美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子「かのおもひでに雪は降りつつ」@京都拾得

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今日も京都のライブハウス「拾得」での鈴木祥子さんのライブを見に行きました。今日のライブは題して「かのおもひでに雪は降りつつ」。8月、10月、12月と隔月でおこなわれた3DAYz『GOD Can Crush Me―拾得の熱い夜』のラストでした。一昨日あたりから京都は雪がちらついたりして、すごく寒くなっているのですが、今日も寒い寒い。このライブハウス、年末に何度か来ているのですが、あのときも寒かったことを思い出して、今日はヒートテックのタイツをはいたり、セーターを着たりして、厚着していきました(もちろん、大正解)。
いつものように、以下では今日のセットリストを書きつつ、感想を挟んでいきたいと思います。曲の末尾のアルファベットは、その時祥子さんのが使った楽器で「P」はピアノ、「W」はウーリッツァー、「G」はエレキギターです。今日はサポートメンバーが加わっての、バンドスタイル。メンバーは以下の通り。
Piano/Guitar/Vocal;鈴木祥子
Bass;名村武
Drums;三木宏士
Operation;中山佳敬
祥子さんのお衣装は黒のトップスに、白いスカート(左胸に赤い花のコサージュを付けたり外したりしていました)。

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1)愛は甘くない(P)
2)この愛を(P)


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まずはこの2曲を演奏した後「最初、2曲「愛」シリーズをお届けしましたが、今度は愛から恋へ移行してみたいと思います。名村さんも一緒に作って下さった『Candy Apple Red』から」と言って始められたのが
3)恋のショットガン(懲りないふたり)(P)
で、改めてこの曲はバンド形式に合うなあ、と思いました。
4)まだ30代の女(W)
祥子さんはウーリッツァーオルガンを愛用なさっていますが、このところは長距離移動が難しいということであまり使っていなかった気がしますが、修理が完了したのでしょうか。今日はこれが大活躍でした。
5)Father Figure(W)
この曲が好きなライブ友達は感涙(ちょっと失敗して仕切り直しもあったので、1.5倍の分量を聞けましたし)。
6)Paingiver(W→G)
この曲は最初ウーリッツァーで弾いていたのですが、その奥で名村さんがギターのチューニングをしていて、後半はギターでハードに演奏されました。


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祥子さんの弾きっぷりに「まるでパティ・スミスみたい」と名村さんが言ったからかどうかは知りませんが、その直後の曲は、そのカヴァーである
7)Frederick(W)
でした。この曲と次の曲は名村さんのベースのみで、ドラムの三木さんはお休み。
8)電波塔(P)
「この曲を好きと言ってくださる人が結構いて、リクエストされることも多いですね」「この曲を作っていた頃はJames Taylorの『JT』というアルバムをよく聴いていて、そういう曲を作りたいと思っていて」との裏話も。
9)Silent Dream(P)
この曲、実はなかなか曲名が思い出せなかったのですが、しっとりした良い曲ですよね。
10)God Can Crush Me(P)
最新シングルのチューンにして、今回の隔月ライブのメインタイトルでもあったこの曲、当然外せません。


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11)Be my baby→最後のファーストキス(W)
「さて、最新曲の次は1989年にタイムスリップします。この曲をバンドでやったら結構ロックしているじゃない、と思って入れました」というので何の曲かな、と思ったら、ビックリ。最初の「Be my baby」はちょっとしたおふざけです(ドラムの三木さんが仕掛けた)。


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12)True Romance(W)
これもバンドでやるのが良い曲ですよね。「音圧」が心地よい。一旦ここでライブ終了。この後はアンコール、ダブルアンコールとなります。

e1)風待ちジェット(W、リクエスト)
アンコールの拍手に祥子さん一人がまず戻ってきて、リクエスト募集。坂本真綾さんに提供した曲のセルフカバー。結構この拾得でこの曲をやっている気がします。


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e2)「遠く去るもの(Faraway Song)」(W、リクエスト)
これはレアじゃないかな。

