美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

唱歌の政治性

以前に買っていたのだが、まだ読んでいなかったので、今日一気に読む。実は、僕の今年のゼミ生で、明治中期に君が代はいかに普及したのか、というテーマで卒論を書いたのがいたから、口頭試問の直前にいまさらあわてて確認、という感じ。

唱歌と国語  明治近代化の装置 (講談社選書メチエ)

唱歌と国語 明治近代化の装置 (講談社選書メチエ)

文章のあちこちで、たくまざるユーモアもさることながら、思いっきり狙っているネタもあったりして笑ってしまった(ネタばれになるので、ここではばらさない)。近代において「文法」という考えと唱歌という教科がいかに「二人三脚」をしてきたか、というのは僕などはまったくあずかり知らなかったこと。でも、一番笑った、というか、山東さんも「ネタ」として僕らに教えてくれているのは「際物唱歌」と呼ばれる一群だろう(pp.112-126)。ここまで「政治性」が明らかだと、今では失笑するしかないのだが、子供への教育って、やっぱり慎重にしないとね、という当たり前のことに気づかせてくれる(こういう歌を叩き込まれる子供の身にもならなくては)。