入門書じゃない
電車の中と研究室で読了。
- 作者: 見田宗介
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/04/20
- メディア: 新書
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さて、僕は十数年前、大学一年生の時、見田先生の「社会学」を履修していたが、その時の先生の講義は、人数の多いマスプロであったこともあって、熱心に出席したとは言えない。あと、正直言って見田先生の話が「判りづらい」というのも理由だった。これは僕の方に「社会学とは、理論でもって世の中の事象をサクサクぶった切っていくものだ」という「思いこみ」(そう、まさに思いこみだ)があって、そのような使い勝手のよい道具としての理論の説明よりは、具体的な事例を挙げて考えさせる見田先生のスタイルが、未熟な僕にはよく理解できなかったのだ(本書の中では、第2章の内容を記憶している。その時買った柳田国男の『明治大正史 世相篇 新装版 (講談社学術文庫)』はまだ僕の書架にある)。
でも、その後多少勉強した甲斐があってか、今なら見田先生が僕たちに何を伝えたかったのかが、おぼろげに判ったような気がした。この本は、僕のような人間にとっては、当時の見田先生の「肉声」を思い出させるよすがとなった。