この曲の後、名村さん、三木さんが再登場して、バンド形式で
e3)あたしの場所で(W)
「さっきの「Faraway Song」は遠くに行っちゃう曲ですが、これは旅から帰ってきてああ疲れた、という感慨ってあるじゃないですか。そういう曲です(笑)」とのことでした。
ここでまた3人は退場。今日はここで終わりかな、と思ったら、祥子さんがダブルアンコールに応えてくれて、以下の二曲のリクエストがアクセプトされました。
e4)東京で生まれた女(W)
関西でのライブだと、誰からリクエストしますよね、これ。Nice Choice!
e5)Close To You(W、The Carpenters
祥子さんは過去に『Shoko Suzuki Sings Bacharach & David』というミニアルバムを作成していますが(ディレクターは名村さん)、このリクエストにすっと応えてくださった祥子さん、すごい。リクエストしたライブ友達もGood Job!

今日のライブはこれで本当に終了。京都やライブハウスの寒さ(笑)も忘れるような熱演でしたね、今回も。来月の「アンコールライブ」も楽しみです(卒論提出2日前なのですが、僕は当然学生諸君を放置してこのライブに馳せ参じる予定)。それでは、今日はこのあたりで。

鈴木祥子「二条の月の影のさやけさ」@京都拾得

本日も、鈴木祥子さんのライブに行って参りました。今年はこのコロナ禍のもと、2ヶ月ごとに3回ここ拾得でライブをやることになっており、今日はその2回目。タイトルは「二条の月の影のさやけさ」と題されたもので、これは十数年前、祥子さんが京都にお住まいだったのが川端二条だった、ということに由来しますが、セットリストも「私の曲で、月が主題だったり、歌詞に月という言葉が入っていたり、そして声を出してのコールアンドレスポンスがなかなか出来ないご時世なので、月にまつわるバラード曲を中心に選んでみました」とのこと。以下ではいつものようにセットリストと簡単な感想などをはさんでお届けします。

 結構ギリギリまで祥子さんが熱の入ったリハーサルをされたようで、予定よりちょっと遅れて入場。そして耳に入ってきたのは、来月発売される予定の『My Eternal Songs; Bearforest Cover Book vol.1』の音源じゃないですか!祥子さんのライブで、祥子さんの歌で客入れ、というのは初めてのような気がします。まだリハーサルが続いているかのような錯覚を覚えましたし、僕は既に予約済みですが、このカヴァーアルバムへの期待も一気に高まります。
 祥子さんは肩の出た白のブラウスと黒いスカートで登場(今日のブラウスは、上記のカヴァーアルバムの告知の写真に着ていらっしゃるものと同じだったのでは)。そして、最初に今日のセットリストの傾向を述べてから始められたのが

1)月の足音
でした。この曲、ライブで演奏されるのはすごくレアだと思います。


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その後続けて演奏されたのが
2)Sweet Basil
で、これは歌詞の最初に「ah 月夜の窓辺」とあるからですね。立て続けに、初期アルバム『水の冠』から2曲で、意表を突かれた、というのが正直なところ。


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3)Sweet Sweet Baby
この曲も「帰らぬ人を 許すしかない 赤い月」という歌詞がありますね。


4)サヨナラの朗読
これは超レア、じゃないでしょうか?僕も聞いたときに「『Viridian』に入っていた曲だよな」としか判らず、今、歌詞カードを見て確認しました。「ah 月に照らされて ah似顔絵のようね」というように、これにも「月」がありました。


