美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

「ユダヤ的なるもの」に関する本

今日届いた本のうち、2冊は「ユダヤ的なるもの」についての本、といえるだろう。僕の出身研究室である東大宗教学科は、伝統的にユダヤ教に関する研究者を擁し、養成しているが、僕自身はヘブライ語にびびって、ろくに市川裕先生の教えを受けなかったことを今更後悔している(卒論、宗論では厳しいご指摘をいただいたけど)。

その「罪滅ぼし」ではないが、やはり宗教研究に携わるものとして、ユダヤ教ユダヤ人に関する本は買ってしまうんですよね。 

共和国と豚

共和国と豚

 

Twitterで発売を知り、予約。そういえば豚って、ユダヤ教の禁忌なのに、つい忘れがち。この本の内容とは直接の関係はないが、かつてイベリア半島で改宗ユダヤ人を「豚(マラーノ)」と呼んだ、という故事を思い出した(小岸昭先生の本で)。

 

 ブエノスアイレスユダヤ人コミュニティの研究。世界中、どこにでもユダヤ人は行っているとは知っていたが、南米のコミュニティについては全く無知なので。

 

BLの教科書

BLの教科書

  • 発売日: 2020/07/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 知り合いの堀あきこさんが編集しているので(彼女が昔出したBLに関する単行本も読んでいる)。多くの作品が引用されており、資料集的にもよさそう。 

媒介物の宗教史 下巻 (宗教史学論叢 24)

媒介物の宗教史 下巻 (宗教史学論叢 24)

  • 発売日: 2020/08/01
  • メディア: 単行本
 

 この「宗教史学論叢」シリーズ、地道に刊行が続けられ、本巻で24冊目。先輩、後輩が多く執筆しているので、公費で買って大学図書館に入れております。 

 僕はこの教会のことを全く知らなかったのだが、戦後に誕生して、会員数は1000人を超え、12もの教会と伝道所を産んだそうで、気になったので買ってみました。

 

出張の代わりに

このご時世で、出張(沖縄に学生を連れて行くフィールドワーク実習)が潰れたので、そのお金で本を買いまくった。研究者の僕はこれくらいしか経済を回す術を知らないので。

最近は、過去の映像作品をDVDにして、それを本の付録にしている学術書も結構多いが、今回はそれを中心にまとめ買い。 

岩波映画の1億フレーム (記録映画アーカイブ)

岩波映画の1億フレーム (記録映画アーカイブ)

  • 発売日: 2012/06/11
  • メディア: 単行本
 

 

 

 東大出版会から出ている3巻セットの「記録映画アーカイブ」シリーズ。

 

 これはタイトルだけで購入しちゃったな。

 

  

女たちのシベリア抑留

女たちのシベリア抑留

 

シベリア抑留関係も2冊購入。

 

現代宗教とスピリチュアル・マーケット

現代宗教とスピリチュアル・マーケット

  • 発売日: 2020/08/06
  • メディア: 単行本
 

 知り合いが多く執筆。 

地上の楽園の観光と宗教の合理化 (南山大学学術叢書)
 

元々バリ島研究の吉田竹也さんが、沖縄にも射程を広げた本のようだ。 

 

記憶の社会学とアルヴァックス

記憶の社会学とアルヴァックス

  • 作者:金 瑛
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: 単行本
 

 一度、一乗寺の喫茶店ですれ違った金君の博士論文。「アルヴァックス」という名前はよく聞くけど、実はよく判ってないのよね。 

「ぞめき」の時空間と如来教

「ぞめき」の時空間と如来教

  • 作者:石原 和
  • 発売日: 2020/08/10
  • メディア: 単行本
 

 こちらも博士論文の単行本化。如来教研究と、近世後期の名古屋周辺の「宗教地形」が判る。 

 名著の誉れ高いこの本の増補改訂版を手に入れられて嬉しい。 

「三・一独立運動」に先立つ「二・八独立宣言」が東アジアの中でどのような意味を持ったか、というのを中心に据えた論文集。 

 

 これは単純に面白そうだったので。僕は大阪の堺出身だが、僕の母方の実家が千里山で、幼い頃から「阪急って違うなあ」と思っていた。阪急独自のデベロッパー戦略、百貨店、車両のこだわりなどを羅列していた。昔は僕は「沿線の柄が悪いと、野球チームは弱いのかな?(阪神、南海、近鉄)」という疑似相関を考えていたな(笑)。

