ベネディクト・アンダーソンの柔軟性
午後はずっとこの本を読んでいた。サクッと読了。ベネディクト・アンダーソンの講演はこなれた口語だし、それでいて驚異的な蓄積を感じさせるものだ(ホセ・リサールをモデルにした小説を書いた日本人がいたなんて、これを読んで初めて知った)。後半の梅森氏の解説も大変分かり易い。
ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)
- 作者: 梅森直之
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/05/17
- メディア: 新書
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日本が世界第一位の経済国になったといばっていた頃のことです。アメリカは日本の経済的成功を憂慮していました。アメリカの経済が低迷していた時代です。
わたしは学生に言いました。「問題はすぐにでも解決できる」。「どうすればいいの?」かれらはわたしに尋ねました。わたしは言いました。「アメリカの領土の多くはもともと金で買われたものだ。ルイジアナはナポレオンから、アラスカは南北戦争後にロシアの皇帝からから買ったものだ。だから今度は、アラスカを日本に売ればよい。日本は高く買うだろうから」。学生はそれを聞くと、なんて恐ろしい奴だという目でわたしを見ました。アラスカを売るということを、彼らは概念として受け入れることができなかったのです。(p.213)
こういう部分が、僕の思うアンダーソン教授の柔軟性だ。アメリカンジョーク、というよりはアイリッシュ・ジョークなのかも知れないけど(彼がアイルランド国籍、というのもこの本で初めて知った)。
やはり時間が許せば、彼が各方面からの批判に応えるべく書いたこの本(当然積ん読状態)に手を付けねばなるまいな。
- 作者: ベネディクトアンダーソン,Benedict Anderson,糟谷啓介,イヨンスク,増田久美子,高地薫,鈴木俊弘
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2005/11/01
- メディア: 単行本
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