美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子デビュー30周年記念ライブ『1988→2018/30 years,/...AND THEN?』@Metro


さて、僕が恐らく28年ほどファンで居続けているシンガーソングライターの鈴木祥子さんですが、今年、めでたくデビュー30周年を迎えられました。それを記念して、祥子さんがバックに強力なミュージシャンを配して、バンド形式の記念ライブを京都と東京で行いました。タイトルは「5 years, And Then...」という自身の曲をもじったもの。僕は京都の「Metro」でのライブに参加。ここで祥子さんを見たのは、実に13年ぶりでした(その時はカーネーションとの対バン形式でした)。入り口には、今回のツアーのビラがびっしり貼られていました。この写真は4枚目のアルバム『Long Long Way Home』の当時の祥子さん。後でMCにおいて、祥子さんも「詐欺っぽいことをしてしまった(笑)」とおっしゃっていましたが、今更、そんなことで動揺する我々ファンではありません(笑)。そしてファン有志で、祥子さんに花束をお贈りすることにしました。これは後ほど、ライブの途中で代表者によって手渡されました。僕は椅子席の3列目の真ん中寄り、祥子さんの真っ正面でした。
バンドのメンバーは、菅原弘明(Vocal, Electric & Acoustic Guitar)、名村武(Vocal, Bass)、矢部浩志(Drums, Lap Steel)、Dr.kyOn(Vocal, Keyboards, Electric Guitar)のみなさん。ステージは客席から見て左に菅原さん、真ん中に祥子さん、右に名村さん、その三人の後ろにキーボードとDr. kyOnさん、一番奥にドラムセットと矢部さん、という配置。名村さんとDr. kyOnさんは名前を存じ上げていても、僕は実際に見るのは初めて。
以下では当日セットリストと、僕の記憶に残っていることなどを書きますが、今回、全くメモを取らなかったので、本当にうろ覚えです(セットリストもファン仲間から拝借)。あらかじめ言うと、今回、ライブでもよく演奏されるおなじみの曲が多かったですが、どの曲もバンドならではのアレンジがされており、祥子さんの声の調子もよく、一言で言うと「最高」でした。感想としてはこれで終わってしまうのですが(笑)、記録として書き連ねていきます。祥子さんは基本的に今回はヴォーカリストに徹していましたので、なにか楽器を手にしたものだけを記号で記します。
1)空いろのくれよん(はっぴいえんど
いきなりはっぴいえんどのカバーからスタート。これは意外。祥子さん、大瀧詠一さんのファンだからなあ(作詞は松本隆先生です)。
2)ステイションワゴン
最初、イントロで何の曲かと戸惑いましたが、この曲でした。
3)恋人たちの月
今回改めて出された『Syoko Suzuki The Complete Warner Recording 1998→2000』において(ワーナー時代の3枚のアルバムとレアトラックを集めたボーナスCDの4枚組)、アルバム『私小説』はオリジナルな曲順になったそうな。祥子さん的にはそれがすごく重要且つ嬉しいことなのだそうで「この曲は、もしレコードのようにA面B面があれば、A面最後の曲のつもりで配した」とおっしゃっていました。
4)True Romance(DR)
矢部さんと場所を変えて、ここから2曲「ドラマー祥子」さんでした。「みんな、見えづらいよね」とスピーカー前に移動してくださった名村さんは気遣いの人。この曲の中盤のサビの部分でスティックを落とすというハプニングがあって「仕切り直し」が行われました。
5)月とSNAPSHOTS(DR)
ドラムを叩いたこの2曲、ともに『Snapshots』に所収で、「ロードムーヴィー」的というか、旅の途中の風情がありますよね(PVの印象が強いせいかもしれませんが)。
6)イケナイコトカイ(KEY)
Dr. kyOnさんと交代して、一人で弾き語り。ご存じ岡村靖幸さんのカバー。やっぱり名曲ですね、これは。
7)ただの恋だから(KEY)
8)プリヴェ
フランス語で「プライヴェート」だよな、くらいにしか思っていなかったこの曲名、今日のMC(および、CDのライナーノーツ)でその含意が明かされました。「プリヴェ、という言葉には〈剥奪されている〉という意味があること、何をっていうと〈他者性〉を剥奪されているということ。恋愛している時がまさに二人の世界になっていて他者性がないわけでしょ」というようなことが言われ、おお、そうだったのか、と思っていたら、立て続けに
9)完全な愛
10)依存と支配
というハード目の曲(「完全な愛」は歌詞の内容が)。やはり「依存と支配」はバンド形式が良いですね。
11)Any way you want it(お気に召すまま)
祥子さんのfavorite band のひとつ、Journeyのカバー来た〜。「皆さん、知ってます?まあ良いか、聴けば判るさ」と始められたのがまさに「聴けば判る」往年のヒット曲。

