「成長物語」と精神分析
今日は新幹線の中で、以下のブックレットを読了。
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2010/01/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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梨木さんの指摘にもあったが、この2作品と『秘密の花園』の最大の違いは、主人公が「できた子ども」かそうではないか、ということ。要するに、『花園』の主人公たるメアリは、インドでお嬢様としてインド人の召使いにかしずかれてはいたが、両親の愛情に恵まれず、癇癪持ちの鼻持ちならない、「可愛げのない子ども」として描写されている。セイラやセドリックとはえらく違うわけだが、却ってメアリの「成長」が描かれることになる。それをこのブックレットは丁寧に追っていっているのだが、読んでいて、何となくユンギアン、というと言い過ぎかも知れないが、精神分析というか、発達心理学の文章を読んでいる気持ちになった。でもこれは、精神分析は神話などまさに「物語」を分析する「知」として登場したのだから、ある意味当然と言えるかも知れない。