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祥子さん曰く「デビューからしばらく川村真澄さんに歌詞を書いていただいていましたが、今の自分がこの歌詞を歌うとどうなるだろう、と言うと自分で歌うんだから変ですが、そういう興味があります」とのことで、今日、初期の曲が多かったのは「月」縛りというだけでもないようでした。
 ここで祥子さんは「私の曲で、月、といえばどんな曲が思い浮かびますか?」と聞いてきたので、ライブ仲間のYさんが「水の中の月」と最前列で答えたので、そのまま
5)水の中の月
となりました。ここで祥子さんの裏話として「歌詞のサビの部分、私は2番に回されたのを1番で歌いたかったのに、その時のディレクターにひっくり返されて恨みがあるので(笑)、今回はそのもとの形で歌います」とおっしゃり、先に「悲しみの川底に 沈む月の輝き」と歌い、2番で「どこへ消えてしまうの 何故すべては終わるの」と歌われました。そのままシームレスに
6)波の化石(ファシル)
が歌われました。これもライブではレアでしょうね。「見下ろしていた 月の夜」との歌詞あり、
7)サンデー バザール
8)ステイションワゴン
9)夢の庭で
10)どこにもかえらない
淡々とライブは進んでいったのですが、いつもなら客との「call & response」があるこの曲、大声を出さずマスクの下から我々はハミングをすることに(笑)。
11)言葉
12)エコロジーバッグ
祥子さん曰く「今まで何回かこの曲に対してリクエストを受けていたんですが、なかなか歌う気になれなかった。でも今日は歌います」
13)タイトル未定
新曲。実は某アーティストに提供しようとして没になった曲なのだそうで、メロディだけしか渡していなくて、最近自分で歌詞を付けたとのこと。
14)そしてなお永遠に
今更ですが「あなたを信じます あなたを賛美します」という歌詞のせいで、いつもにましてこの曲が讃美歌っぽく聞こえました。
15)助けて!神様。(So Help Me, God!)
加納エミリさんと組んで、この前出たばかりのシングルですね。「既婚者は黙ってなさい」はい、黙ります(笑)。
16)月とSnap Shot
17)恋人たちの月
今日は時間が押していたのか、休憩無しで一気にここで演奏して、本編は終了。以下はアンコールですが、アンコールはすべて客席から飛んだリクエスト。


e1)優しい雨
祥子さんも「久々に歌ったなあ、これ」
e2)名前を呼んで
これも祥子さん、久々のようで、「どのコードだったっけ?」と手探りで開始。僕はサビの転調も含めて、結構好きな曲です。


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e3)新しい愛の詩
最後に激しく、この曲で締め。


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 「緊急事態宣言」が一応解かれたとは言え、まだ色々制約もあるので、我々ファン同士も立ち話もそこそこに帰路につきました。でも、こうしてライブをしていただくだけでもありがたい限り。ライブ友達と2ヶ月半後の再会を期してサヨナラしました。

鈴木祥子@拾得「SZK56直前SP」

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「拾得」入口

今日は久々のライブ。京都の老舗ライブハウス「拾得」にて、鈴木祥子さんの「SZK56直前SP」と題されたライブでした。これはネタばらしすると「鈴木さんがあと20日ほどで56歳になる直前のスペシャルライブ」という意味です。祥子さんは「55歳はまだ納得がいったけど、56歳というのは・・・」とおっしゃっていましたが(笑)。

さて、いつもの如く、セットリストと簡単な感想などを挟んでレポートしたいと思います。特に今回は、色々な事情で参加できなかったライブ友達が複数いて、彼らのために書く、という約束になってしまったので(なくても書きますけど)。

今日は祥子さん一人で、ずっと拾得のアップライトピアノで弾き語りというシンプルなスタイル。祥子さんは黒の涼しげなワンピースで登場。友人が言っていたのですが、このライブは先日亡くなった「センチメンタル・シティ・ロマンス」の中野督夫さんと「詩人の血」の渡辺善太郎さんに捧げる、と直前にもおっしゃっていましたから、そういうニュアンスもあったのかも知れません。

1)幸福の樹

これはライブでは久々と祥子さんもおっしゃっていました。僕もライブで聞いた記憶が殆どない。祥子さんは「川村真澄さんの『誰もが心の中 育てている リボンを付けた 幸福の樹 あんまり何げなくて ありふれて 枯れたときにはじめて その名前を知る』というビターな歌詞が(年を取ると)しみる」というニュアンスのことをおっしゃっていました。

2)水の冠

これは「幸福の樹」と同様、「Eコード」だそうです。その流れで。


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3)南にドライヴして

この曲の時、祥子さんの「ギアが上がった」というか、声の張りが一段と高くなった気がします。

4)水の中の月

祥子さんの切ない系の曲で、僕も好きな曲。この曲から切れ目なしに

5)夏はどこへ行った

というデビュー曲へ。祥子さんが「皆さんの中で、これのシングルCD、短冊みたいなあのCD買って下さった方いらっしゃいます?」と訊くと、一人手を挙げたので、「その節はありがとうございます。そのまま33年以上も・・・。あのシングルCDの写真、暗い感じのやつでしたよね。本当はもっと明るいのもあったのに(あれが選ばれて)、当時の(ソニーの)宣伝の戦略が(笑)」とおっしゃっていたのですが、恐らく売り出し方として「おとなしげな文学少女っぽいイメージ」を大事にしていたと言うことでしょうね。デビューアルバム『VIRIDIAN』もうつむいた写真でしたし。


