美徳の不幸 part 2

Pity is akin to love.

年度末に

あっという間に年度末に近づきつつあるので、なんとなく気が急いて、本をまとめ買い。 

 北田君の新刊(出たのは去年だが)。僕などにはあまり理解できるか自信がないが、やはり買う。 

 このところ「戦争のトラウマ」ということをよく考えているので(それで講義をやったこともある)。これは買いそびれていた。 

忘却の引揚げ史《泉靖一と二日市保養所》

忘却の引揚げ史《泉靖一と二日市保養所》

 

 泉靖一は早世したこともあり、近年はあまり言及されなくなっているが、やはり僕のように植民地朝鮮および戦後の学問を考える上でのキーパーソンの一人。これは学問論というより、泉が戦後関わった「二日市保養所」という施設(満洲などで暴行を受けた引き上げ女性の中絶および治療施設)にスポットを当てたもののようだが。 

天皇はいかに受け継がれたか: 天皇の身体と皇位継承

天皇はいかに受け継がれたか: 天皇の身体と皇位継承

 

 時宜を得た出版、と申し上げても良いだろうか。知り合いの河西秀哉さんたちが関わっているので。 

大政翼賛会のメディアミックス:「翼賛一家」と参加するファシズム

大政翼賛会のメディアミックス:「翼賛一家」と参加するファシズム

 

 大塚さんの本は久々に買った気がする(オタク論に関して以外)。戦時中のプロパガンダを考察したもの。 

霊能者列伝

霊能者列伝

 

 これは1929年出された一種の「新宗教教祖列伝」を復刻したもの。解説は川村邦光先生。 

僕みたいな研究者は、買わざるを得ないですよね、この手のものは。後書きを見て意外な先生の協力があったことに驚いた。 

 

 原発問題を扱った新書も。 

この鴻巣さんが解説をした Eテレの「100分de名著」が面白かったので。彼女の訳した『風と共に去りぬ』も買いました。

 実は僕は、久米小百合さん(久保田早紀)の大ファンで、彼女のアルバムは全部持っている。この自伝も速攻で購入。今回読んで驚いたのはクリスチャンのミュージシャンの集まりの話と、久米さんの叔父さんが中世文学の大御所、久保田淳先生ということ。 

 「杉田さん、ちょっと深読みのしすぎ(笑)」という部分も多いが、面白いインタビューおよび作品解説。安彦先生の作品って、実は繰り返し現れるモチーフがあるんだよね。 

ユダヤ人とユダヤ教 (岩波新書 新赤版 1755)

ユダヤ人とユダヤ教 (岩波新書 新赤版 1755)

 

 恩師の一人である市川先生の新書。ユダヤ教独特の固有名詞が結構錯綜するが、読み応えあり。

酔いに任せて

先日、丸善京都本店で、知り合いがしゃべるトークイベントがあり、それにお邪魔し、打ち上げにも参加。飲み始めたのが早かったので、打ち上げが終わった後、まだその丸善が開いていたので、酔い覚ましも兼ねて戻って、買い込んだのが以下の書籍。これで僕の今年度予算はほぼ使い切ったな・・・。 

カトリック信徒の移動とコミュニティの形成 ─潜伏キリシタンの二百年

カトリック信徒の移動とコミュニティの形成 ─潜伏キリシタンの二百年

 

 この先生は以前も長崎のカトリック信者に関する本『「山の教会」・「海の教会」の誕生 ─長崎カトリック信徒の移住とコミュニティ形成─』を出していたが、その続編、というかそのルーツの潜伏キリシタン研究のようで、面白そう。 

 今、ゼミ生でこの手の研究をやりたがっているのがいるし、僕自身も興味があるので購入。 

軍事独裁政権時代の日韓連帯を知りたくて。 

植民地・朝鮮における雑誌『国民文学』

植民地・朝鮮における雑誌『国民文学』

 

 植民地時代の文学って、全然知らないので。 

植民地遊廓: 日本の軍隊と朝鮮半島

植民地遊廓: 日本の軍隊と朝鮮半島

 

 知り合いでもある金富子さんの貴重な研究。遊郭など公娼制度や従軍慰安婦問題に興味を持つ学生も多いし。 

 朝鮮人クリスチャンかつ知識人の代表格であった尹致昊の研究。これは僕としては見逃せない研究だなあ。

鈴木祥子「LATE NOVEMBER “KOBE”MEETINGS ~あなたにとってロックンロールとは何ですか?」@Chicken George

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何と二週連続、敬愛するシンガーソングライター鈴木祥子さんのライブを神戸に見に行くというレア体験をしてしまいました。盆と正月が一緒に、という表現も追いつかないほどの嬉しさ。先週は一人でのピアノ弾き語りでしたが、今回は、強力すぎるバンドでのライブ。メンバーは

