保守と革新(スーパーウーマン?)
現在、明日と来週の補講に向けてのネタ仕込みに必死の僕ですが、昨日読んでいたのはこれ。
- 作者: 小桧山ルイ
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1992/06
- メディア: ハードカバー
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婦人宣教師は、当時のアメリカで望ましいとされたウーマンフッドを体現する存在として期待されており、(中略)当時のアメリカ社会が女性に課した行動規範の制約としばしば実際の対決を迫られつつ、なお日本の女性たちがアメリカ的ウーマンフッドを自らの理想として受容することを期待した。彼女たちは、あくまで自国の保守的な女性観の定める枠内に留まる姿勢を堅持しながら、彼女たちの活動「領域」を最大限押し広げようとした。(p.4)
と要約されるような状況、つまり仕事の出来る職業婦人でありながら、女性らしさを忘れず、という、今の「出来る」キャリアウーマンに求められがちな「スーパーウーマンシンドローム」の原型みたいなのが19世紀アメリカの「女性解放の歴史」に見出される、というのが興味深かったのだ。「保守と革新」の不義密通(?)と言ったら、言い過ぎか(「保守」の論理を飲み込んだ上で、そのエクスキューズを利用しつつ革新的な行動、というパターンは現在ならイスラーム圏の高学歴女性たちに当てはまるだろう)。というわけで、けっこう色々考えさせられた。お勧め(ってけっこう昔の本だが、最近再版されたはず)。