美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

鈴木祥子定期演奏会「No Microphone,Please.」「外で歌おう」@鎌倉長谷別邸

僕がずっとファンを続けている鈴木祥子さんのライブに行ってきました。今回は、鎌倉の長谷にある「長谷別邸」という邸宅の庭で、お昼と夕方の2回公演というもの。僕は昼の部に参加しました(ファン仲間には、両方参加という人も大勢いました)。
今回のライブは「マイクなしで」「外で地声のみ」というコンセプトで計画されたもので、マイクは勿論なし、ギター(Fenderの12弦ギター、以下G)も生音、電気を使ったのは電子ピアノのウーリッツァー(以下W)の内蔵アンプだけ。この黒いウーリッツァーは、恐らく祥子さんが買い直したんでしょうね。以前はクリーム色のものでしたが、どうも基盤が浮いたりして調子が悪く、良く上に漬け物石とかを置いて押さえつけていましたけど。
幸い天気も良く(日焼けしたくらいです)、気持ちいい青空の下で、結構近い距離で祥子さんの声を拝聴するという、ファンにとっては至福の時間を過ごすことができました。以下で、僕が参加した昼の部のセットリストと感想などを書いていきます。多少の記憶違いはご容赦を。
1.青空のように(G)
一曲目は、祥子さん自身もCD化した、大滝詠一さんの曲。まさに冒頭を飾るのにぴったりすぎる曲。祥子さんは12弦ギターを抱えながら、後ろから登場して、会場の我々ひとりひとりにアイコンタクト(とファンの側としては思いたい)。衣装は黒を基調としたもの(スカートは華やかな柄が描かれていました)。
2. Beautiful Sunday(G)
これはスタンダードの曲ですね。アラフォー以上の方なら、田中星児さんの顔と声が思い出されるかも知れませんね(笑)。
3. Sunday(すてきなサンデー)(Buster)(W)
これは僕の知らない曲。祥子さん曰く「このBusterというバンドは、まあいってしまえば、Bay City Rollersの二番煎じみたいなものだったんですが(笑)、この曲が大好きなんですよ」

4. I Met Him On A Sunday(The Shirelles)(アカペラ)
もともと「The Shirelles」という黒人ガールズグループの曲で、Laura Nyroもカヴァーしたそうです。日曜日に彼と会ったのにすぐ分かれた、という内容だそうです。ここまでが「日曜縛り」のアメリカンポップス。

5.水の冠(W)
これまた懐かしい歌。「オレンジ5つも絞ったジュースをたったの一息で飲み干すあどけなさ」という歌詞を聞いた時、この日、ウェルカムドリンクでオレンジジュースを飲んだ僕は思わずにやっとしました(我ながらきもいですが)。

6.ぼくたちの旅(W)
『Candy, Apple, Red』所収の曲。これをライブで聴くのも久々だと思います。
7.北鎌倉駅(W)
これはまだCD化していないので、新曲と言って良いでしょう。そういえば、浜田省吾にも「紫陽花のうた」という曲で「紫陽花の花 北鎌倉 横須賀線のホームで君と」という歌詞があったな。鎌倉の一歩手前のこの駅には、何かシンガーソングライターの琴線に触れるものがあるのでしょうか。
8.花束(W)
祥子さん曰く、「この曲はさっき歌った「北鎌倉」と実は似たコンセプトの曲で、何となく幻想を見ているような、そういう心情を歌っています」とのこと。この曲が入っているアルバムの『Hourglass』、凄く内省的な雰囲気で、一時期凄く聞いておりました。
9. My Sweet Surrender(W)
これは、前回の「レコーディングライブ」で、リクエストされでやってみたものの、「コードがしゃばしゃばになってしまい、悔しかったのでやります」とのことでした(笑)。この曲を前回リクエストした知り合いは大喜び。

10.ベイビーイッツユー(G)
祥子さんのデビューアルバム『Viridian』所収の、ある意味一番古い曲の一つ。「新しい曲のあとには古い曲を交互に」と言って、ギターをかき鳴らし、我々の間を練り歩く祥子さん。「この歌詞(「一人きり生きていく、なんて素敵なの」)、よく見たら「お一人様」を助長する歌詞ですね(会場爆笑)」。以前はここで祥子さんが「素敵じゃねえよ」とセルフ突っ込みをするパターンも多かったのですが(笑)。
11.Get Back(W)
これも結構昔の曲。『水の冠』所収。「この曲は、さっきのとは正反対に、二人って最高、みたいな歌詞ですね。私の曲は「お一人様」と「二人は最高」という内容のを、振り子のように行ったり来たりしているのかも」と自己分析。
12.Good Old Dusty Road(W)
『SNAPSHOT』所収。この曲では祥子さんがおもちゃのトランペットを取り出してきました。ここまでが本編で、以下はアンコールです。
e1.風待ちジェット(坂本真綾)(W)
これは、坂本真綾さんに提供した曲のセルフカヴァー。数年前のライブでも頻繁に歌っていましたが、何年ぶりくらいだろう。あらかじめメールなどでもらっていたリクエストだったそうです。

e2.月の足音(W)
これはその場で、ある女性からのリクエスト。良く、結構昔の曲をすぐに思い出せるものだなあ。凄い。『水の冠』所収。
e3. Happiness(W)
祥子さんには「Happiness?」という曲もありますが、こっちは「?」のない方。この曲は「うまれてからもう25年も たったけど何もわからない」という歌詞があって、ライブではここに来るとある意味「鉄板」の「年齢ネタ」のMCが出るのですが(要するに、今の実年齢と絡めたネタなのですが)、今回は「え、もうこの倍、プラス1になっちゃったよ、で、何も分からない、ってこともないな、多少は分かるようになった」と立て板に水のMCが挟まり、「新聞や雑誌に書いてある事じゃない」という歌詞のあとに「うん、我ながら良いこと言ってる!(会場爆笑)」という感じでした。
e4. True Romance(アカペラ+W)
この曲は、最初普通にウーリッツァーで弾こうとしたのですが、風が吹いて歌詞カードが飛ばされ、もう面倒だとばかりにいきなりアカペラで歌い出し、我々の間を一周して、後半は座って歌いきってくれました。
e5. Never been gone(Carly Simon)(W)
ラストは、この曲のカヴァーで締め。

今回は、僕が見ている限り祥子さんが、天気の良さも手伝ってか、非常に「楽しんで」歌っていらっしゃった気がします。これを見る我々も、当然ながら気分が良くなるのは必然なわけで・・・、年明けにまたレコーディング・ライブがおこなわれるとの予告(このライブ会場で、先行予告がされました)にも、「最高のもの」を来た直後の我々は即、応じざるを得ないわけで・・・と「北の国から」のようなナレーションが脳裏をこだましましたが、僕としては数ヶ月に一回という最近くらいのペースで結構ですので、ライブをしてくれることと、既にライブでは何曲か披露済みの新曲を入れたアルバムを出して欲しいなあ、という月並みな感想を持ちました。何度も言っているのですが、今回、マイクを通さないということもあって、僕は祥子さんの声が本当に好きなんだなあ、と再確認させられました。祥子さん、お疲れ様でした。そして会場でお会いした皆さんも、また次回にも!