Drums.Lead Vocal / 鈴木祥子

Guitar / 菅原弘明

Bass / 名村武

Drums / 矢部浩志

Keyboards / Dr.kyOn

という布陣。夏のライブツアーもこの面々で、最高の音を聞かせてくれました。舞台では向かって左から菅原さん、Dr.kyOnさん、祥子さん、矢部さん、名村さんという並び。いつものように以下ではセットリストと簡単な感想を添えて書いていきます。曲の後ろに楽器が書いてあるのは、祥子さんがヴォーカルだけではなく、楽器を持ったことを現しています。

1)#7 SHUFFLE

1曲目に、不穏な感じのこの曲を持ってきたところからして「ロックンロール」だと思いました。まあ、このバンドの面々で作ったアルバム『Snapshots』に入っている曲で、今回はそのあたりのアルバムからの選曲が多いかな、と予想していましたが、この曲は予想外。

2)Frederick

あのPatti Smithのカヴァーですね。この曲、原曲を知らない時から聞いていて、そのかっこよさにいつも感動してしまいます。

3)25歳の女は

この曲では、後ろに置いていた「トラメガ」を使いました。僕、祥子さんがこの道具を使うの見るのはもしかして初めてか?

4)光の駅(Acoustic Guitar)

祥子さんのギタリスト姿も、よく考えると久々かも。この曲が終わると「ここからはロックンロールの時間です(笑)」え、今までも結構ロックだと思っていたんですが、もっと「原点回帰」「ギアを上げていく」って意味として我々は理解しました。「私、エルヴィス・プレスリーの映像をDVDで見ていたら、彼は左足でリズムを取っているんですよね。(それを真似して)左足でリズムを取ると、自然に上半身が動いて来るんです。心臓が左だからかな。こういうのを本能的に知っていた彼はやっぱりすごいなあ、と思いました(大意)」というMCを挟んで行われたのが、

5)Treat Me Nice


Elvis Presley - Treat Me Nice

でした。その後もアメリカの「古き良きロックンロール」「ポップス」を復習するような感じで、次は祥子さんが多重録音で作った「Sindee & Forestones」という架空バンドで歌った

6)Lucky Lips

でした。


Lucky Lips - Cliff Richard

7)そして、神戸

いくら神戸のライブだからといっても、この選曲には驚愕。前川清ですよ。出も、矢部さんのドラムを始め、何か「ロック」なんだよなあ、このメンバーでやっちゃうと。


そして神戸 / 前川 清

8)Trouble

これもエルヴィスの曲ですね。


Elvis Presley - Trouble

9)Desperado(Key, solo)

ここで一旦バンドメンバーは一旦退場し、祥子さん一人に。「デビュー前に、デモテープにこの曲を吹き込んだんですよね」といってキーボードを弾きつつ始められたのがこのThe Eaglesの曲でした。そういえば、大昔、Carpentersのヴァージョンも聞いたことあったっけな。

10)Happiness?(Dr)

Drの矢部さん以外のメンバーが戻ってきて、ここから2曲はドラマー祥子さんの「叩き語り」。「実は先週のライブの時訊いたら、この曲が好きだという人が結構いたんですよね。一時期縁起が悪いと歌うのを避けてきた曲ですが(笑)」と「一週間越しのリクエスト」に応えてくださった祥子さん。

11)黒い夜(Dr)

これまた、先週リクエストで上がった曲。しっかりハードにバンド形式でやってくださり感動しちゃいました。この「嫉妬深い女の歌(祥子さん)」、結構好きな男子が何故か多いです(僕もその一人)。

12)Get Back

「都会に疲れ、故郷(田舎)に戻る女性」を歌った歌、とのこと。

13)ラジオのように

14)Baby, it's you

15)Love Child

16)Sweet Drops

17)Good Old Dusty Road

たたみかけるようにこれらの曲が演奏されました。「Good Old Dusty Road」に関しては「これは足並みの揃わない行進(みんなが一人一人歩いて行く、ということでしょう)」という発言が記憶に残りました。本編はここまでで、以下はアンコールです。

 

en1)日記(guest:松浦善博)