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6)モノクロームの夏

夏、といえばやはりこの曲、とご本人もファンも一致して思っているこの曲が歌われました。

7)日記(リクエスト)

いきなり「何か聴きたい曲は」とリクエストが募られ、数曲が一旦ペンディングとなり、この曲が選ばれました。

8)ベイビーイッツユー

「この曲で第一部を終えるので、景気づけに明るい曲でもやりましょうか?」と始められたこの曲。祥子さんは「男はつらいよ」が好きなので「今の台詞、何か寅さんっぽかったですよね。何か景気づけに明るい曲でもやってやろうじゃないか、みたいな感じで(笑)」とおっしゃっていましたが、途中で祥子さんの歌詞が飛び、最前列に座っている(恐らく歌詞も憶えているであろう)コアなファンに「何だっけ」と目配せしたのですが、マスク着用が義務化されているこのご時世もあり、大きな声を上げて良いのかという葛藤が一瞬会場を支配しましたよね、あれ・・・。

「ひとりきり 生きていく なんて素敵なの」というこの曲のサビについて「素敵じゃねえよ!」とやさぐれるパターンも今までありましたが、今日は「一人でも素敵かも知れないけど、二人、もっと大勢で生きていくのも、もちろん素敵ですよね」という、今まで余り見たことのないモードでした。ここで一旦休憩(換気タイム)。


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9)GOD Can Crush Me

最新シングル、第二部のスタートで来ました。僕はこの曲を最初に聴いたとき、曲調とかは全く違いますが、宗教的な語彙でのポップスということで、マドンナの「Papa Don't Preach」を思い出しました。GODとPapaという似たような権威者、という連想ですが。


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10)愛と幻想の旅立ち

祥子さんはこの曲、途中まで左手1本、つまりベースラインだけで弾き語りしていました。こういうのもできるんだ・・・。「私のレコードレーベルのBearforest Recordsも設立から12年が経ちましたが、この曲も少し歌詞を変更して、リミックスして「BearforestのBest Singles」に入れたいと思っているんですよ」とのこと。

11)東京で生まれた女

「これはもちろん『大阪で生まれた女』のパロディなわけですが、住んでいた川端二条から出町柳までの道すがらこの曲は浮かんできた」とのことです。僕も今日の帰り道は祥子さんがこの曲を着想したルートを辿って帰宅しました(笑)。ちょうど帰路の途中なので。

12)両手いっぱい(リクエスト)

これは第一部で募られたリクエストが「復活」して取り上げられた形。「(楽屋に帰って確認したら)難しい曲なんですが、チャレンジ好きな私は敢えて」とおっしゃり、採用。


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13)夜の中へ

「これも難しい曲ですが、もう一曲チャレンジ」とのこと。

14)海辺とラジオ

いかにも夏、という感じで良いですね、この選曲。

この曲の後しみじみと祥子さんは「こんな状況下で、皆さんがこうして集まってくれたことがしみじみ嬉しい」という趣旨のことをおっしゃいましたが、我々としても京都に来てくれたことが嬉しいし、明日から京都も再び「蔓延防止措置」で、ちゃんと活動できなくなる直前というタイミングに胸をなで下ろしました(笑)。ほんと、ギリギリセーフ。

15)Adios

というお別れの歌で、第二部は終了。以下はアンコールです。

16)逆プロポーズ(仮)(リクエスト)

この曲のリクエストがアクセプトされた友人はガッツポーズ(笑)。

17)GOD Can Crush Me (reprise)

最新シングルをもう一回。改めて歌詞を聴くと、「我々を試みに遭わせず」という「主の祈り」に近いものを感じました。

18)危ない橋

この曲で今回のライブは終了。

コロナ禍で人に実際に会うこと自体減っている中、ますますライブというものは貴重だな、という思いを新たにしました。

今後約2ヶ月ごとに祥子さんがこの拾得に来てライブをやってくれる予定なのですが(10月、12月)、「今度会うときは、お互いワクチン二回目、終わっていれば良いね」ということをファン同士、小声でお互いささやきながら、お別れしました(打ち上げもできず。残念)。

