美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

朱子学の「効用」

今日も体調優れず、休日出勤は取りやめて、家でダラダラ読書することに。今日読んでいたのはこれ。

足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

足利義満 消された日本国王 (光文社新書)

このところ、沢山の歴史書を書きまくっている小島先生だが、これは足利義満が当時の東アジア情勢の中で、いかに振る舞ったかを中心に見れば、皇国史観以来の歪んだ南北朝観も是正されるのでは、という意図(野心?)で書かれたものと評して良いだろう。中世史の専門家からは色々批判する点もあろうけど、僕のような素人には非常に面白くサクサク読めた。
僕にとって一番興味深かったのは、鎌倉から室町期に掛けて流入した朱子学という学問が、いかに「禅譲」という概念を否定して「天命」を強調しつつ、体制教学として「革命」とか「放伐」という言葉を換骨奪胎して無害化していったか、というくだり。この辺りは、さすが専門家である小島先生の面目躍如、といったところ。