美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

若者論

今日は会議及び予習の日。

どこか〈問題化〉される若者たち

どこか〈問題化〉される若者たち

この論集の、松谷創一郎さんと永田夏来さんの論文を読む(永田さんのは今度2年生の基礎ゼミで読ませる予定)。
松谷さんの論文(「〈オタク問題〉の四半世紀」)は、大雑把に言えば「オタク言説」の歴史的推移(鳥瞰図)なわけだが、「そういえば、そういうのもあったよな」と懐かしくなるものがほとんど。僕自身、80年代は『月刊OUT』を読み、自己韜晦するオタクだったしね。この論文を読みながら思ったのは「俺ってなんて自分語り、というか自分と関わりのあるものが学問的に語られるのを丹念に追ってきたか」という反省だった(笑)。最後にある、後藤和智氏への批判は僕も同感。以前『「ニート」って言うな! (光文社新書)』の寸評でも似たようなことは僕も言ったけど、分かり易すぎる二項対立図式と、オールタナティヴの提示にほとんど関心がなさそうなことは以前から気になっていた。

永田さんの論文(「若者と“軽く”なる性」)は、まず単純に、論文の基礎としているデータが興味深い(人工中絶実施率の推移や避妊の実行状況など)。年長世代は「今どきの若い者(の性)は・・・」と言いたくなるところだが、「できちゃった婚」は、あれは少数だから目立つのであって、実際には避妊率は上がっており「やるこたやっているけど、けっこう意識は高い」なんていう実態が浮かび上がってきたりしていて、面白い。
せっかくこの前買ったから、以下の本もパラパラ眺めることとするか(『快感フレーズ』は読まないけど(笑))。

「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治

「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治

中絶と避妊の政治学―戦後日本のリプロダクション政策

中絶と避妊の政治学―戦後日本のリプロダクション政策

  • 作者: ティアナノーグレン,Tiana Norgren,岩本美砂子,塚原久美,日比野由利,猪瀬優理
  • 出版社/メーカー: 青木書店
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: 単行本
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