祥子さんはスカジャンを着て再登場(すぐ脱いじゃいましたが)。ここで、スライドギターの第一人者である松浦善博さんがゲストとして参加(金色に輝くレスポールでした)。松浦さん、『私小説』のレコーディングに参加しているんですね。僕は知らなかったのですが、元ツイストのメンバーで、バービーボーイズのディレクターとかもやっていたそうですね(ググりました)。この曲、バンドで演奏することこんなになるのかという驚きがありました。

en2)そしてなお永遠に(Key, solo)

一旦全員が引っ込み、ダブルアンコール。すると祥子さんだけが出てきて、「何かリクエストは?」というと、即座に何名かから声が上がりましたが、採用されたのは、僕のライブ友だちのりゅうさん(仮名)のリクエストの「そしてなお永遠に」が採用され、この骨太な曲で幕。「Thank you Kobe! 本当にありがとうございました」と最後メガホンを使っての挨拶でした。

その後は、今日発売されたLive Album『Syk30/721』(祥子さん曰く「機械で直していません!長すぎるMCを削ったくらいです」とのこと)を買ったりしてライブ仲間と談笑していたら、祥子さんが現れ、祥子さんのiPadで集合写真が撮られることになりました(僕も映っています)。

 

 

  2週連続でこんなに楽しくて、罰が当たるんじゃないかと思いつつも、ライブ仲間と終演後軽く飲み、終電で帰宅しました。電車の中で聴いていたのは、浜田省吾さんの「恋は魔法さ」という曲。これは震災の神戸への応援歌で、「神戸ガール」の声を祥子さんが担当しています。

祥子さん、そしてバンドメンバーの皆さん、改めてありがとうございました。

鈴木祥子「神戸スペシャル弾き語り編」@萬屋宗兵衛

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24日、神戸元町のカフェ「萬屋宗兵衛」にて、「Will, Way―夢をかたちに 鈴木祥子デビュー30周年 神戸スペシャル弾き語り編」と題して、鈴木祥子さん(以下祥子さん)のライブが行われ、当然のように僕もそれに参加。このライブは、祥子さんのライブで知り合いになったシャインさん(仮名)が企画なさったライブ、ということで、特別な意味を持っていました。

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今年は祥子さんのデビュー30周年ということで、様々なライブが企画されてきましたが、今回のはファンが企画したという特別なもの。というわけで、我々ファンも何か記念の贈り物を差し上げようと、「情熱」「尊敬」「感謝」という花言葉を持った薔薇(深紅・白・ピンク)をそれぞれ10本ずつ、合わせて30本を用意しました(僭越ながら、僕もプレゼンターの一人でした)。それをライブが始まる直前にお渡しし、祥子さんから「すっごく嬉しい」と感謝されましたが、我々としては、「いつもプレゼントをもらっているのはこちら側」という気持ちです、と後で申し上げました。以下、いつものようにセットリストと感想を書いていきます。基本的に、全てグランドピアノによる弾き語りでした。

1)風待ちジェット

これは坂本真綾さんに提供された曲。「2006年、京都に住んでいた時、アニメの主題歌を書かないか、という話が来て頑張って書いたら、コンペに通って嬉しかった」とのこと。

2)45minutes

3)I was there, I'm here

「この2曲は以前の拾得でもつなげてやって、二つで一つみたいな感じになっている」とおっしゃっていました。「昔の曲も用意してきました」といって始められたのが

4)水の中の月

5)空の休暇

でした。祥子さん曰く「今、都心から離れたところ(A市)に住んでいて、周りに何もないところだから、今回の選曲も、どっちかというと内面的(内向的)な感じになった」とおっしゃっていましたが、この2曲が入っているアルバム自体(『Long long way home』『Radiogenic』)が、結構内向的な感じですよね。一番内向的なアルバムだな、と思ったのは『Hourglass』でしたが。

6)愛はいつも

「この曲を出した頃って、湾岸戦争とかがあって、今聞くと違う意味も見えてくる気がする」とも。

7)雨のハイウェイ

8)愛してかんからり

この2曲は原田真二さんのカヴァー。実は祥子さんはデビュー前、原田真二のバックバンド「Crisis」に加入していたんですよね。今回のライブの企画を立てたシャインさんは原田真二の大ファンでもあり、その当時の祥子さん(何とバックで踊ったりもしていたそう)を知っている貴重な方です。「真二さんの日本のロックに対する貢献度はすごい」「真二さんの曲はロックだから(エネルギーが必要で)汗かいちゃった」と鞄からハンカチを取り出す祥子さん。「いつかまた、真二さんとご一緒にライブをやれたらいいなあとも思っています」

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9)Angel

10)Sweet sweet baby

11)夢の庭で

この3曲はどれも懐かしい曲ですね。

12)ノースバウンド・アイランド急行~リミのテーマ

13)Love of my life (Queen)

