美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子「Syoko,/ The Lead Vocalist」@千駄ヶ谷Victor Studio

今日は久々の鈴木祥子さんのライブ。タイトルは「Syoko,/ The Lead Vocalist」というもので、このタイトルはRod Stewartの『Lead Vocalist』というアルバムから拝借したと祥子さんは言っていたでしょうか、今日は「ヴォーカリスト」に専念し、バックにはギタリスト(設楽博臣さん)とキーボーディスト(高野勲さん)の2人の、計3名のみのストイックな編成。

場所は「千駄ヶ谷Victor Studio」で、ミュージシャンのように裏口から入って、レコーディングスタディオに入りました。

レコーディングスタディオに入ったら、各座席にヘッドフォンが置いてありました。今日はこれをつけて、ミキサーを経由した音をリアルタイムで聞く、というライブ形式(オペレーターは中山佳敬さん)。僕はこういうのは初めてだったので、びっくりしました。

少し、リハーサルが長引き、予定よりも遅いスタート。今日の祥子さんの出で立ちは「赤いベレー帽、白シャツ、紺のスカート」というすっきりしたもの。個人的なことを言いますが、僕は「ベレー帽かぶった女性大好き侍」なので、凄く萌えてしまいました(笑)。でもこれは実は、ファーストアルバム『Viridian』の時のお帽子だったのでした。

第一部は「レコーディングセッション」で、祥子さんのデビュー曲「夏はどこへいった」を改めて「2023年版」としてダビングしながらレコーディングするのを我々が見学する、といった趣き。でも、祥子さんの「第一声」は以下の曲でした。

1)Tom's Diner(アカペラ)


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祥子さん曰く「私、デビュー時には和製スザンヌ・ヴェガという売り出され方をされたんですよね」。僕は「そういえばこの曲、某コーヒーのCMだったな」と思い出していました。


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この後、35年前のデモテープの音源が流され「実はこれ、さっきの曲が入っているスザンヌ・ヴェガのアルバム『Solitude Standing』の「Gypsy」という曲の歌詞に勝手にメロディを乗せる、という課題が私に出されて、その曲があるプロデューサーの耳に触れて、改めて川村真澄さんの歌詞がつけられたのが“夏はどこへいった”なんですよね」と裏話が披露され、その後しばらくトラックを重ねていく様子を僕たちが拝見するという「大人の社会見学」という感じの時間となりました。これだけこだわって、重ねて音が作られていくんだ、というのをリアルタイムで経験できました。

2)夏はどこへいった


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祥子さんは、以下の写真で言うと客席の向こうのブースでレコーディングでした(この写真は休憩中に撮りました)。「ファーストアルバムの時のような初々しさを出そうと思ったんですが、やっぱりふてぶてしさが出ちゃいましたね(笑)」と祥子さん。3,4回重ね録りをして完成したのを見届けて、第一部は終了、休憩時間にはコーヒーが振る舞われました(スザンヌ・ヴェガのCMのせいではないでしょうけど)。

第2部は“ライブ・セッション”と言うことで、ここからはブースから祥子さんも設楽さん、高野さんも出て来て、「ここ1年ほどで、ライブでEpic Sony時代を遡っていきたいと思いますので、今日は懐かしい曲を中心に、私はヴォーカルに専念してお送りします」と始められたのが

3)Goodbye, My Friend


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でした。続けて歌われたのが、ライブではめったにしないと祥子さんも言っていた

4)Little Wing

「実はこの曲、2ndアルバムの『水の冠』の時にできていたのですが、その時はペンディングになって、フォークっぽくガシャガシャ弾いていたのを、小林武史さんのアレンジで変わったんですよね」とのこと。

5)Sweet Sweet Baby

「アルバムのテイクも凄く気に入っている曲です」とのこと。

6)メロディ(withタンバリン)


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「おとなしい曲が続いたから」と、アップテンポなこの曲がセレクトされました。

7)とどくかしら

「この曲はジャズっぽいと言うか、ちょっとアルバムとは違う感じになると思います。そういう(アドリブ的なノリも)良いよね」と始められました。確かに違うアレンジでした。

8)サンデーバザール


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「この時期の歌詞は、川村真澄さんが書いてくれていたのですが、彼女の歌詞はみんな悲しい(笑)。当時は与えられたものをこなすのに精一杯でしたが、こんな歳(ここで笑い声が起き「何で笑うんですかぁ(笑)」と祥子さん)になると、一層身につまされる気がします」とのこと。

9)ラジオのように(withタンバリン)


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「盛り上がる曲って言っても、私の曲ではそんなに盛り上がらないですけど(笑)」と始められたのがこの曲でした。

10)両手いっぱい


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「この曲、あるアレンジャーの方がアレンジしてくださったのですけど、私が「なんか違う」と言い張って、菅原(弘明)さんたちと全取っ替えして、レコード会社の心証を悪くした曲です(笑)」とのことです。

11)優しい雨


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キョンキョンに提供した曲ですが、私がバッキングコーラスをやったキョンキョンの“夏のタイムマシーン”という曲、実はこのVictorのこの302でレコーディングしたんですよね。なんか不思議な縁を感じます」とのこと。

12)風の扉


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「実はこの曲も、川村真澄さんの歌詞がつけられていたんですが、自分の歌詞で歌いたいと思って、始めて作詞した曲です」「23,4歳くらいに“目指す場所はたった一つ”と思ってこういう歌詞を書きましたが、実際どういう場所にたどり着いたのか(自分でも判りませんが)」

本編はここまで。最後はアカペラで

encore)どこにもかえらない(withタンバリン)


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をみんなで手拍子しながら終了。

目の前で祥子さんが歌っているのに、ヘッドフォン越しにその声と音を聞く、という変わった「体験」でしたが、昔の佳曲揃いで、堪能しました。4月頃にライブがあるとのインフォメーションもありましたので、鶴首して、刮目して待つことにしましょう。