美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

「歪み」をまっすぐ見据える

きづきあきらさんの短編集がワニブックスから再版されているので、書き下ろしの短編にお金を払っていると思いつつ購入(書き下ろし以外はぺんぎん書房の単行本で全て既に読んでいるからね)。

侵蝕プラトニック (ガムコミックスプラス)

侵蝕プラトニック (ガムコミックスプラス)

増殖フェティシズム (ガムコミックスプラス)

増殖フェティシズム (ガムコミックスプラス)

タイトルが全て椎名林檎風味なのはともかく(笑)、改めて読むと、やはりこの人の描く世界は歪んでいる。フェティシズムだったり、近親姦だったり。でも、その「歪み」を美しいものとして開示するのではなく「歪みは歪みである」と真っ当に見据えながら描写しているのがこの人の作品の持ち味だと思う。「歪みに惹かれる普通の人」、これは作者自身であり(作品にしちゃうんだから、その業は普通の人より凄いわけだが)、その作品に惹かれる読者の僕自身の最大公約数的な性格だろう。