美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

年取ってから読んでよかった

昨晩、深夜4時までかけて、ハチクロ全10巻を読破(貸してくれたA部君、ありがとう、おかげで寝不足で、今朝は足取りも重かったよ。俺も年だな)。やっぱ、面白い、というより、マンガとしてのコマの運び方がうまいんだね、この人は(だって、物語としては仲良しグループがうだうだしているだけで、ほとんど何もないに等しいんだから。「ない」って言うのは言いすぎだとしても、この長編のあらすじを要約せよ、といわれたら、みんなけっこう困るんじゃないかな)。

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー (10) (クイーンズコミックス―コーラス)

ハチミツとクローバー (10) (クイーンズコミックス―コーラス)

僕の第一印象は「これ、年取ってから読んでよかった」というもの。なぜかというと、こういう物語を高校生や大学に入りたてくらいのピュアな時に読むと、感情移入しすぎただろうから(笑)。「真山、お前は俺か」とか言いそうな自分に嫌気が差す。「青春スーツ」という抜群の設定がこのマンガではあったけど、危うく僕もそのスーツを蒸着しそうになったよ。
片思い(及びやせ我慢)は、若いときほど強度があるもの(山田を護るユニコーンはそのメタファーだと思った)。ということで、ハチクロは真の意味で「若者」の物語だと思う。僕自身の経験を思い出しても、ある女の子に振られたあと、別の女の子がどうも僕に好意を持ってくれていると聞いても「あの時ほどに胸がときめかないから、行ってはダメだ」などとものすごく体に悪いやせ我慢をしていたのを思い出す。その時の座右の書は福永武彦の『草の花 (新潮文庫)』だったんだから、もって瞑すべき、ってなに自分語りしちゃってるの、俺。ハチクロ恐るべし。
でも、最後の終わり方は、『自虐の詩』が元ネタだよなあ、と思いました。
自虐の詩 (下) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

自虐の詩 (下) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

ラストは圧倒的に正しい。意味は、あるんだよ(人生にも、叶わなかった片思いにも)。