美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

調整力

今日は家で一日ダラダラ。読んだのは先日買ったこの本。

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)

一読して、この手の対談本としては、予想以上に二人が「かみ合っていない」のにまず驚く(特に興味深かったのが石原慎太郎への反応。僕も恐らく辛さんのような態度を取ってしまうだろうけど、野中さんは「ボンボンですよ」といいつつ、一緒にめしを食ったり、石原の良いところを見つけ出そうとする態度をあくまで貫いている)。ケンカというのではないが、恐らく二人の「性格」が違うのだ。野中さんは元自民党の長老らしく「調整」を重んじ、辛さんは自分で道を色々切り開いてきた人らしく「是々非々」で攻めるタイプというか。かつての自民党の強さでもあるこのような「調整力」を今の自民党はなくしてきているのではないか、などと読みつつ思ったりもした(全く同情はしないけど)。
読んでいて一番辛かったのは、辛さんがメディアで目立ってきて、正論をいえばいうほどバッシングが家族に及んで、家族との関係がギクシャクしてしまったという体験を話したところだった。もちろん辛さん一家をそのような目に遭わせたのは、日本人の差別。本当に恥ずかしくなる。
あと、この本の特徴としては、対談の間に挟まれる解説文が予想以上に多く、差別問題に関するいいガイドになっていると思う(巻末の参考文献一覧も充実しているし)。サクッと読めるし、なかなかお勧め。