きっと読めないだろうけど・・・

それでも本を買うのは、まあ、義務みたいなものですね。というわけで、今日買った一番ごつい本はこれ。 

世俗の時代【上巻】

世俗の時代【上巻】

 

 

世俗の時代【下巻】

世俗の時代【下巻】

 

 チャールズ・テイラーの大著の全訳。本を開いたら二段組みで、ますます気圧される。大学同期で、テイラーの研究をしていて早世した中野剛充君という友人がいたが、つい彼のことを思い出してしまう。 

平成時代の日韓関係:楽観から悲観への三〇年

平成時代の日韓関係:楽観から悲観への三〇年

  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: 単行本
 

 知り合いでもある木村幹先生と田中悟先生の編著。 

 朝日新聞で、宇野重規先生が書評していたし、翻訳者がサークルの後輩の片岡大右君なので購入。 

 タイトルだけで面白そうと思い、購入。解説は藤野裕子さん。 

グローバル化時代の宗教文化教育

グローバル化時代の宗教文化教育

  • 作者:井上 順孝
  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: 単行本
 

 ずっとお世話になってきた井上先生のご新著。このところ先生が携わっている「宗教文化教育」についてのまとめのような位置づけか。 

ベ平連とその時代: 身ぶりとしての政治

ベ平連とその時代: 身ぶりとしての政治

 

 「ベ平連」については、実はよく知らないので、その時代背景とともに学ぼうと思って。 

映画産業史の転換点──経営・継承・メディア戦略

映画産業史の転換点──経営・継承・メディア戦略

  • 発売日: 2020/07/20
  • メディア: 単行本
 

 このところ、ポツポツと映画史の本を集めているが、この論集、思いのほか知り合いの方が執筆していて驚いた(京大人文研のプロジェクトだから、ある意味当然なところもあるが)。

在日朝鮮人ハンセン病資料ほか

まだお金(研究費)があるうちに、ちょっとした資料集などを買っておこうと思って、以下のものを購入。 

このところ、歴史学社会学ハンセン病に関する研究も増えていると思うが(僕の研究室にあるものを以下に示す)、やはり資料集も押さえておきたいよね。 

ハンセン病療養所を生きる―隔離壁を砦に

ハンセン病療養所を生きる―隔離壁を砦に

  • 作者:有薗 真代
  • 発売日: 2017/05/02
  • メディア: 単行本
 

  

在日朝鮮人とハンセン病

在日朝鮮人とハンセン病

  • 作者:金 貴粉
  • 発売日: 2019/03/14
  • メディア: 単行本
 

 あとはこんなもの買いました。 

ファシズムの教室: なぜ集団は暴走するのか
 

 大変読みやすいファシズム入門。挟まれているコラムも面白く、特に「悪の陳腐さ」は出色。前も言ったが、僕も講義でカルトの事例や認知的不協和理論を教えるのも、田野先生同様多少なりとも「ワクチン」を注入したいと思っているからだ。 

奄美・沖縄 カトリック宣教史―パリ外国宣教会の足跡―

奄美・沖縄 カトリック宣教史―パリ外国宣教会の足跡―

  • 作者:A ハルブ神父
  • 発売日: 2020/04/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 奄美カトリックの存在は有名で、これまで僕も多少勉強してきたが、沖縄と合わせた歴史のようなので。 

 知り合い(日文研の研究会で知り合いになった)岡崎さんのご単著。祝、ご出版。 

 現在Black Lives Matter運動が大きなうねりを見せているが、新聞書評でこの本の存在を知って興味を持った。

ゾルゲを助けた医者 ―安田徳太郎と<悪人>たち―

ゾルゲを助けた医者 ―安田徳太郎と<悪人>たち―

  • 作者:安田一郎
  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 単行本
 

 これも書評で面白そうだなと思って購入。この安田徳太郎はフロイトを紹介したり山本宣治の従兄弟だったり、キャラのたったお医者さん。その伝記を息子と孫が編んでいる。 

校歌の誕生

校歌の誕生

 

 このような「○○の誕生」というタイトルに弱いというのもあるが、確かに改めて考えると面白いネタだよな。

以下はいただいた本。 

学校で地域を紡ぐ: 『北白川こども風土記』から

学校で地域を紡ぐ: 『北白川こども風土記』から

  • 発売日: 2020/06/25
  • メディア: 単行本
 

 編著者の菊池暁さんからちょうだいしました。ありがとうございます。京都の北白川で実践された郷土研究を改めて考察した論集。教育史、民俗学史学史が交錯する論集と思います。 

