小川洋子の静謐な「共同体」
いま、映画化もあって文庫化されたこの本を読んでいます。実は、僕は昔けっこう小川洋子さんの熱心な読者だったんですが(『妊娠カレンダー』のサイン本を買ったほどです。あれは神田の三省堂だったな)、その「甘い」世界から距離をおくべく、この10年は読んでいませんでした。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/11/26
- メディア: 文庫
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で、久々に読んだ小川洋子ですが、くそう、泣かせるなあ。
何か、まだ半分までしか読んでいないんですが、その後、この甘やかで静謐な「共同体」が終わることをこっちが先取りして、思わず涙ぐみそうです。
小川洋子の世界って、いつも何らかの濃密で内閉的な(でも居心地は良い)共同体が崩れた後、「私」がそれを振り返る、というモチーフが多いと思うんですが、その世界の美しさに一時期僕は酔いしれて、これじゃいかんと思って離れていたわけです。
考えてみればベタだと思うんですが、うまいです。降参。