12)夏はどこへ行った
30年前のデビュー曲ですね。恐らくその頃の写真が、今回ライブに来た人に配られたCD『鈴木祥子 30と3/30の一瞬』(新曲3曲入り)の表紙になっております(写真参照。その横はワーナー時代のボックスのライナーノーツのスリーブ)。にしても、今日の祥子さんはサイドポニーテールで、可愛いにも程がありました(笑)。僕は斉藤由貴ちゃんのファンになった時から「ポニテは3割増し」の呪い(暗示)に掛かってはおりますが、そんなの関係ない可愛さでしたね。
13)風に折れない花
90年代初頭、男性陣をメロメロにした曲(僕もその一人でした)。「甘い」と言われようが、この曲のような「あなたを愛すること自体が幸せ」「あなたが幸せなら私も幸せなの」的な曲には、抗しがたい引力(魅力を越える)を感じますね・・・。
14)メロディ
15)優しい雨
これは小泉今日子さんに提供した名曲で、祥子さんの曲では最も知られているものですが、今日はバンド形式で渋い2018年バージョンといった趣で。
16)鼓動(新曲)
本編の最後にしっかり新曲を持ってくるところが凄みを感じます。祥子さんも「デビュー30年経って、もう先がない、時間がないというか(笑)、もちろん若い時に比べれば残された時間は少ないわけですが、それでもやれることはまだまだあるし、そんな気持ちでこれからも曲を書いていけたら、と思っています(大意)」とおっしゃり、改めて一生ついていこうという決心をしました。
以下はアンコールです
en.1)Happiness
「歌詞内容が暗い、歌うと不幸になるとしばらく自分で封印していた曲です」とおっしゃいますが、「生まれてからもう25年もたったけどなにもわからない」という歌詞の年齢部分を変えてのバージョンって、結構聞き覚えがあるような気が(笑)。

en.2)そしてなお永遠に
これは盛り上がりましたねえ。元々バンド形式でテンションが上がる曲ではありますが。今日のライブでは「風に折れない花」とこれが僕にとってのベストでしょうか。全体的によかったので、なかなか決められないのですが。
en.3)遠く去るもの(Faraway Song)
ライブ全体の締めも、新曲で。『鈴木祥子最新録音集』所収。
ビックリしたのが、最後に「撮影タイム」があったこと。ここぞとばかりにスマホで取りましたが、なかなか照明の関係で良い写真は撮れず。挙げたものは、メンバー5人で挨拶した時のものです。
ライブの後、ファン仲間といつものように打ち上げしたのですが、今回のライブの感想は「よかった」しかなかったですね、マジで。いつも曲や歌という「プレゼント」「花束」を僕たちにくださっている祥子さん。改めて30周年おめでとうございます。これからも「お気に召すまま」歩いて行ってください。ついていきますから。

ここ2ヶ月ほどのお買い物

もうすぐ前期が終わるが、なかなか本屋にも行けず、学術書のお買い物が疎かになっていたが、ネットで面白そうな新刊情報がたくさん届き、まとめ買い。

まぼろしの「日本的家族」 (青弓社ライブラリー)

まぼろしの「日本的家族」 (青弓社ライブラリー)

右派はなぜ家族に介入したがるのか : 憲法24条と9条

右派はなぜ家族に介入したがるのか : 憲法24条と9条

早川さんたちの本は信頼しているので、まあ買うよね。にしても「夫婦別姓」に対する風当たりとかを見ると、まだまだ日本には家族幻想が息づいているのが分かりますよね。
ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと

ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと

ネットで評判が良かったので購入してみた。タイトルが凄い(考えた作者も、通した編集者も)。
ゆれるおっぱい,ふくらむおっぱい――乳房の図像と記憶

ゆれるおっぱい,ふくらむおっぱい――乳房の図像と記憶

はい、単純にスケベ心です。まあ、昔『乳房論―乳房をめぐる欲望の社会史 (ちくま学芸文庫)』という本も読んだことありますが。この本は、「異邦人 gentile」なのに、キリスト教信仰からユダヤ人のイスラエル移住を支持したという人々の記録。こういうアプローチもあるんだなあ。知り合いの金先生の本。これは大学図書館に入れるか。
療術から宗教へ─世界救世教の教団組織論的研究

療術から宗教へ─世界救世教の教団組織論的研究

知り合いの隈元さんによる世界救世教の貴重な研究。
現代日本の宗教と多文化共生――移民と地域社会の関係性を探る

現代日本の宗教と多文化共生――移民と地域社会の関係性を探る

若手の友人たちの論文集。彼らの研究会の結実。
釈宗演と明治 ZEN初めて海を渡る

釈宗演と明治 ZEN初めて海を渡る

タイトルだけで購入しちゃった。そういえば慶應でやっている釈宗演展、まだ行ってないや。
朝鮮引揚げと日韓国交正常化交渉への道

朝鮮引揚げと日韓国交正常化交渉への道

引き揚げ問題って、植民地問題を考える時、やはり大きな問題ですよ。
現代日本の葬送と墓制: イエ亡き時代の死者のゆくえ

現代日本の葬送と墓制: イエ亡き時代の死者のゆくえ

最近、お墓や葬送業者やその周辺に関する研究が蓄積されつつあるが、これもその一つ。
終わらない「失われた20年」 (筑摩選書)

終わらない「失われた20年」 (筑摩選書)

友人北田君の『嗤う日本のナショナリズム』への自分で行った返歌。沖縄のキリスト教の歴史に関して勉強したいと思ったので(一色さんは知り合いですし)。
〈大逆事件〉と禅僧内山愚童の抵抗

〈大逆事件〉と禅僧内山愚童の抵抗

内山愚童のような僧侶に対する宗派の仕打ちって、ひどいものだという義憤もあって(今は名誉回復されていますが)。
かくれキリシタンの起源《信仰と信者の実相》

かくれキリシタンの起源《信仰と信者の実相》

潜伏キリシタンは何を信じていたのか

潜伏キリシタンは何を信じていたのか

この前、世界遺産にも指定された「かくれキリシタン」ですが、最近出た本もまとめ買いしました。特に、中園先生のはこれまでの集大成とでも言うべき大著。
軍事的暴力を問う

軍事的暴力を問う

沖縄と韓国についての論考があったので購入。
〈老い〉の営みの人類学: 沖縄都市部の老年者たち

〈老い〉の営みの人類学: 沖縄都市部の老年者たち

大日本帝国植民地下の琉球沖縄と台湾

大日本帝国植民地下の琉球沖縄と台湾

世礼国男と沖縄学の時代: 琉球古典の探求者たち

世礼国男と沖縄学の時代: 琉球古典の探求者たち

沖縄関連のこの3冊は、沖縄出張中に目をつけて購入。

逆五月病―2018年

新年度が始まって少し経ち、講義のルーティーンも落ち着き、予算が下りる5月頃には大体毎年「あれも読もう、これも買おう」といういわば「逆五月病」みたいなのに罹患するのが常だが(すぐ息切れするけど)、今日届いたものの一部をご紹介。

葬儀業界の戦後史 (名古屋学院大学総合研究所研究叢書)

葬儀業界の戦後史 (名古屋学院大学総合研究所研究叢書)

