美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

多数派の「ヒステリー」

テレビ大阪(東京)の「週刊ニュース新書」を見ながらブランチ。もちろん、大江麻理子さん目当てだが、硬派な番組だよな。メインキャスターの田勢康弘さんも、良くも悪くも「華」がない人なので(すみません)、ワイドショーめいたニュース番組ばかり見慣れている身からすれば新鮮。
で、今回この番組では、例のウイグルでの「暴動」が特集されていた(テレビ東京の撮影クルーが中国当局に拘束された、ということもあったので)。
もちろん、僕はチベット同様、こういう暴動を引き起こしてしまった中国政府の少数民族政策の拙さを指弾したいが、翻って日本国内の動きを見てみると、やはりというかチベットの時と同様「それ見たことか」と「喜んでいる」人々が散見される。要するに、中国をバッシングする材料を求めているような人々だ。そういう人は少数派と思いたいが、「日本の台湾統治をネガティヴに描いたNHKはゆるさん」と訴訟を起こすような人も出てくるご時世だからなあ(そして、ある程度「チベット支援者」と「NHK訴訟グループ」は重なっていたりもするしなあ)。
さて、チベットウイグルを支援する人の中に、例えば関東大震災の時の朝鮮人虐殺に思いを致した人はいたのだろうか?あれは精神分析的に見れば、朝鮮人を差別していた日本人が罪悪感を「抑圧」していて、震災が起きたときに「あれほど差別していた我々を、朝鮮人が許すはずはない。このチャンスを見逃すわけがない」と自分たちの差別を「否認」できなくなって、「ヒステリー(僕はこの言葉を性的に中立なニュアンスで使います)」を起こした事件だったと分析できるとおもうが、今回報道されている「漢人によるウイグル人への報復(過剰防衛と言った方が良いか)」も構造は同じだ。いつも差別している多数派が、少数派の復讐を恐れて、逆ギレして襲う、という構造。残念ながら、少数派への弾圧というのは、こういう「普遍的」な構造があると思う。
レベルが違うとは思うけど、「多数派が(妄想を募らせて)逆ギレして少数派を襲う」というのは、在特会みたいな連中にも当てはまるだろうな(言うまでもないが、「在特会」みたいな連中が多数派、ということではなく、「日本人」という圧倒的多数派の一員であることに彼らは依拠している、という意味です)。