大学同期、逝く

ショックなメールをいただいた。
大学入学時からの友人で、読売新聞記者だった福田淳(まこと)君がくも膜下出血で急逝した、という知らせだった。享年49歳(僕と同い年)。

知らせてくださったのは、福田君の高校時代の友人のWさん。大昔、福田君を交えて飲んだことがあるのを彼が憶えていてくれて、ネットで僕を探し「東大の知り合いの方に知らせてくれ」とDMをくださったのだ。

福田とは1990年4月に「東大文Ⅲ1990年入学3組(中国語選択)」というクラスで一緒になり、お互いのオタクな部分を開陳し合って仲良くなった。僕は彼ほど濃いオタクではなかったが、お互い色々吸収し合えた仲だったと、過去の美化込みで思っている。

ちなみに、mixiで、福田が書いてくれた僕の紹介文は以下の通り。

関係:大学時代の友人

一年生で同じクラスになったばかりのころ、お互いローディスト同士であることに気付いて仲良くなった時点で、その後の関係が決まってしまったような気が(笑)。趣味や嗜好は重ならない部分も多いけど、根っこはとても近いのでは、と勝手に思ってます。アカデミックさとおたくっぽさの絶妙なバランスを保ったスタンスに、憧れつつ尊敬の念を抱いています。

 

 確かに、僕は例えば「プリキュア」シリーズに思い入れもなかったし、彼と本当に「好きな者同士」というオタク会話をした記憶は殆どないが、「他人の好みを尊重しつつ、サブカルチャーのポジションを語る」という会話はずっと楽しんできたはず。

彼はオタクカルチャーに関する記事を、読売新聞という日本一のメジャーな新聞紙上で展開して、瞬く間にその筋では有名になった((福)という署名記事は瞬く間に拡散されたはず)。僕は読売新聞を読んでいなかったのであまり彼の動向は抑えてはいなかったが、彼が取材で京都に来たときには彼のホテルの近くに僕が赴いて飲んだり、時には僕が上京したときに待ち合わせて飲んだりして、大学卒業後も結構頻繁に会っている友人だった。最後に彼と飲んだのは数年前、彼が下落合あたりに住んでいて、高田馬場あたりで待ち合わせて飲んだのが最後か。手帳を見れば分かるかも知れないが、今はその気力が湧かない。

ツイッターで彼の訃報を知らせると、予想以上の反響があり、驚いている。

 このツイートのスレッドにも書いたが「俺」「お前」で遠慮なく語り合える友人を亡くす、というのは年齢の上の方を見送るのとは別の哀しみと苦しみがありますね。

誰かがその「番」に当たることになるわけだが、入学当時、最初に固められた語学クラスの中で、彼が最初の物故者になってしまった・・・。病気だとは言え、どこへも持って行き場のない哀しみを感じ「天道非なり」と叫んでいる。

6月5日、近親者のみとは聞いていたのだが、やはり行きたい気持ちが優ったので、高崎で行われた彼の告別式に参列し、高崎市斎場までお供させてもらい、彼のお骨上げをして帰ってきた。

福田、あの世でもう一度酒を酌み交わそう。もう少し、そっちで待っていてくれ。

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福田淳君の遺影と祭壇

R.I.P.

逆五月病

連休明けは僕もご多分に漏れず、憂鬱でけだるい気持ちになるが、その一方で年度の研究費が確定するので、学会費を払ったり、どかっと学術書を購入してしまう「逆五月病」という一瞬だけの狂騒状態になる。その勢いで購入した本は以下の通り。 

 目次を見るに、ウェーバー再考の流れの一つだな。同僚が学生にマルクス関連を読ませているらしいので、僕はこっちを今度指定するか(笑)。

帝国大学の朝鮮人:大韓民国エリートの起源

帝国大学の朝鮮人:大韓民国エリートの起源

  • 作者:鄭 鍾賢
  • 発売日: 2021/04/20
  • メディア: 単行本
 

 戦前の日本の帝国大学に留学した朝鮮人エリートを追った本。京城帝大の教授陣は僕も調べているが、こっちの知識は手薄。

平壌美術(ピョンヤン・アート)

