どれくらい変化したのか
明日の大学院ゼミの予習として、超ロングセラーを今更ながら読了。
- 作者: 川島武宜
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1967/05/20
- メディア: 新書
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僕として興味深かったのは、2章と5章。
2章には戦前の事例が色々載っているのだが、一言でいうと政府の権力を法の拘束の外に置き、「切り捨て御免」の権力がいかに発動していたという事例(例えば、軍の備蓄していた火薬が爆発し周りに被害を出したのに、火薬製造は公的なものだから国に責任がない、という判決が出ていたりする)の紹介は、いまだに震撼とさせるものがある(今も警察がまずほとんど謝罪しないっていうのも、この流れの残滓だよな)。戦前はまさに「お上の自制心に期待すること」しか許されていなかったということなんだよな。でも、これって今の我々が嗤えるだろうか?
5章は、日本人が裁判に訴えす「和解」とかに傾きがちな性質を指摘し、明らかに一方に非があるような事例(例えば交通事故)についての判決でも、被害者側にも落ち度があったとする判決が出やすかったことなどを取り上げ、こういう「喧嘩両成敗」的な思考様式に囚われがちな日本人の法意識を剔出している。
法曹界人口も増え、裁判員制度まで出来てしまった(撤回して欲しいと個人的には思っているが)今、川島先生の言ったことがどれだけ変化(改善?)されているか、誰か検証してくれないかな。