美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

博覧強記

とはこういう人のことをいうのだなあ、と感心。いままで積ん読にしていたことを後悔。

明治の精神異説―神経病・神経衰弱・神がかり

明治の精神異説―神経病・神経衰弱・神がかり

講義の参考になるかな、と思って読んだら、大当たり。様々な文献を引用して、しっかりとした「学術論文」なのに、何かしら江戸っ子の気っぷの良いしゃべりを聴いているような文章。こういうのは、恐らく僕は書けない。度会先生のお名前を初めて知ったのは、『魔女幻想―呪術から読み解くヨーロッパ (中公新書)』という新書だが、英文学者が日本近代についてこんなしっかりした本を書いちゃうと、僕などの立つ瀬がない(笑)。
度会先生はこの本の執筆動機を

「神経病」「神経衰弱」「神がかり」「憑きもの」を切り口に、単一ではない複数の時代精神、複数の人物たちのこころの習慣を可視化してみてはどうか、と(p.289)。

と書いていらっしゃるが、こういう「時代」「地域」を超えて(ある意味無視して)共通項を探す、という思考パターンは、宗教学や民俗学に近いので、僕などは共感を持って読むことができたのだろう。