美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

水と安全とネットでのお答え

がタダだと思っている人は結構多い。偶然見つけた、慶應義塾大学法学部の萩原能久先生のページに、こんなやりとりが

関西学院大学のある学生より (2002.6.17受信)

 僕はとある大学の学生なのですが、早速質問です。
イタリアの政治家マキァヴェリの思想がそのころのヨーロッパの中世的世界観や人間観にどのような変革を与えたかという題に対しての答えを教えてもらえないでしょうか。おねがいします。

■ お答えします

 こういうたぐいの質問が、学期終了が近くなりいろいろな大学でレポート課題がでる季節になると私のところによく寄せられます。
 その手には乗りません。明らかに私にレポートの代筆をさせようとのあさましい魂胆がミエミエです。このたぐいの質問は、なぜ自分がそのような「問い」にたどり着いたのか、説明が一切ないこと、また自分なりにどのような答えを考えているかも一切示されていないことから、すぐインチキレポート代筆依頼だとわかります。
 最近だけでも私のところに届いたこのような「質問」に次のようなものがあります。すべて「全文」を原文のままご紹介しておきましょうか。

初めまして。
教えて欲しい事があります。『権力分立の必要性』を教えて欲しいのです。出来るだけ早く知りたいのです。お願いします。
* * * * * *
帰納的推論の限界と有効性についてコパーをからめて論評して下さい。

答えるわけがないだろ。バ〜カ!!
それにしても、この「帰納的推論」の限界と有効性を論じたとされている「コパー」なる人物は誰なのだろう。同じような問題を扱った哲学者である「ポパー」なら、私の専門ですが・・・

僕は今まで、これほどの悪質なメールはもらったことがないけど、とりあえず「専門家」の僕に、メールで答えを要求する一般の方は多い。学者仲間(特に面識があれば)なら、「相互性」(教え、教えられる)があるので、すぐにお答えもするのだが。「とりあえずタダだし訊いてみよう」という気軽さがネットにはあるけど、本来そんなもんじゃないだろ、とちょっと思う。
答えをケチっているわけじゃないんですよ。大体、そういうメールに限って、上記のように藪から棒な感じで、ぞんざいな口調なので、嫌になるのです。丁寧な口調で、どうしてそれを知りたいのかがはっきりしているご質問には、僕はできる限り答えてきたはず。

今度、上記のようなのが来たら、公衆の面前に晒すか、罵倒して返信しようと思う。