美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

これは面白い

先日、『考える人』の最新刊(特集は伝記、自伝の勧め)を買って読んだのだが、そこで推薦されていた中野好夫の『蘆花徳富健次郎』を昨晩から読み始めたが、さすが名作の誉れ高いこの作品、面白い。といっても全三巻の大作、僕はまだ一巻の百数十ページしか読んでいないが、この夏休みの楽しみとして読み進めていくつもり。

古本屋で通常版のを買って積ん読状態だったのだが、僕は中野好夫のエッセイのファンなので(ああいう文章を書けるような大人になりたい)、結局筑摩書房から出ている「中野好夫集」のセットを購入して(「日本の古本屋」経由で購入したのでが、月報なども綺麗に揃っていていい買い物だった)、今そちらで読んでいる。
あと、僕が中野好夫が好きな理由は、弟子たちの証言から透けて見える「教師」としての姿が非常に好ましいからだ(後に英文学者になった弟子たちはもとより、例えば作家の丸谷才一吉行淳之介などの「中野好夫像」も興味深い)。とても厳しい授業をして震え上がらせる人だったらしいが、基本的には「口の悪い人情家(しかもその人情に押し流されまいとする強固な意志も併せ持つ)」であったことが想像できるからである。