昔、玉川さんとは研究会でお会いしたことがあるはず。この本も僕の担当編集者だったYさんがご担当。
満州天理村「生琉里」の記憶: 天理教と七三一部隊

満州天理村「生琉里」の記憶: 天理教と七三一部隊

新聞書評で知り、購入。日本諸宗教の植民地布教は、僕の研究対象でもあるしね。もう一つ、台湾のものとして
台湾に渡った日本の神々

台湾に渡った日本の神々

を購入。この人、以前に『台湾旧神社故地への旅案内―台湾を護った神々』というのも出していて、積ん読でした。
潜伏キリシタンは何を信じていたのか

潜伏キリシタンは何を信じていたのか

宮崎先生のキリシタン本は取り敢えず購入するよな。
はじめての沖縄 (よりみちパン! セ)

はじめての沖縄 (よりみちパン! セ)

知り合いの岸さんの新刊。僕が最初に読んだ彼の本も、彼の沖縄研究のものだった。
歴史と永遠――江戸後期の思想水脈

歴史と永遠――江戸後期の思想水脈

漢文圏における荻生徂徠: 医学・兵学・儒学

漢文圏における荻生徂徠: 医学・兵学・儒学

大昔、黒住真先生のゼミで多少江戸時代の思想は囓ったのだが、全くものにはならなかったが、ある意味未練もあって、目につく新刊は買っている。藍さんはその黒住ゼミの後輩。
近世仏教論

近世仏教論

西村さんは僕と同世代の研究者だったが、惜しくも早世された。その遺稿集。
日本仏教の展開: 文献より読む史実と思想

日本仏教の展開: 文献より読む史実と思想

僕の知り合いとしては、大先輩にあたる林淳先生、元同僚だった上島享先生がご執筆。
〈つながり〉の現代思想―社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析

〈つながり〉の現代思想―社会的紐帯をめぐる哲学・政治・精神分析

知り合いの山本圭さんが編集されているので購入。「東南アジア」という視点は僕もうっかり忘れがちなので、早瀬先生のこの本で鍛え直してもらおう。

Yuka & Chronoshipの新譜

久々に買ったCDのことでも。

SHIP

SHIP

元々「プログレ」好きな僕がはまったバンド。このバンドのベーシストの田口俊さんは、僕からしてみれば数々の斉藤由貴ちゃんの名曲の作詞者、という位置づけ(最初、同一人物とは思わなかった)。
ずっと研究室で、以前の2枚のアルバムと共にリピートしている。
The 3rd Planetary Chronicles (第三惑星年代記)

The 3rd Planetary Chronicles (第三惑星年代記)

ダイナ ロケット オキシジェン ( DINO ROCKET OXYGEN )

ダイナ ロケット オキシジェン ( DINO ROCKET OXYGEN )

PVもいくつかあがっている。


音楽に関しては「一度訊いてみて」としか言いようがありませんので、上記のPVを聴いて「これは良いなあ」と思われる方は、迷わずゲットして下さい。

映画史/オタク文化/宗教研究など

これで2017年度の予算は使い切ったかな。この数ヶ月で出た、興味深い本を慌ててゲット。

動く墓──沖縄の都市移住者と祖先祭祀

動く墓──沖縄の都市移住者と祖先祭祀

このところ毎年沖縄に行っていて、向こうの立派なお墓も数え切れないほど見ているが、その変容はよく知らないので、これで勉強しようと思う。
阿片帝国日本と朝鮮人

阿片帝国日本と朝鮮人

阿片というと「アヘン戦争」がすぐに思い浮かぶだろうが、実は日本は阿片を作り売っていた帝国であったのだ。友人の吉澤文寿さんも翻訳者の一人。
制度としての宗教 (南山大学学術叢書)

制度としての宗教 (南山大学学術叢書)

大学院の大先輩で、著名なエリアーデ研究者の奥山先生の最新刊。最近は日本近代のことをやっていらしたとは、寡聞にして知らなかった。
オタク文化と宗教の臨界

オタク文化と宗教の臨界

筑波大学の博士論文が、こうして刊行。おめでとう、今井君。彼のような存在がいるおかげで、僕がこっち方面にしゃしゃり出ないで済んでいる(笑)。彼の神社の「痛絵馬」や「聖地巡礼」についての論文にコメントしたりしたこともある。
コリアン・シネマ――北朝鮮・韓国・トランスナショナル

