2006-08-31 神国思想への思いこみ book 電車の中で、読み終えたこの本は、非常に良質の入門書及び目から鱗の良書。おすすめ。神国日本 (ちくま新書)作者: 佐藤弘夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/04メディア: 新書購入: 2人 クリック: 39回この商品を含むブログ (33件) を見る普通我々は、鎌倉末期の蒙古来襲あたりから「神国日本」というナショナリスティックな感覚が盛り上がって、南北朝の時の北畠親房の『神皇正統記』あたりで、「世界に比類ない神国日本」の思想ができたと思いこんでいるが、実はそうでもないということをこの本で教えてもらった。ようするに、北畠親房は「日本は神の国(しかもその神は仏の垂迹)」とは言っていても「世界に冠たる神の国」とは言っていないのだ(そういうことを言い出したのは、幕末の国学者と戦前の狂信的な国粋主義者の方なのだ)。ここは重要。あと、浄土教や禅宗などが、「日本の神を無視する」=「神の権威を笠に着る中世の権門を否定する」という理由付けで迫害された、という指摘も重要だろう。