美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

他者としてのUFO(及びエイリアン)

電車の中で読了。

UFOとポストモダン (平凡社新書)

UFOとポストモダン (平凡社新書)

UFOやエイリアンが人類にとって「他者」なのは当たり前だが、どのような「他者」なのかが問題だ。この書では「我々遅れた人類を見守ってくれる人間型の異星人」というイメージから、映画の『エイリアン』に典型的な「相互理解を拒む昆虫や爬虫類型のエイリアン」への移行が、社会的にいわば必然的な変遷であったとして描かれている。ちょっとその図式(フーコーの「生権力」論や、東浩紀大澤真幸の世代論を参照にしている)には強引さも感じられたが(僕としては、なぜアメリカだけがかくもUFOに取り憑かれているのか、もう少し深く突っ込んで欲しかった)、面白くぐいぐい読めた。
興味深かったのは、ヒル夫妻というアブダクティ。黒人と白人のカップルである二人が見たのが、今までとは違った異形のエイリアンであった、というところから、筆者はそこにいわばレイシズムの影を読み取っている(pp.86-89)。向こうでは「interracial」というポルノの一部門が屹立しているくらいだもんなあ、と思い納得(しかも、大体が男=黒人、女=白人の組み合わせだ)。