コリアン・シネマ――北朝鮮・韓国・トランスナショナル

ハリウッド映画と聖書

ハリウッド映画と聖書

最後は映画史の研究を2冊。共にみすず書房から出た浩瀚なもの。面白そう。

知り合いの編著を中心に

3月は年度末。ということで、予算の使い切りも兼ねて、知り合いが関わった本を中心に何冊か購入。

帝国日本の移動と動員

帝国日本の移動と動員

知り合いの石原俊さんも執筆しているので購入。他にも編者の飯塚先生とも昔科研でご一緒したし、朝鮮史研究仲間の石川亮太さん、水谷清佳さんも執筆している。広瀬玲子先生の「植民地朝鮮における愛国婦人会」も僕には興味深いな。
イスラームは特殊か: 西アジアの宗教と政治の系譜

イスラームは特殊か: 西アジアの宗教と政治の系譜

これも、編者お二人が知り合い(後輩)。あと、伊達聖伸君(フランスのライシテ研究)や嶋田英晴君(駒場の同期。中世ユダヤ史)も執筆。古代から近現代まで、広くカバーしている。こういう類書は少ないと思う。2016年夏に逝去された飯田先生の遺稿集。僕は飯田先生の前著『在日コリアンの宗教と祭り―民族と宗教の社会学』を書評したりして仲良くしていただき、ご葬儀にも参列した。その遺稿集を娘さん(今は僕の大学院の後輩)がまとめられたもの。
歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー)

歴史修正主義とサブカルチャー (青弓社ライブラリー)

話題になっている本。僕の興味ともばっちり合う。というか、ここ十数年、ある意味「戦ってきた対象」を分析してくれていると言った方が正確か。
水子供養 商品としての儀式――近代日本のジェンダー/セクシュアリティと宗教

水子供養 商品としての儀式――近代日本のジェンダー/セクシュアリティと宗教

待望の邦訳。水子供養の商業主義的な側面を鋭く照射している。アメリカ人の日本宗教研究者による水子供養研究の金字塔。故ウィリアム・ラフルーア先生の『水子―“中絶”をめぐる日本文化の底流』と並んで検討するべき書。
戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭

戸籍と無戸籍――「日本人」の輪郭

昨年のサントリー学芸賞を取った2冊も購入。遠藤さんの研究は、前著『近代日本の植民地統治における国籍と戸籍―満洲・朝鮮・台湾―』から気になっていた。

まだ30周年の女は〜鈴木祥子ソロライブin京都拾得


一気に春がやってきたような陽気の休日、僕は京都の伝統的ライブハウス「拾得」に鈴木祥子さんのライブを見に行って参りました。ここでのライブは、去年の10月以来、約5ヶ月ぶり。僕を含めた関西のファン(遠征してきた人も多かったですが。一番遠くからはなんとロサンゼルス!)が再び集結しました。今回の客入れのBGMは昨年の今日、東京の音響ハウスで行われたレコーディングライブの音源でした。僕は残念ながら行けなかったので、素直に嬉しかったですが、いきなり「3月のせい」という曲が流れてきて、思わず笑ってしまいました。
ではいつものようにセットリストと感想などを挟んでいきたいと思います。
先程言ったように、開演前には昨年のレコーディングライブ音源が流れていたわけですが、「Angel」という曲が流れていたあたりで祥子さんが登場し(スカートがグレー地の着物のような花柄のものでした)、そのままその曲の続きのサビをアップライトのピアノで熱唱するというスタート。ということで
1)Angel(P)
でした。立て続けに
2)もう一度(P)
3)ステイションワゴン(P)
となりましたが、この「ステイションワゴン」の途中、恐らく似たコードなのか、「You're my everything」に一瞬移行しました。

