美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

松本零士の世界を振り返る

なぜだかYouTube松本零士関連の映像をたくさん見たせいで、音楽と漫画を振り返ってみた。

交響詩 銀河鉄道999(紙ジャケット仕様)

交響詩 銀河鉄道999(紙ジャケット仕様)

実はこれ、カセットテープで小学生の時持っていたので、大分聞き込んで記憶の底に残っていた。それを急に思い出して検索かけたら、たくさん出てきて、つい買ってしまった。作曲は青木望さん。僕にとっての青木さんは、「999」と「北斗の拳」だな。ロマンティックな曲が多い。小学生の時から一番好きだったのは、この「惑星メーテル」という曲。

銀河鉄道999 惑星メーテルのテーマ

ついでに、文庫版の「ハーロック」や「エメラルダス」まで読み返しちゃった。

宇宙海賊キャプテンハーロック (1) (秋田文庫)

宇宙海賊キャプテンハーロック (1) (秋田文庫)

新装完全版 クイーンエメラルダス(1) (講談社漫画文庫)

新装完全版 クイーンエメラルダス(1) (講談社漫画文庫)

改めて読んで、松本零士の世界は「男(の夢)」をこれほど強調していたのかと驚く。『クイーンエメラルダス』なんか主人公が女海賊なのに、テーマは結局「男の夢に寄り添う女」だもんな。もちろんエメラルダス自身の孤独な旅も大きなテーマだけど、彼女の旅の目的や理由はほのめかされるだけで、いっこうに明らかにならないもんな。ハーロックの場合は「マゾーン」という敵と戦い、その謎を探る(でも途中で終わっている)という目的が明確だけど。
九州男子たる松本先生の作品に横溢するマチズモに関しては誰かがすでに指摘していそうだけど、読み返すまでここまでとは思わなかったな。でも、これを30年前ほどに読んで「良いなあ」と思っていた人々が多かった(僕もその一人)のも事実なんだよね。彼の描く女性キャラの流麗さに「眩惑」させられていたところは俺にもあったかもなあ。メーテルの場合は、池田昌子さんの声も作品のマチズモを覆い隠していたかも。
にしても、西原理恵子の指摘のように、「髪の毛長すぎまつげ姉さん」「ハーロック系」「鉄郎おいどん系ジャガイモ」の三つのキャラだけで半世紀描いてきた松本先生の筆力はマジで賞賛に値するよね(笑)。