美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

生きづらさを見つめる

今日、大野左紀子id:ohnosakiko)さんの本を読了。

「女」が邪魔をする

「女」が邪魔をする

読みやすい、というか、今まで元になる文章や議論は結構目を通していたので、既視感でもってぐいぐい読んじゃったかな。というわけで、僕にとって「目から鱗」はあまりないが、議論はきれいにまとまっており、ジェンダーセクシュアリティ関係のいい入門書の一つだと思う。
この本を貫いているテーマは「女の生きづらさ」だと思う(まあ、フェミニズムって、そういうものだが)。女(若しくは「女子」)が日々感じる「違和感(モヤモヤ)」の本当の原因は何、という疑問に答えようとした本といえばいいか。当たり前だが、「じゃあ、そういう(女)役割、辞めればいいじゃない」と服を脱ぐようにいかないのがこの手の問題の肝。
男の僕にとって面白い考察だと思ったのは、男の「処女幻想」を分析する中で、

ピュアな彼女を愛する自分は、そこに侵入するペニスを持った暴力的な性。「処女性」を愛でる男性は、このダブルバインドを回避するために、「こんなピュアなキャラを愛せる自分もピュア。暴力とは無縁。むしろ心は乙女」との自己錯誤を無意識のうちに行うのではないだろうか。(pp.222-223)

という部分。僕も「自分の男性性の攻撃性に辟易している男」って結構多いと思う(草食系もそうだよね)。
20代から30代の女性で、自称が「女子」という人は読んでみると良いかも。