美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

生活実感からだったのかも

現在、丸山眞男のインタビュー集を読み進めている。これが、大変面白い。

丸山眞男回顧談〈上〉

丸山眞男回顧談〈上〉

まずは彼の軍隊経験の思い出話から始まるのだが、「丸山一等兵」に参謀が色々質問しそれに答えるという「講義」をポツダム宣言後から行ったというところを読むと、結構軍上層部にも話の分かるリベラルな人がいたという事実と、彼らが「ポツダム宣言を受け入れると、俺たち軍人はどう処罰されるのだろうか」と戦々恐々としていたのが伺える。中には「オレは少尉だから大丈夫だよな。処罰されるのは佐官クラス以上だよな」と確認してくるようなものもいたらしく、こういう「生活実感」から、丸山先生は戦後すぐに例の「無責任体系論」を書いたんじゃないか、なんて邪推したりした。

追記:「超国家主義の論理と心理」は邪推も何も、読み返せばまさに軍隊経験から書かれた論文ですね(大分前に読んで、内容を忘れかけていた)。実際同僚の尾高朝雄に「軍隊経験を生かしてこういうのを書くとは、丸山君は転んでもただでは起きないね」と冷やかされたこともあるそうな。
そして問題は、この論文が、軍隊といういわば非常に限定された空間で構想されたにもかかわらず、そこでの問題が日本の社会全てを貫いているように(いまだに)我々の目に映じている、と言うことなのだ。一歩間違えば「日本人論」に繋がりかねない考えだが、丸山を日本の本質をいうものを措定してしまったとあげつらうよりもまず、我々の丸山の「消費」の仕方こそ批判されるべき事であろう。

丸山眞男回顧談〈下〉

丸山眞男回顧談〈下〉

〔新装版〕 現代政治の思想と行動

〔新装版〕 現代政治の思想と行動

丸山眞男 (KAWADE道の手帖)

丸山眞男 (KAWADE道の手帖)