 これも「生活綴方」という教育実践の「世界的な広がり」を扱った論集。偶然ですが、いただいたこの2冊、戦後すぐ(主に1950年代)の教育実践を見直す論集ですね。

コロナ禍の中の最初の公費消費

現在、本屋さんも出社人数を制限しているせいで、本の発送が多少遅れ気味のようだ。ちょっと前に頼んで、今日届いた本のご紹介。なかなか読む時間と気力がないんですけどね(なんとなく、人と会わずに作業し続けていると、生気がなくなる気がする)。

 

 

ファシズムと聖なるもの/古代的なるもの

ファシズムと聖なるもの/古代的なるもの

  • 作者:平藤 喜久子
  • 発売日: 2020/04/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 北海道大学出版会から出た、知り合いが多く執筆の論集を2冊。 

怪異の表象空間: メディア・オカルト・サブカルチャー
 

 一柳先生の本は、つい買っちゃうのよね。いわゆる「オカルト」について、信頼できる学術情報を与えてくださる方って、少ないから。 

 アニメについて語る人は多くても、その労働について語る人って実はあまりいませんよね。単に「ブラック」と切り捨てるのではなく、どうやってその職場が維持されているか、ということが書かれていそうな雰囲気でしたので、購入しました。 

広島 復興の戦後史: 廃墟からの「声」と都市

広島 復興の戦後史: 廃墟からの「声」と都市

 

 このところ、人文書院のこの装丁のシリーズ(っぽくなっているもの)は購入している。 

いま死の意味とは

いま死の意味とは

 

  研究室の先輩の堀江宗正さんの翻訳。死生学の良い入門書のようだ。 

なぜ人はカルトに惹かれるのか  脱会支援の現場から

なぜ人はカルトに惹かれるのか 脱会支援の現場から

  • 作者:瓜生 崇
  • 発売日: 2020/05/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 元カルト信者で、今はその脱会支援をしている人の手記。 

 

山室軍平 (人物叢書)

山室軍平 (人物叢書)

  • 作者:三吉 明
  • 発売日: 1986/07/01
  • メディア: 単行本
 

 山室軍平の伝記を2冊。前者は最近出たもの、後者はだいぶん前の「人物叢書」で、買った記憶もあるのだが、本棚から出てこなかったので、ついでに購入。

年度末に

もうすく年度末。ということで、残った研究費で、本をまとめ買い。あと何冊か著者からいただいたりもしたので、その本のご紹介。 

 黒住真先生の大学院ゼミの後輩、松谷基和君から彼がハーバード大に出した博士論文の自己翻訳のこの書をいただく。これまで韓国の近代史研究においては、篤実なクリスチャンがそのまま愛国者ナショナリスト独立運動家である事例も多いために、「キリスト教」と「ナショナリズム」がある意味無批判に結びつけられて語られてきた。松谷君のこの研究は、そのようなナラティブに異議を唱えたもの、ということができるだろう。  

 同じ明石書店から、中国に関する本も出てきたので購入したら、上記の松谷君の弟さんが作者と知りびっくり。

躍動する「国体」 筧克彦の思想と活動 (日文研叢書)

躍動する「国体」 筧克彦の思想と活動 (日文研叢書)

  • 作者:西田彰一
  • 発売日: 2020/03/03
  • メディア: 単行本
 

 知り合いの西田君からも、彼の博士論文をもらった。筧克彦という奇矯な言動で知られる人物には興味はあっても、自分ではなかなか調べる時間もなく(蓑田胸喜も同様)有難い。注が充実しているなあ。 

ソウルの起源 京城の誕生-1910~1945 植民地統治下の都市計画
 

 訳者の橋本妹里さんのご厚意で、この本をいただきました。ありがとうございます。植民地権力によって、いかにして「京城」という都市が形成されたのか、という都市計画から見た京城(ソウル)の歴史。 

「自由」を求めた儒者-中村正直の理想と現実 (単行本)
 

