね、この選曲。
この曲の後しみじみと祥子さんは「こんな状況下で、皆さんがこうして集まってくれたことがしみじみ嬉しい」という趣旨のことをおっしゃいましたが、我々としても京都に来てくれたことが嬉しいし、明日から京都も再び「蔓延防止措置」で、ちゃんと活動できなくなる直前というタイミングに胸をなで下ろしました(笑)。ほんと、ギリギリセーフ。
15)Adios
というお別れの歌で、第二部は終了。以下はアンコールです。
16)逆プロポーズ(仮)(リクエスト)
この曲のリクエストがアクセプトされた友人はガッツポーズ(笑)。
17)GOD Can Crush Me (reprise)
最新シングルをもう一回。改めて歌詞を聴くと、「我々を試みに遭わせず」という「主の祈り」に近いものを感じました。
18)危ない橋
この曲で今回のライブは終了。
コロナ禍で人に実際に会うこと自体減っている中、ますますライブというものは貴重だな、という思いを新たにしました。
今後約2ヶ月ごとに祥子さんがこの拾得に来てライブをやってくれる予定なのですが(10月、12月)、「今度会うときは、お互いワクチン二回目、終わっていれば良いね」ということをファン同士、小声でお互いささやきながら、お別れしました(打ち上げもできず。残念)。