やはり祥子さんもQueen大好きっ子だったそうな。奇しくもこの11月24日はフレディの命日。ブレディが亡くなったその日、祥子さんは大阪の「FM802」の番組収録のため新幹線に乗っていたそうですが、新幹線の中で号泣して、目を腫らしたままスタジオ入りして、番組スタッフに「分かります」と慰められたそう。「フレディの命日にこの曲を歌えてよかった」と祥子さん。

14)ムーンダンスダイナーで

これまた懐かしい曲。アルバム『水の冠』のラストを飾る名曲(と僕は思っています)。

15)Paingiver(Drum)リクエス

祥子さんはここで「何か聴きたい曲、あります?」とリクエストを募りました。ここで、ファン仲間のりゅうさん(仮名)が「Paingiver、できればドラムでやってくださいますか?」とリクエストしたところ、これが受け入れられ、このライブ唯一のドラム叩き語りになりました。実は僕はドラムの真っ正面の席で、しかもドラマーとしての祥子さんがこの上なく好きなものですから、隣にいらっしゃったりゅうさんを心の中で拝み倒しました(笑)。


Paingiver

「See you next week(来週は三ノ宮の「Chicken George」でライブがあるから)!なんか小林克也さんみたい(笑)、ありがとうございました」といって、本編はここで終了。以下はアンコールです。アンコールも「何か聴きたい曲、あります?」とリクエスト合戦。

e1)Blonde

これはマリリン・モンローの伝記にインスパイアされた祥子さんが作った曲で、これをリクエストしたファン仲間のめんちかつさん(仮名)曰く「女性じゃないと作れない曲」。そのまま、この曲と一緒に作られた

e2)Passion

につなげて演奏。この曲はタイトル通りpassionateな曲。韻を踏む単語が並べられていく歌詞で、僕が昔から好きな曲。

e3)Father Figure

これまたファン仲間のYOHさん(仮名)含め、数名がリクエスト。(自称)ファザコンの祥子さんがその思いを昇華した名曲。

e4)あたらしい愛の詩(元町version)

ラストはこれ。冒頭の「東京の夕暮れは」の「東京」の部分を変えるのが地方ライブでのお約束になりつつありますが「三ノ宮」だと音数が合わないので、ライブ会場のあった「元町」に変更。ラストは会場にいたファンで合唱状態。「愛がただの名前にすぎなくなって ふたりが違う自由を探しても」という歌詞の「自由」を祥子さんが「自分」と間違えたことに気づき、はたと演奏を止めて「でも、自由って、自分と同じことだね」とおっしゃったのが印象的でした。確かに、この歌詞では互換性がある気がします。

今日も至福のライブでした。改めて、祥子さん、いつも「音楽の花束」をありがとうございます。2週連続で、しかも神戸で祥子さんのライブに行けるだなんて・・・。ファン仲間とも「また来週!」といってお別れしました。

最後に気づいたのですが、このライブ会場のピアノの上のレリーフは「Wuelitzer Music」。祥子さんはかつてウーリッツァーの電子オルガンを愛用していました。これもシンクロニシティの一つと思い、写真をパチリ。

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「教誨師」を見る

今日は朝から、大杉漣さんの最後の映画となった「教誨師」を出町座まで見に行く。朝っぱらからこんな重たいものを流してどうするつもりだ、出町座、と思ったが、レイトショーでもどんよりした気持ちで帰らざるを得ないから、どっちにしても同じだよな、と思い直す。


『教誨師』予告

物語の筋としては単純で、大杉漣演じる牧師の教誨師が、6人の個性的な死刑囚と対話を重ねて、互いに変化していく、というもの。ただ、この密室劇は、テーマがテーマなだけに、教誨師にシンクロせざるを得ない観客にとってはなかなかつらいのも事実。最近「傾聴活動」というのが宗教者の間でよく語られるが、この映画はその「しんどさ」を追体験できる映画であるともいえるだろう。

密室劇であるから、必然的に会話が中心となるわけだが、皆さん演技力がすごく、その点は全く飽きさせない作りとなっている。

6人の死刑囚がそれぞれどんな背景を持っているかがその中で明らかにされるが(最後まで明らかにされない死刑囚もいる)、常に教誨師は「自分の言葉は果たして彼らに届いているのか」「彼らのために自分は役に立っているのか」を自問自答せざるを得ず、宗教者の無力さがこれでもかと描かれている。ともすれば文字通り「説教」くさくなりそうなテーマを単なる「救い」というゴールに向かって進むような陳腐なものにはしていない。特に、現実の死刑囚をモデルにしたであろう大量殺人者の「高宮」、ストーカー殺人をしたとおぼしい「鈴木」との「対話の不可能性」を突きつけられるシーンはやはりこの映画の見所といえるだろう。