 ぱっと目についた思想史の本。「儒者」という響きが気になったので。 

われわれが災禍を悼むとき:慰霊祭・追悼式の社会学

われわれが災禍を悼むとき:慰霊祭・追悼式の社会学

  • 作者:福田 雄
  • 発売日: 2020/03/06
  • メディア: 単行本
 

 東北やインドネシア津波という災禍に、人びとはどのようにして向き合ってきたかという宗教社会学的研究。 

 これも被災とその復興・追悼というテーマで、国内外の事例から考察した論集。三木英先生が編集されたもの。 

 浦上のキリシタンたち(いわゆる「四番崩れ」事件)については、僕もそこそこ研究書を読んできたので、これも。殉教という語りの生成過程を追ったもののようだ。 

近代朝鮮の政治文化と民衆運動: 日本との比較

近代朝鮮の政治文化と民衆運動: 日本との比較

  • 作者:景達, 趙
  • 発売日: 2020/03/10
  • メディア: 単行本
 

 僕にとっては、第二の指導教官とも言うべき、恩師の趙景達先生の「定年記念論文集」。これから心して読ませていただきます。 

 大貫先生は、以前特攻隊と桜をモチーフとした『ねじ曲げられた桜―美意識と軍国主義

』いう書も書かれているが、これも「花のシンボリズム」を追ったものだろう。 

建築の聖なるもの: 宗教と近代建築の精神史

建築の聖なるもの: 宗教と近代建築の精神史

  • 作者:土居 義岳
  • 発売日: 2020/02/03
  • メディア: 単行本
 

 僕は建築、建築史には全く暗いが、タイトルからして興味が湧いたので購入。  

私の天皇論

私の天皇論

  • 発売日: 2020/02/25
  • メディア: 単行本
 

 知り合いの編著なので購入。古代から近現代まで、様々な論考が収録されており、ゼミでどれかを読ませようかな、という気持ちにもなる。

ちょっとしたボーナス

学内の行事のお手伝いなどをして一種の「研究費ボーナス」が出たので、それを使ってお買い物。 

身体の植民地化――19世紀インドの国家医療と流行病
 

 実はこの本の原著を、僕は大学院生の時、自主ゼミで輪読していたが、結局途中でやめちゃったんですよね。僕も、インドの種痘問題の部分をざっと読んでレジュメを書いた記憶があります。完訳が出て何より。 

 臼杵先生がミネルヴァ書房のPR誌で連載していたもののまとめ。たまに目にして「早くまとめられないかなあ」と思っていた。 

五井昌久の思想と生涯―「世界人類が平和でありますように」の創始者

五井昌久の思想と生涯―「世界人類が平和でありますように」の創始者

  • 作者:吉田 尚文
  • 出版社/メーカー: 興山舎
  • 発売日: 2020/01/01
  • メディア: 単行本
 

 研究会でお会いしたことのある吉田さんの博士論文。「世界人類が平和でありますように」というポールを立てる運動をしていた白光真宏会の教祖五井昌久の研究。類書もなく、貴重。 

〈災後〉の記憶史: メディアにみる関東大震災・伊勢湾台風

〈災後〉の記憶史: メディアにみる関東大震災・伊勢湾台風

 

 関東大震災伊勢湾台風がどのように記憶されたかを辿る旅、と表現すれば良いか。宗教学的にも、天災は慰霊と結びつくので重要な課題。僕の知り合いの編集者Mさんのお仕事。 

良い占領?: 第二次大戦後の日独で米兵は何をしたか

良い占領?: 第二次大戦後の日独で米兵は何をしたか

 

これも人文書院の優れたお仕事。アメリカ軍がドイツと日本で占領軍としてどのように振る舞ったかという日独比較。  

疎開体験の戦後文化史 帰ラレマセン、勝ツマデハ

疎開体験の戦後文化史 帰ラレマセン、勝ツマデハ

  • 作者:李 承俊
  • 出版社/メーカー: 青弓社
  • 発売日: 2019/09/27
  • メディア: 単行本
 

 「疎開」という体験を戦後文学はどのように描いてきたのか、というもの。タイトルに惹かれて購入。 

神道文化の現代的役割-地域再生・メディア・災害復興

神道文化の現代的役割-地域再生・メディア・災害復興

  • 作者:黒﨑 浩行
  • 出版社/メーカー: 弘文堂
  • 発売日: 2019/12/23
  • メディア: 単行本
 

 先輩の黒﨑さんの単著。このところ黒﨑さんは震災の被災地における神社/宗教のあり方を調査していらっしゃるが、それがこのような形でまとめられたことは喜ばしい。 

 

フィリピン・カトリック教会の政治関与-国民を監督する「公共宗教」

フィリピン・カトリック教会の政治関与-国民を監督する「公共宗教」

 

 フィリピンの近現代史についての本も購入。フィリピンにおけるキリスト教カトリック)のあり方、端的に言えば公共宗教的な存在形態に興味があるので。 

韓国映画100選

韓国映画100選

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: クオン
  • 発売日: 2019/12/15
  • メディア: 大型本
 

 最後は完全に趣味ですね。これほど詳細な韓国映画ガイドはすごいです。