美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

ユダヤ人はいかにして「アメリカ人」になりし乎

電車の中で読了。

ユダヤ系アメリカ人―偉大な成功物語のジレンマ (PHP新書)

ユダヤ系アメリカ人―偉大な成功物語のジレンマ (PHP新書)

ちょっと前の新書。
私事だが、僕の知り合いのアメリカ人で、日本及び韓国の近代史研究者が2人いるのだが、ともにJewishなのだ。彼らは日本語・韓国語もぺらぺらで、「やっぱユダヤ人は頭良いなあ」という僕の「偏見」を補強する恰好の事例だったのだが、彼らを思い出しつつ読んだ。ユダヤ人が「アメリカ人」になるのも大変だったことが判った。
興味深いな、と思ったのが「jewish mother」ということば。文字通り「ユダヤのお袋さん」ということだが、これはヨーロッパから持ち込まれたものではなく、アメリカで「作り出された」キャラクターと言われ、要するに生活力のない夫を助け自らも働き、子供を学校に通わせ、無能な父親の代わりに家族の中心となり、子供がユダヤ人以外と結婚しないように目を光らせ、ユダヤ的生活習慣を尊重させ、それと同時に子どもたちがアメリカ社会で成功するように教え励ます、と言う「母親像」のことだそうだ(pp.82-85)。これなんか、日本社会の在日一世の苦労したオモニを彷彿とさせる。
なお、もう一つ驚いたのが、この本で紹介されているハンナ・アレントモテモテ振り(笑)。色んな人にプロポーズされているなあ。ルー・ザロメほどではないにしても、彼女も一種の「ファム・ファタル」だったのかも。