美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

「殺人事件」に冷静になれ、ってのは判るが・・・

電車の中とお風呂で、以下の新書を読了。まあまあ分厚いけど、文体は平易なのでサクサク読める。

日本の殺人 (ちくま新書)

日本の殺人 (ちくま新書)

著者の河合さんの主張は、要するに「殺人事件なんて物凄くレアなことだし、しかもマスコミで報道されているのは選りすぐりのレアケースなんだから、もうちょっと冷静に見ましょう」「公務員は汚れ仕事を影で一所懸命やっているんだから(そんなに非難しちゃ可哀想でしょ)」ということに尽きると思う。まあ、その主張は判るし納得も出来るのだが、後半部の「取り調べの可視化は愚策(p.186)」だとか、「みんな、裁判員になれば人生の深みが判りますよ(終章、超訳してみました)」という主張には首をかしげざるを得ないな。何故、冤罪が起こるのかというのは、要するに「その場で反省させて、取調官もカタルシスを得たいからだ」っていう説得力のある話もあることだし。
てなわけで、裁判員制度にも懐疑的な僕は、後半になるほど「あれれ」と思ってしまった。前半がまあまあ良かっただけに、個人的には少し残念(読む価値はあると思うけど)。