平壌美術(ピョンヤン・アート)

  • 作者:文 凡綱
  • 発売日: 2021/02/13
  • メディア: 大型本
 

 これは現代美術の本。社会主義リアイズムを基調としつつ、どのような絵画が現在の北朝鮮で描かれてきたか、ということをまとめたもの。貴重な仕事と思う。

リベラル国家と宗教: 世俗主義と翻訳について

リベラル国家と宗教: 世俗主義と翻訳について

 

 タラル・アサドの新しい訳書。アサドは「分からん」「難しい」といいつつ、買ってしまう。

宗教性の人類学 近代の果てに、人は何を願うのか

宗教性の人類学 近代の果てに、人は何を願うのか

  • 発売日: 2021/04/09
  • メディア: 単行本
 

 知り合い多数の論文集。宗教概念を主に人類学者の皆さんが再考したもの、かな。

 

 これは僕の専門からして絶対に買わねばならない本。

 大学同期の悪友の赤堀君(僕は昔からサブちゃんと呼んでいるが)の単著。祝、ご出版!多分僕などは読んでも分からぬが、友情に厚い僕は一冊だけ売り上げに貢献することにした。

 

 この2冊の『現代思想』、知り合いが多数執筆だから誰かくれるかな、と甘い期待をしていたのだが、届かないので自分で買いました(笑)。

 

 嗜癖治療の専門家としてお名前は存じ上げていたが、こんな本をお書きになっていたのね。

 

宗教社会学: 神、それは社会である

宗教社会学: 神、それは社会である

  • 作者:奥井 智之
  • 発売日: 2021/05/10
  • メディア: 単行本
 

 奥井先生の昔の社会学の入門書も本棚にあるのだが、未読。でもこんなタイトルなのでつい手が出ちゃった。

 

 京都の差別論で参考になるかと思って購入。

 

 

 

ベトナムのカオダイ教:新宗教と20世紀の政教関係

ベトナムのカオダイ教:新宗教と20世紀の政教関係

  • 作者:北澤 直宏
  • 発売日: 2021/04/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

 イスラームカオダイ教、仏教のフィールドワークの成果をまとめ買い。こういうのは図書館になくちゃね(学科図書室に入れます)。

年度末予算消化終了

2020年度の予算をしっかり使い切りました。先程確認したら、残額が約1000円というぴったり具合。この一月で購入した本は以下のものです。 

グローバル化時代の日韓新宗教 -妙智會教団と圓佛教-

グローバル化時代の日韓新宗教 -妙智會教団と圓佛教-

  • 作者:李 和珍
  • 発売日: 2021/02/25
  • メディア: 単行本
 

 昔から知っている李さんの博士論文。形になってめでたい限り。韓国の仏教系新宗教の円仏教のことを日本語で読める文献も少ないし、妙智会の研究も少ないので、貴重な研究と思います。 

近世日本の災害と宗教: 呪術・終末・慰霊・象徴

近世日本の災害と宗教: 呪術・終末・慰霊・象徴

  • 作者:朴 炳道
  • 発売日: 2021/03/01
  • メディア: 単行本
 

 これも韓国人留学生の博士論文。もともと鯰絵の研究からスタートした朴さんの研究の集大成。ここまで重厚な研究書になった。 

近代日本のジャズセンセーション

近代日本のジャズセンセーション

  • 作者:青木 学
  • 発売日: 2020/08/27
  • メディア: 単行本
 

 

 この二冊は 音楽史をやりたい、というゼミ生のことを思って購入。 

朝鮮衡平運動史料集・続

朝鮮衡平運動史料集・続

  • 発売日: 2021/02/10
  • メディア: 大型本
 

 植民地期朝鮮の差別解消運動に関する史料集の第2弾。

 

 知り合い多数執筆なので。日本ではピンとこないテーマだが、「律法」の宗教が強い世界ではある意味当たり前のテーマ。というか、その実践(practice)が日本の宗教風土と大きく違うゆえんなのだが。

 

