美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子の日の出町金曜礼拝〜主の道に恋をして♪

f:id:t-kawase:20190708003156j:plain


この日、僕はいそいそと横浜は関内の近所の日ノ出町の「試聴室その3」というライブハウスに赴きました。目的は「鈴木祥子の日の出町金曜礼拝〜主の道に恋をして♪」と題された鈴木祥子さんのライブに参加するため。このライブはちょっと普通とは違って、予約や前売りチケット制をとらず「その日、いきなり来て欲しい」という意図で行われたため、僕など遠征組はちょっと早めに会場に到着し、整理券を受け取りました。その後、カフェなどでライブ友達と適当に時間を潰し、集合時間に再び会場へ。

今回のライブは、タイトルから判るように、最近キリスト教に急接近した祥子さんが、オリジナルの賛美歌も交えながら、という趣旨。僕は元々熱烈な祥子さんファンですが、今回は、ちょっとだけ(約1割くらいの気持ちで)宗教学者としての好奇心(というと失礼ですけど)がうずいた、というのも偽らざるところです。

以下では、いつものように、ライブ中にとったメモを中心にその様子を綴っていきたいと思います(今回のライブでの演奏は全てピアノ)。

白いドレスで現れた祥子さんはまず

1)水の冠

からライブをスタート。このみずみずしい歌は、まさにエヴァーグリーンですね(文字通り)。続いてメールでリクエストされたという

2)わたしの望み

が歌われました。その後、ある讃美歌のさわりを口ずさんで、

3)祈り求めるとき(新曲)

という祥子さんオリジナルの讃美歌が歌われました。これは以前ブログでは公開されていましたが、ライブでは初めて。「新約聖書の語句をつなぎ合わせて作りました。こういう手法は、実は「Blonde」でも使いました」とのこと。

4)Sweet Basil

実はこの曲を聴いたとき「え、讃美歌の直後に、こういう不倫の曲はありなのか?」とちょっぴり思いました(笑)。済みません・・・。

5)For all we know(Carpenters

これはカーペンターズのカヴァー。日本語訳としては「二人の誓い」と翻訳されていたようです。


The Carpenters - For All We Know (INCLUDES LYRICS)

 

さて、ここからは「昭和歌謡トリビュートコーナー」へ。まずは最近亡くなられた作詞家の千家和也さんを偲んで、彼の作詞した曲から、祥子さんが昔から好きな以下の二曲がチョイスされました。

6)終着駅(奥村チヨ


奥村チヨ 「終着駅」 1971

「私20代前半まで洋楽一辺倒だったんですよ。かっこいい=洋楽、みたいに思っていたんですが、今では何て愚かだったのか、と思います」「でも、いわゆる歌謡曲の豊穣な世界に目覚めました。この曲なんか、シャンソン風味もありますよね」

7)逃避行(麻生よう子


逃避行 / 麻生よう子

「9歳くらいにこれを聞いてから、何て良い曲なんだと思ってずっと好き」なのだそうです。

8)初めての出来事(桜田淳子


✿桜田淳子 はじめての出来事【歌詞付き】

これに反応できる観客は少なかったですが、祥子さんが歌うと何人かは「聞いたことがある」という顔をしていました。まあまあスマッシュヒットしていたらしいのですが。この曲は作詞は阿久悠、作曲は森田公一というコンビの曲。祥子さん曰く「昭和50年頃って、アイドル歌謡が少しずつ変化していく頃だと思うんですよね。この曲なんかもそうだと思います」とのこと。

9)半分少女小泉今日子


小泉今日子 半分少女

この曲は祥子さん、キョンキョンのバックバンド時代に弾いたことがあるそうですが、「この曲は歌謡曲の流れの最後あたりに位置づけられるものがあると思う」とのことです。このあとはキョンキョンつながりで

10)優しい雨

が梅雨空の下で歌われ、次は会場からのリクエストで

11)Sweet Thing

が歌われ、その次は比較的最近の曲である

12)旅立つことを決めれば

でしたが、祥子さん曰く「この曲は実はさっきの「Sweet Thing」と似たテーマ。亡き人に捧げる、というところが」とおっしゃっていました。

f:id:t-kawase:20190708012211j:plain

13)新曲

これは正確には、20年前に曲はできたが、歌詞ができなかったもので、今度のユニット「ViSion(菅原弘明さんと郷田祐美子とのスリーピースバンド)」で正式にお披露目することになるとのこと。

14)Happiness→Happiness2019

ファンの間では言わずと知れた名曲ですが、今回は「2019」と銘打った新しいヴァージョンが発表され、それと旧ヴァージョンが行ったり来たり、というアクロバットな展開に。「2019」はコード進行は同じで、歌詞を作り直したゴスペルですね。こういうことをやれてしまうところが祥子さんの恐ろしいところだと思いました。

15)オリーブの樹の下で(新曲)

これもオリジナル讃美歌の一つ。

16)恋のショットガン(リクエスト)

祥子さんは「ちょっと待って」と言って、CD『Candy Apple Red』の歌詞カードを取り出し、それを見ながら歌いました。楽譜は必要ないって、やはり単純にすごい・・・。

ここまでが本編で、以下はアンコールです。

e1)愛はいつも(リクエスト)

「今回のこのライブは、私の部屋へようこそ、というコンセプトでやってみたかった。ふらっと来てもらって、歌を聴いてもらう、というような」と祥子さん。

e2)二人の願い(リクエスト)

これも最近の曲。沖縄でインスパイアされた曲で、沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」も挿入されました。

e3)鼓動(Heart Beat)

この曲が歌われ、ライブの最初で歌われた讃美歌を歌いながら、祥子さんは退場し、このライブは終了しました。

終演後、ライブ仲間とだべっていたら、楽屋から祥子さんが現れ、少しご挨拶・・・のつもりが、「僕の得意分野」に関するご質問を受けて、調子に乗ってしゃべりすぎてしまいました・・・。そのことは祥子さんのブログでも言及されております。「K・T」とは誰のことでしょうか(すっとぼけ)。「こういう企画はまたやりたい」とのことでしたので、僕としてもできるだけまた参加させていただきたい、と思うだけです。そう言えば昔祥子さんは「私のうちに、レコードを聴きに来なよ」というコンセプトでレコード鑑賞会をやったこともありましたね・・・(リンク先は京都で2008年にやったときのレポです)。祥子さん、そういうフラットな場でともに音楽を楽しむ、というコンセプトはお好きなのでしょうね。ファンとしてはありがたい限りですが。まずは9月の京都でのライブを楽しみにしたいと思います。