4)危ない橋(P)
5)センチメンタル・ラブレター(P)
6)ローズピンクのチーク(P)
この曲は、祥子さんが京都に住んでいる時、八坂神社、四条通を一人で歩いている時、周りの家族連れやカップルを見て少しだけやさぐれて(笑)「世間並みの〜」という歌詞とメロディが浮かび、自宅の留守電に携帯から吹き込んで、帰宅後に作ったそうです。
7)Do you still remember me?
祥子さん曰く「この“Do you still remember me?”という曲は、70年代の頃の女性シンガーソングライター、例えば金延幸子さんとかを意識して作ったんですよね。で、今日の前髪も70年代っぽい前髪にしてきました(笑)。」
8)愛は甘くない(P)
9)A型の恋人
「これはアメリカンなノリの曲ですね。」「これから気持ち悪い語りが入ります(笑)」と間奏部分での語りの時におっしゃいました。
ここで一段落付いて、祥子さんが今回のライブについての説明をはじめました。祥子さん曰く「今日のライブのテーマは私にとっての70年代、というものなのですが、今回のセットリストも、私の中で70年代を感じる曲を意識して選んでみました」「やはり、60年だ、70年代生まれの違いというか、物心ついて見たもの、聞いたものの違いというのはあって、70年代はふわっとしたフィーリングで押し通せるというか、それまで理由をちゃんと述べてきたようなことをフィーリングで言っちゃう、という面があったような気がします(大意)」「で、70年代は名だたる作曲家、作詞家が「歌謡曲」というのを作って、それに対抗するフォーク、ニューミュージックなどがあり、お互いを高めていたと思います」
そして70年代の祥子少女に深い印象を与えた曲を3曲連続でカバー。まず一曲目は「私が家庭用のカセットレコーダーに初めて吹き込んだ曲」という
10)赤い風船(浅田美代子)(P)
が披露されました。
僕は残念ながら反応できなかったのですが(当方71年生まれ)、60年代生まれの観客は大喜び(笑)。
11)ぼく(松本ちえこ)(P)
祥子さん曰く「僕、という自称の女の子というコンセプトは非常に斬新で早かったのでは」「松本ちえこさんは、隣にいそうで、でもやっぱりいなさそうと言う身近なアイドルの先駆けだったのでは」。

12)逃避行(麻生よう子)(P)
祥子さんが好きな「70年代の白眉」とまでプッシュする曲。
取り敢えず70年代カバーはここまでで、祥子さんのオリジナル曲に戻ります。
13)ラジオのように(P)
14)sweet serenity(P)
これはリクエストから。
15)sickness (P)
これもリクエスト。リクエストした人、ナイス!僕も好きな曲です。

16)月とsnapshots(P→D→P)
これは知り合いのRさんのリクエスト。これを聞いた祥子さん「出たよ、これ!(会場爆笑)」でもノリノリで演奏して、ピアノの横に設置してあったドラムセットに「あら、こんな所にドラムが」などと言いつつ移動。ドラマーとしても祥子さんが大好きな僕は、真っ正面で拝見でき、感無量。
17)ノースバウンド・アイランド急行〜リミのテーマ(新曲)(P)
祥子さん曰く「たまたまですが、さっき歌った「月とsnapshots」の2018年度版というか、女がどこかに生きたがる、という曲ですね、これ」
18)星のたばたき(P)
何度も聞いていますが、早くCD化してください、と懇願したくなる美メロの曲です。
祥子さんは少ししんみりとしながら「デビューしてから20年経った時、その時もう10年続けられるか、自分でモチベーションを保っていけるのか正直わからなかった。でもこの30周年に至ることができたのは、間違いなく(目の前にいる)皆さんのお陰です。ありがとうございます」と言うようなことをおっしゃったので、こちらとしても有難いというか、「いつもプレゼントをもらっているのはこちらですよ!」と言いたくなりました。
本編はここまで、以下はアンコールです。
e1)二人の願い(新曲)(P)
これは祥子さんが沖縄旅行中、安座真で着想した曲だそうです。
e2)恋のショットガン(懲りないふたり)(P→D→P)
慌てて控室から戻った祥子さん、靴も履かずにどかどかと最高のドラムを聴かせてくれました。これにてライブは終了。
僕は今回祥子さんが歌った70年代はリアルに感じることができない世代なわけですが(70年代末期なら何とか)、僕にとっての80年代などは、まさに色んな僕の趣味の基礎を作っているよなあ、と改めて考えたりしました(あとの打ち上げで、ファン仲間で斉藤由貴ちゃんの話題で盛り上がってしまいました(笑))。そして次はデビュー30周年の記念ライブが京都と東京で7月に行われることも正式発表。僕は恐らく京都会場に駆けつけることになるでしょう。