美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

暴力と支配

実は、昨日まで行われていた「日本史研究会」では、政治哲学者の萱野稔人さんが講演に来ていて(僕は遅刻して行けなかったが)、それもあってこの本を読了。どうも、講演もこの本の内容を敷衍したもののようだが(レジュメで判断する限り)。

『国家とはなにか』

『国家とはなにか』

で、感想だが、非常に明快だと思った。学部生時代、背伸びしてベンヤミンの『暴力批判論 他十篇 (岩波文庫―ベンヤミンの仕事)』などを友人と読書会で読んでいたときの記憶が蘇った。ということで、これは初心者向け、というより、昔ちょっとは囓った僕のような「中級者向け」の再入門書、というおもむきの本だと思った。
ドゥルーズガタリの本は読んだことがないので、萱野さんの要約を今のところ鵜呑みにするしかないけど、「原因と結果を逆転させている」っていうのが、基調にある気がするなあ。まあ、われわれは「起源」を忘却して、「当たり前」と思うことで大体のことはスルーして日常生活を送っているわけだが。
この本自身とは関係ないけど、この本を読み進めながら困ったのは、僕が絶賛して止まないマンガ、『野望の王国』の各シーンが目の前をちらついたこと(笑)。「この世を支配するのは暴力だ」という雁屋哲イズムの究極形態。
野望の王国完全版 1 (ニチブンコミックス)

野望の王国完全版 1 (ニチブンコミックス)