美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

今年度に論文を載せた書籍のご紹介

乏しい成果ではありますが、市販されている論文集に論考を2本掲載してもらいましたので、そのご紹介です。

 

政治化する宗教,宗教化する政治 〈世界編II〉 (いま宗教に向きあう 第4巻)

政治化する宗教,宗教化する政治 〈世界編II〉 (いま宗教に向きあう 第4巻)

 

 これは東大宗教学研究室出身者を中心に編まれた論文集(全4巻)の、最終刊です。僕は「「解放」後韓国の宗教とナショナリズムキリスト教を中心として」という論考を載せました。これは戦後、大きく勢力を拡大した韓国のキリスト教についての概説です。我々はつい民主化運動の先頭に立ったり、人権問題に関与し戦ったりしたキリスト教の姿を想像してしまいますが、実はその一方で、軍事独裁政権とべったりの「反共保守」のキリスト教が政治に大きく関与してきた歴史があります(こちらの方が人数的にもマジョリティと言って良いです)。僕の論文はどちらかというと、後者にスポットを当てたものです(彼らを評する言葉はその保守派を批判するリベラル派から借りていますが)。

 

植民地帝国日本における知と権力

植民地帝国日本における知と権力

 

 こちらは、僕が数年間研究メンバーに入れてもらっていた国際日本文化研究センターの論文集(なんと1000頁弱の分厚さ!26名もの先生方の論文集ですので・・・)。朝鮮近代史専攻の松田利彦先生にお誘いいただきました。超一流の先生方(僕除く)の前で個人発表してびびっていたのも良い思い出です。

僕は「雑誌『朝鮮仏教』誌上に見る日朝仏教の葛藤―一九二〇年代後半を中心に」という論文を提出しました。『朝鮮仏教』は植民地期に朝鮮半島で発行されていた仏教雑誌で、そこで例えば日本から輸入された肉食妻帯などに関する論争が行われていました。論文ではその雑誌の興味深い記事をいくつか取り上げつつ、朝鮮総督府の宗教(対仏教)政策、「日本的仏教」の流入、朝鮮仏教の近代化などについての見取り図を描いたつもりです。

 

ご興味のある方は手に取っていただければ幸いです(後者は値段が高すぎるので、図書館にリクエストしていただければ、と思いますが)。