美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

文化論でオチをつけず

今日も天気が悪く、妻も仕事関係の本を読まねばならないというので、夫婦そろって某カフェですごく長居して読書。読み終わったのはこの本。

中絶と避妊の政治学―戦後日本のリプロダクション政策

中絶と避妊の政治学―戦後日本のリプロダクション政策

  • 作者: ティアナノーグレン,Tiana Norgren,岩本美砂子,塚原久美,日比野由利,猪瀬優理
  • 出版社/メーカー: 青木書店
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: 単行本
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まあ、僕がゼミで読む本に指定しちゃっているんですけどね。
注も多く、しっかりしたもの。訳文もそこそここなれており読みやすいと思う。この本は簡単に言うと、戦後の日本が人工中絶は簡単に認めたのに、ピルの使用をかたくななまでに認めなかった歴史を振り返る、というもの。中絶の後の水子供養については、ウィリアム・ラフルーア先生の『水子―“中絶”をめぐる日本文化の底流』が日本文化論的に鮮やかな切り口を見せてくれているが、この本はそういう文化論をあえて遠ざけ、国会議員、厚生省、産婦人科医、宗教教団、民間のフェミニストグループなど様々な集団の「力学(綱の引っ張り合い)」の結果としての歴史を記述しようとしている。そこが「文化論」にまみれがちの僕には新鮮だった。