そしてある死刑囚は教誨師に「こんなのやってて、虚しくならないのか」と疑問を突きつける。それに対する答えは映画を見ていただくほかはないが、僕にとってはその「答え」がこの映画の最も重要なメッセージだったと思う。

 なお、僕も以前に読んだ堀川惠子さんの『教誨師』という本は、主人公は僧侶だが、この映画同様、死刑囚と向き合うとはどういうことかを教えてくれる佳作である。

教誨師 (講談社文庫)

教誨師 (講談社文庫)

 

 

「1987,ある戦いの真実」

今日は、京都シネマで、韓国民主化運動をモチーフにした「1987,ある戦いの真実」を見に行った。今日は水曜日で割引だった。

 

youtu.be

 


『1987、ある闘いの真実』メイキング映像


【1987、ある闘いの真実】キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン、キム・テリ、パク・ヒスン、イ・ヒジュンからのメッセージ

これは、あるソウル大生が水拷問で殺害されたことをきっかけに、様々な人がその「真実」を暴き出し、それが報道され、全斗煥政権が崩れていった現代史を切り取ったもの。もちろんフィクションも入っているが、概ね事実を元にした物語作りをしている。

当時「反共」といえば何でも許されるという世相で、検察、警察内ですら異議を唱えようものなら、即暴力におびえねばならないような時代。

はみ出しものだが、正義感のある検事がマスコミに大学生の拷問死をリークするところから始まり、サスペンス風味でそれが広がっていくのが主なストーリー。実際、検死をした医師によってその真相が伝えられたという歴史的事実もある。

japan.hani.co.kr

光州事件と取り扱った「タクシー運転手」もそうだったが、このところの韓国映画は、自国の「恥部」ともいえる歴史を、エンタメ成分も混ぜながら、素晴らしい映画に仕立て上げている。

両作品とも「元々はノンポリだったが、目の前で繰り広げられるあまりに酸鼻な現実を見て、いてもたってもいられずに立ち上がる」キャラクターがいる、という作りになっていたな。

俳優たちも素晴らしいが、まさかヒロインが惚れるイケメン長身大学生が、催涙弾の犠牲になった「」だったとは、ちょっとびっくり。そういう風に持ってきましたか・・・。

韓国現代史に興味のある方は是非ご覧ください。良作です。

ワルキューレ「が」とまらない

先日届いた、「ワルキューレ」のライブDVDと、このグループの一員であるJUNNAちゃんのフルアルバムを繰り返し試聴している。 

やはりこのグループのグルーブ感、好きですねえ。見ながらつい体が動いて、肩こりにいいです(笑)。 今回のライブでは、鈴木みのりちゃんが、色んな意味でキレッキレ。移動する舞台(下が見える!)で飛び跳ねまくったり、わざと歌を外して観客を煽ったり。特典映像で、子供のように終演後泣きじゃくる彼女を見て、益々好きになったよ。


【ダイジェストPV】ワルキューレ/LIVE 2018 “ワルキューレは裏切らない” at 横浜アリーナ

17才が美しいなんて、誰が言った。(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

17才が美しいなんて、誰が言った。(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

 

 そもそも僕がJUNNAちゃんを知ったのは、アニメ『魔法使いの嫁』でなんだよね。そのオープニングテーマ「Here」がかっこよく(このアルバム所収)、「この子誰?」と思って調べて、ワルキューレに遡ったという経緯があります。そもそもこのアニメを見ようと思ったのは、エンディング・テーマ「環―cycle―」が、亡くなった吉良知彦さんの「遺作」だったから。作詞はもちろん小峰公子さん、編曲は上野洋子さんという、zabadakファンを泣かせにかかるメンツだったのよ・・・。だから、JUNNAちゃんの存在を知ったのは、僕にとっては「掘り出し物」のようなもの。

まだ彼女、18歳になったばかりなんだよね。恐るべし。このアルバムタイトルは彼女の実年齢からなのはもちろんだけど、恐らく、ポール・ニザンの「僕は20歳だった。それが人の一生でいちばん美しい年齢だなどとだれにも言わせまい」(ポール・ニザン『アデン・アラビア』)というフレーズのもじりだな(ディレクターの趣味っぽいな)。


JUNNA 「Here」Music Video (short ver.)


糸奇はな TVアニメ「魔法使いの嫁」エンディングテーマ「環-cycle-」MV