戦後日本の満洲記憶

戦後日本の満洲記憶

  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: 単行本
 

  これはタイトル通り、日本の戦後で「満洲」がいかなる意味を持ったか、という論文集。

 よく知られていることだが、韓国大統領だった朴正熙満洲軍出身だった。彼のような満洲軍の朝鮮人が戦後(解放後)の「韓国軍の設立」にどのような繋がっているか、ということを追った本。 

「満洲」に渡った朝鮮人たち

「満洲」に渡った朝鮮人たち

  • 作者:李 光平
  • 発売日: 2019/06/20
  • メディア: 単行本
 

 これは戦後に満洲に残って「朝鮮族」となった人たちの写真集。

 

高麗屋三兄弟と映画

高麗屋三兄弟と映画

 

 

映画人が語る 日本映画史の舞台裏[撮影現場編]

映画人が語る 日本映画史の舞台裏[撮影現場編]

  • 作者:谷川建司
  • 発売日: 2021/01/25
  • メディア: 単行本
 

  

映画人が語る 日本映画史の舞台裏 [配給興行編]

映画人が語る 日本映画史の舞台裏 [配給興行編]

  • 発売日: 2020/10/22
  • メディア: 単行本
 

  

  

戦後「忠臣蔵」映画の全貌

戦後「忠臣蔵」映画の全貌

  • 作者:谷川 建司
  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: 単行本
 

 個人的な趣味で、映画史の本を買っている。これらは全て学科図書室へ。 

台湾、あるいは孤立無援の島の思想

台湾、あるいは孤立無援の島の思想

  • 作者:呉叡人
  • 発売日: 2021/01/19
  • メディア: 単行本
 

 学問上の兄貴分である駒込武先生が翻訳した台湾思想家の本。

年明けに

昨年末に注文して置いた本が、仕事始めの今日に届いていた。最近いただいた本も含めて簡単にご紹介します。 

  森本先生の本は、やはり買ってしまう。上に「Kindle版」と出ていますが、買ったのは書籍です。実は僕、電子書籍を持っていない、今となっては珍しい人間です。

 

 知り合いのゴダール先生の本を、これまた知り合いの碧海寿広君が翻訳したもの。これは原書に手を出そうとしたんだけど、翻訳を待って正解。

 

 このところの青弓社は「攻めている」感じがするなあ。 

 昔買い損ねていたこの本が増補改訂版で出たので購入。清水先生は、僕の恩師島薗進先生の東京外大での同僚であり、僕の親しい先輩である大久保教宏さんの指導教官だった方。この本とは関係ないが、清水先生のお嬢さんが白血病でお亡くなりなったが、その時の骨髄バンク登録活動などは記憶に残っている(島薗先生の研究室の扉にポスターが貼ってあったので)。 

歴史否定とポスト真実の時代

歴史否定とポスト真実の時代

  • 作者:康 誠賢
  • 発売日: 2020/12/18
  • メディア: 単行本
 

 韓国で「反日種族主義」というのがあったが、それに関する批判本。 

感情史の始まり

感情史の始まり

 

 最近よく聞く「感情史」という言葉が気になったので、翻訳者に知り合い多し。 

海外引揚の研究: 忘却された「大日本帝国」

海外引揚の研究: 忘却された「大日本帝国」

 

 いわゆる「引揚」という問題は、植民地を研究する上で避けては通れない。加藤先生のこの大著をいずれ参考にする時が来るだろう。 

戦没者遺骨収集と戦後日本

戦没者遺骨収集と戦後日本

  • 作者:浜井 和史
  • 発売日: 2020/12/24
  • メディア: 単行本
 

 科研でご一緒した浜井先生からいただいた。「戦没者慰霊」という問題は、日本近代宗教史を研究する身としてもこれまた避けられないテーマ。 

靖国神社論

靖国神社論

 

 岩田先生のめちゃくちゃ分厚い靖国論。島薗先生があるところで書評なさっていたので。 

 これも知り合いが多数執筆しているし、すごく挑戦的なテーマだと思う。

 

  

ユダヤ系文学に見る聖と俗

ユダヤ系文学に見る聖と俗

  • 発売日: 2017/10/04
  • メディア: 単行本
 

 あまり文学関係は手を出さないのだが、ユダヤ系文学、というタイトルに惹かれて。