美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

その余剰が「宗教」

今日は家でゆっくり読書。この前買ったこの本をちゃらっと読む。確かに面白可笑しく書かれており、著者たちの文才に感心。

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

真面目な感想を少し述べると、徹頭徹尾機能主義的な宗教観でもって書かれているこの本は、少しおふざけの度がきついとはいえ、なかなかの宗教学入門書になっていると思う。そもそも「宗教学」という学問自体、「宗教も所詮は人間の営為である」というところから出発している罰当たりな学問なので、多かれ少なかれ、僕のような宗教学者はこの本の著者と共通した考えを持っているのは確か。
僕も「宗教学」という講義で、身も蓋もないことを良く喋って「先生から聞くと、宗教って全然ありがたみが感じられない」とアンケートに書かれたこともあるくらいだが(笑)、僕も一つエクスキューズをしていて、「僕の賢しらな解説で分析し尽くせるようなものは、宗教ではない。宗教は、説明しきれない余剰があり、それこそが“宗教”(の本質)なのだ」なんてことを語っている。例えば、心理学的な分析(洗脳、マインドコントロール、認知的不協和理論など)で、ある側面は説明できるけど、絶対漏れてしまう部分はあるということだ。
この本の最後に、僕の先輩のH江さんの名前があり微苦笑。著者にどんなアドヴァイスをしたのかな(笑)。