美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

あの人を許す日

近藤ようこ先生の新刊が出たので、速攻でゲット。

兄帰る (ビッグコミックススペシャル)

兄帰る (ビッグコミックススペシャル)

今回も、胸に染みる話だなあ。失踪して事故死した男をめぐって、その家族と婚約者が彼の足跡を追う、というストーリー。そういえば、近藤先生の作品には、結構「失踪話」が多いのを思いだした。僕が憶えているのだと、「くらくら」という短編(『春来る鬼』所収、もともとは『わたしに似た人』に入っていた)は失踪した夫が死んだと通知が来るシーンからスタートするものだし、『心の迷宮』シリーズでも、作家志望の夫が家を出て新しい女を作るというのがあったなあ(「火宅」)。
今回の話は、ネタバレしちゃうと、「許し」というモチーフが前面に出ていて、読後感が爽やか。
あの人を許して、その人への思いに囚われていた自分自身も解放する、という「二重の許し」が「癒し」には必要なのだ。
春来る鬼

春来る鬼